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おのれTENET~~!!!!


TENETのトレーラーを研究・考察して完全に初見で理解できるのか、映画と対決をしました……


結果は負け!!!!!!!!!!!


でも、すごく惜しかったんです…!これは本当!しかもTENETは面白かったからTENETは勝ち!一人負け!!





(※以降、スーパーネタバレを含みます)












そうきたか~~~!!
フィクションの大きさが想定していたよりかなりデカかった!!!!

タイムスリップじゃん!!!
過去に行っちゃうのーー~!!?
しかもタイムパラドックス無視するし!!!
絶対そこはやらないでしょ、をやられてしまったーーーー~~!!!!

タイムスリップ系のギミックだと判明した瞬間に足元をグラつかされてしまって、そのすぐあとに始まった中盤のカーアクションのシーンがいまだによく分かっていないです…。
内容を完全理解できなかった~~


負け!!!!


悔しーーーーーーー~~~~!!!!

映像体験として楽しかったし、
内容は分からない部分もありましたけど、
映画は面白かったです!

だからTENETは勝ち!!!!
超楽しかったです。



感想を書きます。


冒頭のオペラハウスの偽装テロのシーンで、主人公を含むCIAが悪役かのように最初見えていたので、そこからもう読みが外れてんのかとビビりました。実際は警察隊?に化けて救出任務をしてたんですけど。
もうあのシーンの時点で、説明をしてくれない部分が多くて、オペラハウス偽装テロからプルトニウムを回収→捕まる(ここがマジで唐突)→ロシア人に拷問される(怖すぎる)→助けられる(実は拷問はテストだったよと明かされる)→任務開始、までの流れ、もっと親切でも良くないですか??
なんで主人公、こんな可哀想な目に遇わされてるんだ…って思っちゃった。

未来の世界から物がやってきている。
未来の戦争の残骸が時を逆行するんだ。
という設定が明かされる研究所のところは超ワクワクしました。
未来から過去に行けちゃう、ってなった時点でタイムパラドックスとパラレルワールドの問題が出てきちゃうと思うんですけど、あくまで銃や歯車のような物品だけが過去にやってきてるんだったら、そこまでSFとして破綻はしないかなギリギリ、と思ったんですけど、まさか……のちのち、人間もバンバカ過去に行くようになるとは…。

エントロピーが減少する、というのも面白かったです。時が戻っている、という訳ではなく因果が逆行しているんですね。
だから過去に存在していない挙動で逆行運動をする。この時点で、わーーーもうルールの想定が全然違う!と思ってビックリしました。

時間逆行は「技術」か「能力」か、どちらかだと思っていたら『くぐると時間が逆行できる回転ドア』によって時間逆行は銃や車といった「技術」でもあり、人間そのものの「能力」でもある形になっていたんですね…。
その合わせ技は予想できた気がするだけに悔しいです…。タイムスリップはしない、なぜならウソ過ぎるから、と決めつけていたために、窓や扉によって人間が逆行世界に行く、というパターンが抜けていました。
ウソのデカさが想定よりも大きかった…。

というか、公式トレーラーでも岩田さんの動画でもタイムスリップじゃない感 出してるじゃん!


相対性理論はこの際 無視だ、という台詞が『インターステラー』にはあるんですが、TENETも、父殺しのパラドックスについて言及しつつ無視をする、というくだりがありました。また、逆行する銃弾の挙動に関しても、意志が最も重要で直感で理解するしかない、という説明がなされるし。すごい真面目な顔で、この設定は嘘だし成りたたないけれどそれは大事じゃないんだ、飲み込んでくれ、ということをやるので、逆に説得力があるという不思議なシーンでした。
これってSFとしては好みが分かれると思いますし、設定や理論だけで言うと破綻しているんですけど、僕は好きでした。
『インターステラー』の時もそうですが、人間の感情とカタルシスを優先させるために科学的な正しさを捨てるということを平気でやってる訳で、普通はそういうのは自己言及しないと思うんですけど、ノーラン監督の脚本はあえて言うんですね。ごめん、こっからは科学じゃないよ、って。ロマン至上主義というか。

そのせいで、TENETは過去の改変に当たってのタイムパラドックスをまったく解決していないし結果が決まった世界における自由意思や物事の起点について考え出すと全てぐちゃぐちゃなので、この勝負に関しては「そんな設定を採用すると思わないじゃん!ズルだよ!」って気持ちはあります…!
ただ、ノーラン監督なら~…というメタ的な視点で考察したところもあったので、タイムパラドックスを無視して過去へ人間が行くっていうのも予想すべきだったんでしょうね…。

そこは予想できなかったんですけど、
なんとか食らいついて保管倉庫のシーンとセイターの故郷の集団戦のシーンは、誰が何を考えて何が起こったのか、たぶん全部分かったと思います。

あっ!そういう設定ね!って判明してから、
同じ時間の場面のなかで二重に存在している人物がどう行動しているのか観察すれば良い、ということが分かったので(僕の当初の予想だと、アクションが順行なのか逆行なのか考える必要がある、と思っていたのですが、設定が明らかになってからはアクションの時間軸は人物に結び付いて単一なので、その人物が順行なのか逆行なのかを考えればよい、となったため)、
ニールだけが2人に増えるラストシーンと、主人公たち2人が二重になる美術品倉庫のシーンは分かりやすかったです。
作中に描かれていないアクションも少なかったし。
特に美術品倉庫のシーンは、主人公の既知の行動を逆行側の主人公が敵対者としてなぞる、という流れだったので、あそこで作品内の設定や物理法則のルール、鑑賞のお作法が僕の中で完成した気がします。

ただ、そのまえのカーチェイスのシーンが本当に本当に難しい……!
いまだによく分かっていないのは、順行のセイターと逆行の主人公の動きです。
描かれてなさすぎでは……?
あと、銃で奥さん使って脅すシーンも、情報を聞きだしてるのに、そのあとでちゃんと撃ったり質問したりしないと、因果が壊れちゃうからそれを選択してるのか、それともその決定からはセイターは抗えないのか、、
各キャラの自由意思を考えると本当によく分かんなくて難しい…。
逆行の主人公が乗り込んでる車って逆行させてあった車ってことですよね?
横転させられる前に発信器をつけてるんですよね?そんで、追いかけたからセイター視点でのプルトニウムの位置が確定してる…?
そのあとの回収って描かれてないけど、もう1ループして3人目が来てるってこと???


分かんない分かんない!負け!!!


岩田さんの動画を見てたときは、カーチェイスのシーンがチュートリアル的なアクションシーンなのでは?とか予想していたんですけど、
自分の理解があってるとすれば、最初のカーチェイスがいちばん複雑で難しいです…。
考察とかを読もうと思います…。
でもガスマスクとか要所要所は完全に読みきってたので凄くないですか…?


ノーラン作品のSFとしての態度は、上述の通り、僕は好みでしたので、設定が科学を放り投げたあとも気持ちよく観ることができました。『インターステラー』は親子の愛と人類救済の気持ちいい活躍のために科学設定を途中でかなぐり捨ててて、それが僕は最高だったんですけど、
TENETは、科学的正しさを捨てて、映像的な驚きと、順行と逆行による時間の挟撃を描いてたと思います。

前者は人間ドラマを最大化してたんですけど、後者は映像の旨味を最大化してるんですよね。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『バタフライ・エフェクト』、『シュタインズ・ゲート』や『クロノトリガー』みたいな、時間を遡って結果を生み出すことで人間の感情が最大化される作りになってたほうが、個人的には良かったなぁ、と思いました。ベタになっちゃうんですけど…。

具体的に言うと、ニールたちとの友情が観客の目の前で形成されていないので、ラストシーンはちょっと物足りないところがありました。ニールとの関係性や彼の献身の理由を未来の主人公のお陰にしているので、ニールとの友情の嬉しさが現在の主人公にはあんまり無いという…。「全部未来のキミのお陰なんだよ」って言われても、「お、おお…そうなん…」くらいの温度になっちゃうというか…尺もないから『ラッシュアワー』『セブン』みたいにバディが歩み寄ってく過程を描いてる訳でもないし厳しいんですけどね…。

多くのタイムリープものが、試行錯誤の末にやっと運命を書き換えて事件の解決に至るのに対して、TENETは事件が解決し、その理由に未来の活躍があり、主人公がこの結末に辿り着くための戦いがこれから始まるのだ…という結びだったので、ドラマの嬉しさやカタルシスは少ないんですよね。ハードボイルドな終わり方ではあったし、超リッチな情報量が映像にも脚本にもあって満足度の高い2時間半だったのは間違いないですけど。
もっとカットされた描写やストーリーがたくさん含まれた原作小説がある、って言われたら信じるし、絶対それは面白いから読みたいです。

映像の面白さは、
インターステラーの縦横無尽に本棚と過去の風景が連なる多次元空間とか、インセプションの街が反り返って閉じる映像と比べちゃうと、あんまり予想の域を越えてくれなかった感じもしました。
爆発に巻き込まれて壁の中に取り込まれちゃったり、粉塵が収まった瞬間に衝撃波が発生したり、なるほど!と思えるアイディアがないわけではなかったけれど、基本は逆行って収束へと向かう見え面になっちゃうので、ふつうに爆発してたほうがド派手だなって感じちゃうシーンが多かったです。『ジョジョ』四部のクレイジー・ダイヤモンドみたいに、もっと物体が戻る・遡ることの攻撃や戦略が多彩だったならより面白かったかも…。

でもでも、「時間の挟み撃ち作戦」と「記録は全て未来の誰かに届く」の2つのアイディアはカッコいい発明だし、最高だったと思います!
特に後者は、その設定があるだけで登場人物たちの思考様式が現実と全然変わってくるんですよね…!
スーパーリッチな映像と特にニール、セイターによるスーパー賢い頭脳戦が、アクションシーンを唯一無二のジェットコースター体験にしているので、『ミッション・インポッシブル』とか『007』みたいな面白さ、かっこよさがありました。この世の『分からないのに面白い』の中でいちばん面白いと思います!たぶん!

『メメント』、『インセプション』、『インターステラー』、『ダンケルク』、それらを経てTENETに至っているということの面白さもあったので、ノーラン監督の作品が好きなら輪をかけて面白いとも思います!


しばらく何も考えたくありません!
ありがとうございました。

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