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神は海からやってくる|伊豆・白濱と沖縄の来訪神信仰

漁師さんたちにとって、海は豊かさの源。海によって生計が成り立つため、海への感謝の祭祀を行う。港や漁場の近くには、たいてい海(水)の神である弁天さんが祀られています(=龍神信仰)。

三嶋神の国造りと動き

白濱神社社伝・三宅記によると、南方から海を渡って白濱にやってきた三嶋神は、富士山の神から伊豆を譲り受けた後、白濱にて島造り・国造りを行います。

その後一旦三宅島に移住しますが、伊豆国造りを終えた後また白濱に戻って、女神・伊古奈比咩命と共に居を構える。最終的には、伊豆一ノ宮である三島市・三嶋大社に遷座されたそうなんです。

他に私の気になった記録として、昔、白濱神社の例祭の日には、対岸の伊豆諸島と火明かりでコンタクトを取り合うイベントを行っていたということ。

あと、白濱神社の構造から見るに、古代祭祀場での祈りは、海(島)に向かって祈りを捧げていたように思います。

対岸の島(伊豆諸島)との深いつながり・海の彼方(方角:東)に向かって祈りを捧げる風習・火。

私は沖縄のニライカナイ信仰と共通するものを感じました。

なぜ海に向かって祈るのか?

見知らぬ船が漂着。その船に乗っていた漂流者は南方から来たと言う。その漂着者が新天地で生き抜くためにはどうすればいいか?その土地の人々と良い関係を築くため、その地にない、自分の持っている技術やモノの考え方を駆使して力になることを選択するのではないでしょうか。

困り事を解決してくれるその漂着者を、その土地の人々は感謝するようになります。場合によっては、神のように崇めることになってもおかしくはないでしょうと。

神の島と言われる沖縄本島・久高島には、このような伝説が残っています。

浜に壺が漂着。その壺の中には五穀が入っていた。その五穀によって、島の人々は飢えから救われた。それ以来その浜は祭祀の場として大切にされ、五穀豊穣の儀式が執り行われるようになったと。

ちなみに、琉球国開闢神話の男女二神アマミキヨ・シネリキヨも最初久高島に降りた後、本島北部や中部に移動したと記録されています。

昔は、新しい技術・文化含めたモノ・ヒト(人神)、全てのものが海からやってきた。だから、海に向かって祈るわけですね。

時には敵もやってきたでしょうが…苦笑。

今となっては由来より、どうしても儀式だけにフォーカスが当たってしまい本質がわからなくなってしまいがちですが、現地でフィールドワークしてみたり、歴史や伝承を違う視点で鑑賞してみたりすると、見えてくるものが違ってくるのでした。

おもちろい(←水木しげる語w)ですね。



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