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金の亡者

前回のつづき

嫌儲けんもうというネットスラングがある。読み方は人によって違うが、儲け主義を嫌うという文字通りの意味だ。

金の亡者あこぎな商売守銭奴などお金儲けに批判的な言葉は多くあれど、そうした言葉を口にする人たちを端的に表す言葉はなかったように思う。ひろゆきさんによる造語だそうで流石というか何と言うか。

生きるためにお金は必要だ。衣食住だけなら頑張れば自給自足できるかもしれない。しかし、他人の創造性からしか摂取できない栄養素が存在し、欠乏するとオタクは死ぬ。その他人にも生活があるのでやはり対価としてお金が必要になる。

僕も一生遊んで暮らせるお金が欲しい。

じゃあ、そのためなら金の亡者になれるかと問われたら答えはノーだ。心のどこかに嫌儲の精神がある。人様の生業に口出しはしないが、自分はあんな風にはなりたくないなと思う。

他人が楽して儲けるのを妬んでいるわけでも、不当または灰色な利益に対する正義感があるわけでもない。ただ、恐れているのだ。

亡者が魂を亡くした死者のことであるなら、金の亡者は生きながらにして何を亡くしたのだろう。それはきっと僕にとって大切なもので自分から手放すことは出来ないし、それを捨てられる人とは分かりあえない。