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身体は正直

前回のつづき

広告の類は一切目にしたくないという人もいる。そういう人らと比べれば僕は広告に対してずいぶん友好的だと思う。潜在顧客にリーチしたい広告主と広告自体を面白がって未知の商品やサービスにも興味津々な僕は利害が一致している。

しかし、そんな希少種を相手にしても商売は成り立たない。広告に関心のない大多数にこそ認知してもらう必要がある。だからあの手この手を駆使して嫌がらせ広告を仕掛けてくるのだ。

ネット広告がテレビCMと決定的に違うのは効果測定が容易な点だろう。テレビCMが売上にどのくらい貢献しているかを厳密に知る方法はない。放映前と放映後、もしくは放映した地域としていない地域の売上推移から想像する程度かと思われる。

対照的にユーザーがネット広告をクリックしたかどうかは完全に把握できる。さらにそこから購入や契約に至ったかまで歴然としている。

つまり、イラッとするネット広告が横行しているのはそれでも一定の効果を上げているからだ。広告に友好的な僕でさえ辟易するのだから、あれを好ましいと感じる人はいまい。しかし、多くの人がまんまと術中にはまっている。

不快だと感じながらも広告をクリックしてしまう。健全な状況とは言えないが、これを抑止する力は働かない。どんな感情でクリックしたかは数字に現れないのである。

↓つづく