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■ファンタスティック・フォー:アンシンカブル

■Fantastic Four: Unthinkable
■Writer:Mark Waid
■Penciler:Mike Wieringo
■翻訳:田中敬邦 ■監修:idsam
■カラー/ハードカバー/1,999円 ■ASIN:B0B2TSN2RF

「マーベル グラフィックノベル・コレクション」第11号は、2000年代初頭に、王道で情緒にあふれる物語づくりを得意とする実力派ライターのマーク・ウェイドと、カートゥーン調の洗練されたアートで人気の高いアーティストのマイク・ウィアリンゴのコンビによる『ファンタスティック・フォー』をチョイス。「『ファンタスティック・フォー』史上でも屈指のラン(連載)」と、高い評価を受けたこの連載から、仇敵ドクター・ドゥームの新生を描いた2番目のストーリーアーク、「アンシンカブル」編を単行本化。

ドクター・ドゥームの世界征服計画は、長年にわたってファンタスティック・フォーによって阻止されてきた。彼らのテクノロジーを駆使した攻撃により失敗を重ねたドクター・ドゥームは、目的を達成するために邪悪な魔術をも使用し、もっとも憎むファンタスティック・フォーに恐ろしい復讐を果たすため、マーベルのファーストファミリーを引き裂くべく動き始める(第11号表4あらすじより抜粋)

 収録話は『ファンタスティック・フォー(vol.3)』#67-70(5-8/2003)と、『ファンタスティック・フォー(vol.1)』#500-502(9-10/2003、隔週刊)の全7話。

 ちなみに、カバーデート(発行月)を見れば分かる通り、『ファンタスティック・フォー』#70(8/2003)の刊行された翌月に、『ファンタスティック・フォー(vol.1)』#500(9/2003)が刊行されている。これは、これまでの『ファンタスティック・フォー』誌が累計で500号目を迎えることを記念して(オリジナルの『ファンタスティック・フォー(vol.1)』が全416号、『ファンタスティック・フォー(vol.2)』が全13号、『ファンタスティック・フォー(vol.3)』が70号を出したところで、通巻499号目になる)、号数のナンバリングを「これまでの合計」にリナンバリングして刊行したものであり、中の物語自体は『ファンタスティック・フォー(vol.3)』#70から『ファンタスティック・フォー(vol.1)』#500に、シームレスに続いている。

 この時期のマーベル・コミックスは、『アベンジャーズ』誌でも同様のことをしており(『アベンジャーズ(vol.3)』#84(8/2004)の刊行の翌月に、号数をリナンバリングした『アベンジャーズ(vol.1)』#500(9/2004)が刊行された)、以降、諸々のそれなりに歴史を持つタイトルで、「なんかキリのいい通巻号数になったら累計の号数にリナンバリングする」ということをするのが伝統となる(後からバックナンバーを追うときに、いきなり号数が飛ぶので、割と面倒くさい)。

 ちなみに、人を食った展開でおなじみの『デッドプール』誌は、2009年に、いきなり「900号記念号」を出し(当時の『デッドプール』誌は累計でも100号に届くかどうか)、さらに翌年には「1000号記念号」を出すなど、このリナンバリングをおちょくるようなことをしていた(マーベルのライバルのDCコミックス社の『アクション・コミックス』誌が2011年頃に通巻900号に達するので、先に900号や1000号を出すことで、アッチもおちょくりたかった、という背景もある)。

 閑話休題。

 ウェイド&ウィアリンゴの『ファンタスティック・フォー』は、2003年の『ファンタスティック・フォー(vol.3)』#67(5/2003)から2005年の『ファンタスティック・フォー(vol.1)』#524(5/2005)まで、丸3年に渡る長期連載となり、それらは全6巻の単行本にまとめられた。

 ちなみに、今回「マーベル グラフィックノベル・コレクション」として刊行されたのは、第2巻目の「アンシンカブル」編だが、「マーベル グラフィックノベル・コレクション」では、ウェイド&ウィアリンゴ期の他の編が刊行される予定はない。

 余談ながら、この全6巻版の単行本は、Kindleの場合、最終巻である『ファンタスティック・フォー:ライジング・ストーム』のみ、電子書籍化されていない。Kindleで揃える場合は、再編集版単行本『ファンタスティック・フォー バイ・マーク・ウェイド&マイク・ウィアリンゴ:アルティメット・コレクション』全4巻で揃えるのが良いだろう。

 こちらが「アルティメット・コレクション」第1巻。 ウェイド&ウィアリンゴによる最初のストーリーアーク「イマジノーツ」編(『ファンタスティック・フォー(vol.3)』#60-66)と、オマケで『アベンジャーズ(vol.1)』#400(7/1996)に掲載された「ヒストリー・リピーツ・イットセルフ」(ウェイド&ウィアリンゴが『ファンタスティック・フォー』誌に先駆けて手掛けた作品)を収録。

続いて「アルティメット・コレクション」第2巻。「アンシンカブル編」(『ファンタスティック・フォー(vol.3)』#67-70、『ファンタスティック・フォー(vol.1)』#500-502)を収録。

第3巻。「アソラテイティブ・アクション」編(『ファンタスティック・フォー(vol.1)』#503-508)と、「ヒアアフター」編(『ファンタスティック・フォー(vol.1)』#509-513)を収録。

第4巻。当時のアベンジャーズのイベント「アベンジャーズ・ディスアッセンブルド」とタイインした「ディスアッセンブルド」編(『ファンタスティック・フォー(vol.1)』#514-519)と、「ライジング・ストーム」編(『ファンタスティック・フォー(vol.1)』#520-524)を収録。

 これでウェイド&ウィアリンゴによる『ファンタスティック・フォー』誌での連載は終了し、その後、長らく『アメイジング・スパイダーマン』誌のライターを務めていたJ・マイケル・ストラジンスキーが後任ライターとなる。ストラジンスキー期の『ファンタスティック・フォー』については、そのうち書く「補足」の方で、軽く触れたいと思う。


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