愛というもの

共に過ごす時間は、一本の線のように確かで鮮明で、揺るぎない強さを持つもののように思える。しかし、離れた途端、それはただの点々の集まりに変わり、曖昧でぼんやりとした、脆いものへと姿を変えてしまう。まるで砂の城や氷の彫刻のように。その完全な形を保つには、卓越した技と並々ならぬ努力が求められる。一度でも崩れたならば、もはや二度と同じ形には戻らないだろう。愛とは、扱うのに骨が折れるものだ。それなのに、人間はどうしてこうも簡単に愛を囁くのだろう。無責任すぎるではないか。