見出し画像

■補足:J・マイケル・ストラジンスキーの『スパイダーマン』

「マーベル グラフィックノベル・コレクション」の『スパイダーマン:カミング・ホーム』を読んで、J・マイケル・ストラジンスキー期のスパイダーマンに興味を持った方への追補的なエントリ。

 J・マイケル・ストラジンスキー期のスパイダーマンは、全て単行本化されているので(Kindleなどで電子書籍としても読める)、現在では容易に追いかけることができる。

 以下は、そのリーディング・オーダーになる。


 今回、初邦訳された『カミング・ホーム』の原書版。『アメイジング・スパイダーマン(vol.2)』#30-35を収録。

 第2巻目。『アメイジング・スパイダーマン(vol.2)』#36-39を収録。

 第3巻目。『アメイジング・スパイダーマン(vol.2)』#40-45を収録。.

 こちらはマーベル・コミックスではなく、パニーニブックスから刊行された単行本で、『レベレーションズ』と『アンティル・ザ・スターズ・ターン・コールド』の2冊分の単行本を1冊にまとめた、厚めの単行本。

「マーベル グラフィックノベル・コレクション」の第48号として刊行される、『アメイジング・スパイダーマン:レベレーションズ&アンティル・ザ・スターズ・ターン・コールド』はこの単行本を底本としている模様。こちらの単行本は、『アメイジング・スパイダーマン(vol.2)』#36は未収録な点に注意。

『アメイジング・スパイダーマン(vol.2)』#46-50を収録。

 なお、ラストに収録された『アメイジング・スパイダーマン(vol.2)』#50でピーターは、ストラジンスキー期の開幕以来、別居状態だった奥さんのメリー・ジェーンと復縁する。空港でメリー・ジェーンと運良く再開した直後、たまたま空港をドクター・ドゥームが訪れ、彼を狙うテロリストの攻撃で空港が大変なことになり、スパイダーマンが出張らざるを得なくなる……という筋立てが、いかにもスパイダーマンらしい(パーカー・ラック──ピーター・パーカーの人生につきものの不運、という奴だ。

『アメイジング・スパイダーマン(vol.2)』#51-56を収録。

『アメイジング・スパイダーマン(vol.2)』#51-56と、『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#500-502を収録(※『アメイジング・スパイダーマン』誌の通巻500号記念で、号数を「累計」に改めた。なので、『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』誌は、#441からいきなり#500に番号が飛ぶ)。
.
 巻頭に収録された通巻500号記念のストーリーライン「バースデイ」編は、ドクター・ストレンジと彼の仇敵ドルマムゥとの戦いに加勢することになったスパイダーマンが、時間流の狭間に紛れ込み、過去の歴史を再体験していく話。過去の名シーンをジョン・ロミータ・Jr.の筆で再現しているのが面白く、ラストのドクター・ストレンジからの「誕生日プレゼント」も実に泣ける。

『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#503-508を収録。タイトルの「ブック・オブ・エゼキエル」で分かる通り、『カミング・ホーム』に登場した、エゼキエルが再登場するエピソード。

『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#509-514を収録。「実は過去にノーマン・オズボーンはグウェン・ステーシーとアレな関係があって……」という露悪的な暴露話でファンの間で賛否を呼んだ「シンズ・パースト」編を収録。

 なお「シンズ・パースト」で提示された諸設定に関しては、刊行から17年が過ぎた2021年に『アメイジング・スパイダーマン(vol.5)』誌上で展開された「キンドレッド・サーガ」編で、ライターのニック・スペンサーが、おそろしく剛腕なやり方で、「実はこういうことだったのです」と、落としどころを提示している(が、そこにたどり着くまでには、スペンサー期の『アメイジング・スパイダーマン』の単行本を15冊ほど読み通す必要はある)。

 こちらのスペンサー期『スパイダーマン』の第15巻を読めば、まあ、説明だけはされるが、ミステリのオチだけ読んでもしょうがない話ではある。

 ちなみに、「シンズ・パースト」編最終回が刊行されたのと同時期に、『ニューアベンジャーズ』誌が創刊され、以降、スパイダーマンは「アベンジャーズのメインメンバーの一人」となっていく(今では割と普通の認識だが、当時は「スパイダーマンがアベンジャーズに加入する」ということは大事件であったのだ)。

 こちらはヴィレッジブックスから刊行されていた『ニューアベンジャーズ』の邦訳版第1巻。『ニューアベンジャーズ(vol. 1)』#1-6を収録。

 「マーベル グラフィックノベル・コレクション」では、第32号として刊行予定。

『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#515-518を収録。

『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#519-524を収録。前巻収録の「スキン・ディープ」編ラストで、メイ叔母さんの家が全焼したので、ピーター、メリー・ジェーン、そしてメイ叔母さんがニューアベンジャーズの拠点であるアベンジャーズ・タワーに引っ越して新生活を始める……という話。


 また、時期的にはこのあたりで、ニューアベンジャーズとX-MENのクロスオーバー・イベント『ハウス・オブ・M』が勃発している。

 こちらはヴィレッジブックスの邦訳版。リミテッド・シリーズ『ハウス・オブ・M』#1-8を収録。「マーベル グラフィックノベル・コレクション」では、第35号に刊行予定。

 で、『アメイジング・スパイダーマン』誌の「ニューアベンジャーズ」編と並行して、「ハウス・オブ・M」の世界で活躍するピーター・パーカーの姿を描いたミニシリーズ『スパイダーマン:ハウス・オブ・M』全5号が刊行された(ライターはストラジンスキーではなく、マーク・ウェイド)。

『スパイダーマン:ハウス・オブ・M』の単行本のタイトルが『ハウス・オブ・M:スパイダーマン』なのは、どうかと思う。

『アメイジング・スパイダーマン』#525-528と、姉妹誌の『フレンドリー・ネイバーフッド・スパイダーマン』#1-4、『マーベル・ナイツ・スパイダーマン』#19-22を収録。2005~2006年にかけて、『スパイダーマン』関連3誌で展開された長編ストーリーライン「ジ・アザー」編を収録。

『ホーム・カミング』で登場したモーランが再登場し、「スパイダー・トーテム」絡みの神秘的な要素に再度スポットライトが当てられ、さらにはスパイダーマンの能力に劇的な変化が訪れる話。

 2006~2007年のマーベルの大型イベント『シビル・ウォー』の前哨戦といえる数々のエピソードを収録した単行本。『ファンタスティック・フォー』#536-537、『ニューアベンジャーズ:イルミナティ』#1、そして『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#529-531を収録。

 こちらはヴィレッジブックスから刊行されていた邦訳版(オリジナルは2013年に刊行。2016年に再版)。

 で、『ロード・トゥ・シビル・ウォー』の物語は、2006~2007年のマーベルの大型クロスオーバー、『シビル・ウォー』に続いていく。

 こちらは『シビル・ウォー』本編の邦訳版。リミテッド・シリーズ『シビル・ウォー』#1-7を収録。「マーベル グラフィックノベル・コレクション」では、第39号で刊行予定。

 でもって、『スパイダーマン』の関連誌も、『シビル・ウォー』とタイインしていく。こちらの単行本には、『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#532-538の、「シビル・ウォー」タイイン話を収録。

 やはりヴィレッジブックスから刊行されていた邦訳版。『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#532-538を収録。

 『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#539-543、『フレンドリー・ネイバーフッド・スパイダーマン』#17-23、それに『フレンドリー・ネイバーフッド・スパイダーマン アニュアル』#1を収録。

 『アメイジング・スパイダーマン』#538のラストで、メイ叔母さんが重傷を負い、怒りに駆られたピーターが、自身の心情を投影したブラック・コスチュームを着て、拳の振るう先を求めて街を彷徨する「バック・イン・ブラック」編より、『アメイジング・スパイダーマン』誌と、『フレンドリー・ネイバーフッド・スパイダーマン』誌のパートを収録した単行本(ついでに、「バック・イン・ブラック」編とはさして関係のない『フレンドリー・ネイバーフッド・スパイダーマン』アニュアル#1に掲載された短編「サンドマン:イヤー・ワン」と「レア」も再録)。

 なお、「バック・イン・ブラック」編は、当時刊行されていた『アメイジング・スパイダーマン』誌、『フレンドリー・ネイバーフッド・スパイダーマン』誌、『センセーショナル・スパイダーマン』誌、そして『スパイダーマン・ファミリー』誌の全てで展開されていた(各誌の話はそれぞれ独立しており、『アメイジング・スパイダーマン』誌や『フレンドリー~』誌の話は単独で読み進められる)。

 こちらの単行本には、「バック・イン・ブラック」編の残りのパートである、『センセーショナル・スパイダーマン』#35-40、『スパイダーマン・ファミリー』#1-2、増刊号『スパイダーマン:バック・イン・ブラック ハンドブック』、『マーベル・スポットライト-スパイダーマン:バック・イン・ブラック』それに『センセーショナル・スパイダーマン』アニュアル#1を収録。

 『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#544-545、『フレンドリー・ネイバーフッド・スパイダーマン』#24、『センセーショナル・スパイダーマン』#41を収録。

 J・マイケル・ストラジンスキーによる『スパイダーマン』連載の最終章となるイベントで、『フレンドリー・ネイバーフッド・スパイダーマン』誌、『センセーショナル・スパイダーマン』誌の方もストラジンスキーがライターを務めている。

 アーティストは、「ワン・モア・ディ」の原案者である当時のマーベルの総編集長ジョー・ケサーダ自身が全話を担当。「バック・イン・ブラック」編の後の、メイ叔母さんの帰趨とピーターらの重要な決断が描かれる。

 ちなみに「マーベル グラフィックノベル・コレクション」では、刊行予定はないため、気になる方は、こちらの小学館集英社プロダクションより刊行されている邦訳版を買うこと。

 さて、この「ワン・モア・ディ」をもってストラジンスキーは『アメイジング・スパイダーマン』誌のライターを降板し、『スパイダーマン』の物語は新たな時代を迎えることとなる。なお、ストラジンスキー期の「ジ・アザー」編で、スパイダーマンの能力に劇的な変化が訪れていたが、「ワン・モア・ディ」の結果、なかったことになった。

 こちらはスパイダーマンの新章「ブランニュー・ディ」をまとめた邦訳単行本。
  
  
 ……と、まあ、当時刊行された単行本を紹介してきたが、その後、これらJ・マイケル・ストラジンスキー期の『スパイダーマン』の物語は、各巻400~500ページもある分厚い単行本、『アメイジング・スパイダーマン・バイ・JMS - アルティメット・コレクション』にまとめられた(全5巻)。

 収録作品は『アメイジング・スパイダーマン(vol.2)』#30-45。

 収録作品は『アメイジング・スパイダーマン(vol.2)』#46-58と『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#500-502。

 収録作品は『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#503-518。

 収録作品は『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#519-528、『フレンドリー・ネイバーフッド・スパイダーマン』#1-4、『マーベル・ナイツ・スパイダーマン』#19-22。

 最終巻。収録作品は『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#529-545、『フレンドリー・ネイバーフッド・スパイダーマン』#24、『センセーショナル・スパイダーマン』#41、それに増刊号『スパイダーマン:ワン・モア・ディ スケッチブック』、『マーベル・スポットライト - スパイダーマン:ワン・モア・ディ』(「バック・イン・ブラック」編は『アメイジング・スパイダーマン』誌の話のみを収録)。


 さらに現在では、各巻1100ページを超えた、超分厚いハードカバー単行本『アメイジング・スパイダーマン・バイ・J・マイケル・ストラジンスキー・オムニバス』も刊行されている(全2巻)。

 収録作品は『アメイジング・スパイダーマン(vol.2)』#30-58と『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#500-514。それに『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#509の「ディレクターズカット版」。

 収録作品は『アメイジング・スパイダーマン(vol.1)』#515-545、『フレンドリー・ネイバーフッド・スパイダーマン』#1-4と#24;、『マーベル・ナイツ・スパイダーマン』#19-22、『センセーショナル・スパイダーマン』#41、『スパイダーマン:ジ・アザー スケッチブック』#1、『スパイダーマン:ワン・モア・ディ スケッチブック』#1。


 さて、そういった訳で、ストラジンスキー期の『スパイダーマン』を全話読むには、通常の単行本、合本「アルティメット・コレクション」、それにハードカバー「オムニバス」の3種のルートがある訳だが。
.
 筆者的には、価格も安く、入手もしやすい「アルティメット・コレクション」版の電子書籍を買うことをお勧めする(ぶっちゃけ、オリジナルの紙の単行本を今から揃えるのは至難の業だからだ)。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?