耳が幸せ
これまでに引越しを2度経験している。引越しは住居について考える絶好の機会である。が、1度目の引越しは希望の条件を考える間もなく親が決めてきた。僕はそれを事後承諾して追い出されるように出ていく形となった。
結果的には大きな不満もなく、そこで20年暮らすことになる。
駅から徒歩10分は駅近とは呼ばないそうだが、山の上の実家と比べれば目と鼻の先みたいなものだった。利便性と静かさが両立する好立地ともいえる。
しかし、雑踏の騒音がない分、生活音は気になった。実家が鉄筋コンクリートの団地だったこともあって木造アパートの壁の薄さにまず驚く。知識として知ってはいたものの、実際に隣のケータイ着信音が聞こえたときは謎の感動を覚えた。
周りの音に悩まされるような繊細な人間ではない。逆に自分の発する音が誰かの迷惑になるほうが嫌だ。
というわけで、ここからイヤホン生活が始まった。テレビもゲームも基本的にイヤホンで聞いている。とくにパソコンの前では音楽を聴くでもなくイヤホンを着けたまま作業をしていることが多い。
慣れてしまえばスピーカーにはもう戻れない。音質の良し悪しは正直よくわからないが、これだけは言える。
声フェチならイヤホン一択だと思う。
耳の痛くならないこの製品が終売にならないことを切に願う。