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10-6.SCは何ができるか,何をすべきか

特集 がんばれ学校! がんばれSC!)

小林英子(東京都公立小学校・中学校SC)
齋藤真紀子(東京都下公立教育相談所相談員/東京都公立小学校・中学校SC)
益子洋人(北海道国立大学附属中学校SC)
松丸未来(東京都公立中学校SC/神奈川県私立小学校SC)
 下山晴彦(司会)

1.はじめに
コロナ禍に対応する学校に勤務する,4名のスクールカウンセラー(タイトルも含めて,以下SCと略記)が参加して,「コロナ禍に直面している学校においてSCは何ができるか」をテーマとしたオンライン座談会を開催しました。

座談会は,2020年8月3日に開催し,司会は下山が務めました。2時間ほどの座談会の後半1時間の記録を「SCは何ができるか,何をすべきか」というタイトルの記事として再構成した内容を掲載します。記事は,下山が原案を作成し,参加者全員がチェックをして完成させました。

なお,座談会は,井上薫(東京大学特任研究員)がオンライン環境の運営を担当し,原田優(東京大学特任研究員),高堰仁美(東京大学博士課程)と柳百合子(東京大学博士課程)が記録作成を担当しました。

2.今後SCは何をすべきか
[下山]
これまでの状況を踏まえて,今後SCは何ができるか,何をしなければならないかを自由にお話ください。

[益子]保護者向けに,普段より少し具体性の高い「お便り」を出すという活動は,いろいろと応用ができそうだと思いました。たとえば,私自身,休校中は親として,子どもと家でどう過ごせばいいのか困りました。そういう時に,学校から具体的な情報をいただくと非常に励みになったと思うので,使えそうです。その時の,保護者のニーズに合わせて情報提供を手厚くすることは必要ですね。

[下山]このような活動は,現在ひとりおひとりのSCが頑張ってやっている。しかし,SCの団体が知恵を絞って資料集を作って提供すると,多くのSCが活用できるようになると思います。このような動きがあればいいと思いますが,どうでしょう。

[小林]それについては,東京都は自信をもって言えるものがあります。東京学校臨床心理研究会(以下,研究会)がありまして,コロナの休校が決まってから,SCがどう動けばよいか迷い,困ることを想定し,ベテランSCを中心に対応のポイントを協議し,情報提供のために資料を作り発信しています。ただし,研究会の会員だけしか見られないものです。

[松丸]東京学校臨床心理研究会のホームページで会員以外の方が見られるページに「感染症対策のページ 災害支援のページ」というのがあり,子どもたちへの支援についてなどさまざまな資料も揃っています。

夏休み明けの保護者向けの相談室便りでは,コロナの収束が見えない状況で保護者は心配な方もいるかもしれません。「夏休みは短く,十分な休養とまではいかなかったかもしれません。夏休み明けも急に頑張らせないで,ゆっくり行きましょう」というメッセージや具体的な子どもの気持ちの受け止め方などを発信できたらと思います。その時に,東京学校臨床心理研究会のホームページにある資料集が役に立つと思います。

[下山]日々コロナ感染状況が変わり,対策の段階が違ってくるので,情報の内容も更新をしなければいけないですね。夏休みになり,夏休み開けた時に何を保護者が求めているのかを現在進行形で考えねばいけないと思いました。

[小林]学校や家庭の事情によって,また地域によって状況が違います。一律で出しにくいのが実際です。東日本大震災の時を思い出します。非常事態が起こったとき,個人のもともとの不安耐性が低い人に打撃が来やすい。ですから,リスクが高い人に必要な手立てをするというところに立ち返って対応することがよいとも思います。

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3.緊急支援としてのSCの活動
[松丸]緊急支援をしている感覚があります。相談室便りで,不安反応について「どのような子どもにもあることです」と伝え,対処方法も伝えました。ただ,今までの緊急支援は安全が確保されているのが基本です。でも,今は,安全が確保されていない,withコロナの状況です。感染症対策と学校としての機能との間でバランスを取るのが難しい状況です。ハイリスクの子どもの相談は増えている感覚があり,そういう子どもにとって学校はやはり保護因子になっているのだと感じます。先生や友達とのつながりや,規則正しい生活リズムが心の安定に必要と感じます。だから,不安で学校に来られない子どもに関しては,その子が安心できる形で学校に来られるようにできたらと思います。

緊急支援のときの方が,学校アセスメントが重要だと感じた経験があります。通常より先生方が疲弊されているのに,サポートが必要な子どもたちが多くなるので,SCは先生もサポートしながら,あるいは,その先生をサポートする学年や学校のチームワークを見ながら,時には,その先生を他の先生とうまくつなげたり,エンパワメントしながら相談活動する必要があると感じました。

また,子どもたち全体に向けての心理教育が実施できたら良いとも思います。勤務する公立中学校では,全員面接より先に,1年生の4クラスに「安心GET」という不安対処プログラムを授業で実施しました。子どもたち自身の対処レパートリーを増やすことができたり,相談窓口の一つとしてSCを紹介できたりしました。先生方は中1ギャップの不安もありましたので,生徒にプログラムを実施できたことで安心感がありました。間接的に,先生方ご自身のストレスマネジメントにもなっていればと思います。SC側も生徒やクラスの状況が分かり,生徒とも先生とも関係作りができ,先生方もSCと連携を取りやすくなったと思います。

コロナ対応では,今後,先生方のチームワークの良さが肝心になると思いますので,先生方のチームワーク作りのために,研修会ができるといいかもしれません。先生方のセルフケアの重要性とコロナ禍でどんなコミュニケーションを取れば良いのかを話し合える研修の機会があると良いと思いました。

[下山]でもそれをSCひとりでやるのは大変ですね。

[松丸]管理職とコミュニケーションをとって,コロナに関するリスクマネジメントを把握した上で,SCができることを伝えていく必要はあると思います。個別相談,コンサルテーション,心理教育授業,先生方の研修と全て行うのは確かに難しいです。優先順位をつけたり,時間を作れればいいですが,難しいと思います。SCが個別相談以外のこともできるようなシステムがSCの団体にあるといいですね。例えば,心理教育授業や研修会の講師は団体から派遣してもらうとか,個別面接が大変なところはSCを臨時で派遣してもらうなど,震災対応に近いリスクマネジメントとして,頭を切り替えていかないといけないと思います。

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4.SCとして学校チームに参加するために
[益子]
学校の中で動くことはサッカーに似ています。どこからボール,つまり問題が飛んでくるかわかりません。それに,先生ごとに得意なポジションも違い,ここなら動きやすいという立ち位置があるでしょう。学校によっては,小規模でチームを組まざるをえないこともあったり,もう少し大規模で組んだりすることもありますが,SCならではの立ち位置で,先生が動きにくいところに入れるとよいと感じます。私が勤めている学校だと,どこが手薄なのかがわかるので,これからの変化についていけると思います。そのような心の準備をしています。

[下山]サッカーに喩えるならば,自分は何ができるのか,何をしたいのかをしっかりと示さないと,ボールを渡してもらえません。それと同様にSCも自分に何ができるのか,何をしたいのかを明示しないと,先生方は役割を与えてくれません。チームを組めません。お客さん扱いされてしまいます。そういう能力のSCもいるのではないでしょうか。多くの県では,一カ月に2,3回しかSCが来ないと聞きます。そうなると,学校では,刻々と変化するコロナ対策をSCに説明しなければならなくなります。それでは,むしろSCのお世話が大変となってしまいます。

先生方にとってSCは何ができるのかがわからないと,ボールを回せません。私は,このようなサポートができますと,手を挙げて存在を示さなければ,生徒や保護者も連絡をする気にはなりません。力のあるSC,すでに関係のできているSC,声の大きいSCといった存在感のあるSCは,無理をして伝えなくてもよいのかもしれません。しかし,多くの,普通のSCは,混乱した状況の中でSCは何ができるのかを明確にして伝える作業が必要であると思います。それをしなければ,「SCは邪魔にならない程度に居て下さい。感染者が出た時には心のケアをお願いするかもしれません」で終わってしまうのではないでしょうか。

東日本大震災のときには,職能団体がリーダーシップをとってSCの役割を明確にして被災地にSCを配置しました。それに準じる形で職能団体がSCの役割を明示し,そのための研修をしてSCが学校に貢献できるようにバックアップする必要があると思いますが,どうでしょうか。米国のSCは,職能団体からSCの活動モデルを学校にも社会にも明示して,SCが学校のチームに入る環境づくりをします。しかし,今の日本では,それぞれのSCが右往左往しながら,それぞれの判断で対応している印象があります。

[小林]「SCは何ができるのか」を管理職や先生方にアピールすることは絶対に必要です。それを,職能団体や研究会で発信するのか,団体や研究会がメンバーに伝えて個々のSCが学校で発信するのか,あるいは個々のSCが自己アピールとして発信するのがよいのかについては発信―受信,両者の関係性も考える必要があります。

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5.SCのボトムアップのための研修会の必要性
[松丸]
個別のカウンセリングで成果をあげるのが一つ先生方からの信頼を得られる方法だと思います。

[下山]個人のカウンセリングの実践を中心に置くだけでよいのでよいでしょうか。それでは,困っている人が来たら対応するとうことで終わってしまわないでしょうか。それでは,SCは単に学校のお客さん的位置づけで終わってしまわないでしょうか。

[松丸]経験が浅いSCは,まず個人面談で頑張るのは基本だと思います。ケースを通して,問題解決スキル,先生方との連携スキル,生徒・先生・クラス・学年・学校のアセスメントスキルを磨いて,力をつけていけます。

[下山]SCの全体のステータスを上げるためには,個別対応ではなくって,職能団体や研究会が,「初心のSCはこのことはしましょう」,「中堅のSCはこれとこれは実施しましょう」と指示を出して専門職としてのボトムアップをしていく必要はないでしょうか。

[小林]東京では,それに近いことをやっています。初任者研修や中堅者向けの研修があります。ニーズに合わせて研修を企画しています。

[下山]そのような研修を,今のコロナの状況に即して積極的に展開していく必要はないでしょうか。その経験を踏まえてガイドラインを出して,学校の状況に合わせて臨機応変に対応できる体制を調え,それを学校にも伝えていくリーダーシップが必要と思います。今の心理職には,そのような社会に向けて発信する社会活動が必要と思っているのですが,どうでしょうか。

[松丸]学校アセスメント,個別アセスメント,学校のニーズに応じたカウンセリングや心理教育,グループワークができることが基本だと思います。

[下山]そのような基本形を今の段階に即して当てはめるならば役立てることができることに気づける人と,気づけない人がいると思います。全国的に考えるならば,気づけない人のほうが多いのではないでしょうか。

[小林]気づける人は基本に沿って,経験値に即して対応しています。気づかない人は,アセスメントが難しくて動けないのでしょう。その辺りのガイドがあればいいのかなと思います。

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6.役立つSCになるために
[下山]今,コロナ対応で学校も試行錯誤しています。新しいことにチャレンジしなければいけなくなっています。ですので,SCも自分たちが貢献できることをチャレンジするチャンスではないかと思います。逆にこの時期,やはりSCは役に立たないといわれないように,皆で知恵を絞ることが必要と思ったりします。

[松丸]東京都の場合,年間38日勤務だったのが,今回のコロナの状況に対応して最大50日勤務にまで増やせるということになりました。増やすかどうかは,学校が要望し,各自治体の状況によって最終的に決まると聞いています。学校からの要望はあると聞いていますし,実際増やした自治体もあるので,SCは必要とされているのではないかと思います。この20年くらい時間をかけて存在感が増してきているのではないでしょうか。

[下山]それは甘いと思います。先日,ある地方の県の校長先生から,「今回のコロナ対応で,県からSCの勤務時間を増やしますかとのアンケートが来た」という話を聞きました。その校長先生は,「SCは個別対応が多く,コロナ対策のように学校全体に活動では役立たないことが多い。しかも,常勤ではないので,刻々と変化する学校の状況を把握できていない。だから,SCを増やしても,いちいち状況説明をしなくてはならず,重荷になるので,増やす必要ないとお断りをした」とのことでした。

今回,コロナ対応でSCを増やしたとしたら,その成果を出さなければ,逆に評価が下がることもあると思います。成果を出すには,職能団体や上位組織が何をすべきかの指針を出して,それを実行するためのマニュアルや研修を出していくリーダーシップや活動が必要と思いますが,どうでしょうか。コロナ対応は,おそらく誰にとっても新しいチャレンジであると思います。だからこそ,一人ひとりの能力や努力に任せるだけでなく,組織として活動をオーガナイズしていく必要があると思います。

[松丸]先生方の教員研修のようにSCの若手を育てる研修があってもよいとは思います。

[下山]オンラインの講習会もできるわけです。今こそ,コロナ対応でSCができること,やらなければいけないことのオンライン研修をしてもよいのではないでしょうか。若手のSCは,皆どうしたらよいのか分からずに不安になっていると思います。今は,学校とってもSCにとっても危機状態の時ですよね。

[松丸]ここでこのピンチをうまく使って「使えるSC」にできたら一気にSCのステータスが上がるかもしれない。

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7.SCの新たな活動モデルとガイドラインの必要性
[下山]
今は,withコロナの対応で試行錯誤しています。しかし,これは,今後も続きます。そして,postコロナの時代や社会になっていきます。今の時点で,次の時代の学校や社会に対応できるSCの活動モデルや技能を見直していくことが課題になっていると思います。それを含めて,現場の中で試行錯誤しながら,SCの新しい活動モデルを創っていくことも考えていけたらと思ったりします。もちろん,今は,日々の活動の中で,可能な工夫をして有効な活動を展開することが課題ではあると思います。

[松丸]個別の対応だけでなくて,全体とか組織に貢献できるような活動があるとよいと思います。それとともにSCの健康管理も必要かと思います。多くの研修会や学会がキャンセルになっていますが,オンラインということであれば,今だからこそできる研修が可能になりますね。オンライン研修ならば,地方のSCも簡単に参加できますね。

[小林]東京の場合は研究会が音頭をとって今のような情報提供があったりガイドラインみたいなものがあったりして,それを参考にして安心して取り組めることがあります。しかし,都以外のその辺が整ってない地方では,本当に個人の力量に任されているのだろうと思います。それは,とても大変だと思います。他府県もその自治体に合わせた情報提供があれば心強いでしょうね。

[松丸]withコロナの状況でのSC活動は初めてのことも多いので,創られたガイドラインが必ずしも正解ではなくて,PDCAサイクルで改定しながら創っていくのがいいのかもしれません。ただ,誰がリーダーシップをとってやるのということが課題ですね。

[小林]身近に感染者が出てしまった時のメンタルケアをどうするかといった危機対応のガイドラインなどは用意し,共有していけるとよいですね。

[下山]おそらく学校の先生方も「感染者が出たらSCがしっかりと対応します」と伝えるだけで,安心にもつながると思います。先生方からは,「SCは先を見ている」と信頼されるのではないでしょうか。本マガジン4号で,医療分野でコロナ対応をした心理職にインタビュー記事を掲載しています。そこでのコロナ対応は,危機介入であり,医療チームを心理職が支える活動になっていました。
4号⇒https://note.com/inext/m/md18486bcdad5

そのような他分野の活動も参考にしながら,教育分野の心理職ならではのサポートモデルがあってもよいと思いました。それは,現場で何をしたらよいか分からずに右往左往している初心や若手のSCの指針にもなります。

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8.皆の知恵を集めて次の手を打つ
[益子]
今の状況から先を読んで備えるというのは難しいですね。感染者が出た時にどのようなことが起こるのか,その時にSCができるサポートはやはりメンタル面となると思います。コロナウイルスと付き合いながら学校の日常を送っていく時にどのような心の変化が起きるのかは,読みきれません。感染症の専門の方などから情報を教えていただけたりすると,次の手を打つヒントが見えてくるのかと思ったりします。

[下山]差別の問題が起きてきています。ウィルス感染という生物的な影響もありますが,それに加えて感染への恐怖や不安という心理的な影響はかなりストレスになります。それと,恐怖や不安が,感染者や医療従事者への差別という形で社会的な影響にもなってきます。その点でコロナウイルス対策は,生物-心理-社会的な現象として対応していく必要があります。だからこそ,心理職の出番であると思います。SCは,学校という社会的場で心理社会的な危機対応や日常的サポートを担う責任があります。

このような観点からするならば,SCの役割はいっぱいあります。今日,この座談会でも話題になったさまざまな取り組みを共有し,SCができることを提案し,研修をしていく組織的な活動が必要と思います。この座談会も,そのための一環として実施しているということもあります。

[齋藤]先日,同じ地域でSCをしている仲間たちとオンラインで情報交換する機会がありました。そこで,それぞれの学校の様子などに関して情報交換ができました。自分だけではなく,他の学校でも同じようなことが起こっているんだということがわかって安心することができました。オンラインでも誰かとつながれるという安心がすごく大事だなと思いました。

[小林]学校は,本来「安心安全」がとても大事な場所だと思います。現在は,学校自体が安心安全ではない環境になっています。そこで,「皆で一緒に乗り越えていこう」という姿勢をSCが表現していくことを大切にしたいですね。先生方をうまく巻き込んで2学期に備えたいと思っています。

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9.おわりに
[松丸]
先生方は疲れています。でも,ある先生は,自分の疲れのために休養をとることに罪悪感を持っていました。その先生には,「まずは先生が元気でいることが大切です。そうしたらその分,子どもたちもサポートできるので,ぜひリフレッシュしてください」と伝えました。先生方のストレスマネジメンの重要性を感じました。SCは,先生方が安心して愚痴をこぼしたりできる環境をサポートすることはできます。

[下山]そのようにSCの個人的な対応が基盤になるとは思います。しかし,愚痴を聴くだけで終わらないことも重要と思います。これから,いろいろなことが学校場面で起きてきます。我慢していたストレスは,怒りとして顕れることもあります。その場合,怒りのマネジメントが必要となります。虐待を受けていた子どもに関しては,外出自粛で密となった家族の中でさらに問題が深刻化してきています。コロナ対応との関連で,児童相談所や子ども家庭支援センターとの連携をどのようにするかのガイドラインの作成も必要と思います。

SCが「愚痴を聞いてくれる良い人」で終わらないために,今何をしなければならないかが問われています。SCが自分たちは何ができるのかを積極的に示していかないと,先生方も管理職も,子どもも保護者もSCをコロナ対策で一緒に戦うチームメンバーと認めてくれないのではないかと心配です。「愚痴を聴く人」や「先生方の気分転換をサポートする人」では,SCの役割が曖昧過ぎると思います。コロナ状況に対峙する際の,SCの社会的役割を明確に示していく努力をする時かと思います。

[齋藤]SCの現場の意見を共有し,発信していく場として研究会や地域会は役立ちます。地域会は,活動についての意見や体験を共有する場所です。困っている事例を検討することもあり,参加者は相互に助け合っています。地域会での議論をその中で留めずに,共有した意見を発信していくことがあってよいかと思います。

[小林]学校のコロナ対応には,かなり地域性があります。また,管理職の判断やニーズによってSCに求められることも学校によってバラバラです。ですので,ガイドラインを出したとしても,若手のSCにとっては現場とそぐわないと感じることもあると思います。そういう場合に,先輩からアドバイスをもらうことができるシステムが東京の研究会の中にある「地域会」に当たります。他府県でもそうしたシステムができるとよいですね。

[下山]すでに予定の時間を過ぎているので,まだまだ議論することはたくさんあると思いますが,座談会はここで終わりにします。コロナ対応では,まだ終わりがみえません。それ以前に今何が起きているのかも明確に把握できないままに皆さんが手探りで進んでいます。今回の座談会の議論が次の活動につながることを祈りつつ座談会を終わりたいと思います。

ご協力をありがとうございました。

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第10号
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