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どこかへ戻りたい日

いつかのどこかに戻りたい日、というのがある。
ないですか?
学生時代の何気ない1日とか、初めて付き合った人とデートした日とか、新社会人として乗ってた電車の中とか、入院中に空を見上げた日とか、寒い冬の日にヒーター焚いてネットサーフィンしてた日とか。

戻りたいなぁ、って突然思う。
仕事してたり、家事してたり、昼寝から起きた瞬間とか。良く寝起きとかぼんやりしてる時に、その帰りたい日の匂いを思い出したり、日差しを思い出して、もう帰れないのに走って行きたくなる。
もう行けないのにね。
どこに走って行っても、もうその風景はなくて、そこにいた人もあの日と同じ姿では居なくて、私も、あの日と同じじゃない。
遠くへ来てしまったなぁ、と実物の写真も残っていない日の、胸の内のいつか色褪せて消えそうな写真を見返している。

消えないで欲しいな。もう2度と戻れないから。本物の写真に撮れないから。せめて私の中で消えない写真でいて欲しい。

でも人は忘却の生き物だというから、いつかこの形のない写真は真っ白になってしまうのかもしれない。

ここまで書いて気がついたけど、そうか、認知症になったときって、この風景写真の中で迷子になってしまうのか。合点が行った。

それは、寂しいなぁ。だって、帰れないんだもん。

いつか私も、この写真の中で迷子になるのかもしれない。

どこに帰ろうとするのかな。
あの人のところかな、あの野山かな、雑踏かな、庭かな。

楽しい思い出に帰ろうとして欲しいな。

まぁ、そうなる前にポックリといきたいものですがね。ワハハ。

春は情緒が乱れていけませんね。
花粉もひどいし。
春の憂鬱という言葉があるし、春には自ら命を投げ出す人も多いそうなので、どうかご自愛ください。

そして一つでも帰りたい日の風景を増やしていこうね。

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