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移動手段

目の前を過ぎてゆく 古くて角張った美しい車
深い青や緑 クリーム色 眺めるほどに安らぎと高揚が入り混じって

田舎に住まうと 車を所有し日常的に運転する生活はごく一般的で
四人以上が乗車可能であっても 運転席にただ一人という車が少なくない
二酸化炭素を排出し 音や振動を発す機械に身を委ね
全身に風を感じにくい環境下で 足を曲げたまま座す非日常感
関節を筋を伸ばしたい 通りにくい道理だと分かってはいても

長距離移動の心づもりがあり 窓からの風景を眺めていられるなら
旅情も掻き立てられようが ハンドルを握れば次元は変わる
林道なら脱輪程度で済んでも 町を走るならとめどない緊張の渦
四方の車や歩行者へ注意を注ぎ 慎重な予測と臨機応変な対応に呼吸を忘れ
はてない一本道や夜道をゆけば 歌を唄い腕を噛んで意識を保つ
春樹や松任谷正隆の 車の描写を読むとわくわくする
乗っていさえしなければ これほど近しく感じる機械もないのだが

公共交通機関を使うと 時間のすき間が生じ来て
思いがけぬ交流が起こる 食べものが行き交いお喋りがある
歩きのときとは視線の高さも異なり 風景のなかに発見も多く
過ごしてきた環境もおおきく作用しよう トラックの荷台や自転車の後ろ
ローラースケートやバイクと 常に外気と共にあった
車だと トンネルやハイウェイなど窓を閉めねばならない場所も

徒歩と自転車 乗合バス 遠出の折にはバスやフェリーに乗合
公共交通機関を使う人が増えれば クラクションや渋滞も間遠になるか
各地を走るすてきな乗り物 セグウェイにクラシックな装いのバス

隣り合った人々から聞く物語 今学んでいること 夢中になっていること
誰の内側にもある宝箱から きらきらしたものが零れ出して
方向性は様々に 住んでいるからこそ知っている物語
余所の人にも伝えたいあれやこれや 移動は地と人をつないでゆく


 

Erat, est, fuit あった、ある、あるであろう....🌛