見出し画像

廊下を走るな

↑前回のつづき

廊下を走るなと言われて素直に従う子もいれば反発心を覚える子もいるだろう。僕は前者だった。学校は勉強するところであると同時にルールを叩き込まれる場所でもあった。

禁止事項が先にある。なぜ禁止されているのかは後から説明されることもあるし、先生に聞いてもわからない場合がある。自分で考えるのも学びの一環なのだろう。と、納得すること自体が僕の従順さを物語っている。

もともと自己主張が強いタイプではない。言いたいことがあるのに言えないのではなく、和を重んじてあえて言わないのでもない。言いたいことは最初からとくになくて、通知表にはよく主体性がないと書かれていた。

ルールを課せられて反発するのは自分のスタイルを貫けないからだ。そういうロックな魂がそもそも僕にはない。反発するどころか型にはめられることを楽しんでさえいた。

廊下を走るなと言われて速歩きでクネクネと競争したり、勉強と関係のないものを持ち込むなと言われて消しゴムサッカーで遊んだりする。ルールがなければあの楽しみは生まれなかっただろう。

端から見ると良い子ちゃんだったと思う。しかし、ルールを守らない人を注意したり、告げ口したことは一度もない。善悪に基づいて行動していなかったからだ。

↓次回につづく