ほほえむ日記(2)
単身赴任中の父が、東京出張のため我が家に帰ってきた。
先月は私が父の赴任先を訪れたから、顔を合わせるのは久しぶりではなかったけど、我が家に家族全員が揃うのはやっぱり嬉しい。
父はかれこれ8年ほど単身赴任で各地を転々としているから、新鮮みさえある(家は狭くなるけれど)。
家に着くなり母に促されてお風呂に入ったと思ったら、ものの10分で上がってきて、
母と短く、けど楽しそうに言葉を交わす。
うちに帰ってくる父はいつも上機嫌だ。
22時頃、父は自分の寝室へ引き上げていく。
そのときに発した言葉は
「おやすみマンモス〜」だった。
🦣
えっ。
父、いただきマンモスはよく言うけど
マンモスっておやすみにも使えるのね...?
いや、いただきマンモスさえ久しく聞いていなかったのになんで今マンモス...??
(母は普通に「はーいおやすみー」と返す)
私も次の日の朝は早かったから自室でストレッチをして、寝る準備が整ったところだったのに、いっきに可笑しくなって目が覚めてしまった。
ひとしきり、くすくすと笑ってから、
あぁ、いいなあ、
と心が温かくふわふわした。
でも、わたしは知っている。
赴任先では、ちょっと広すぎるアパートを一人で借りていて、本当はすごくさびしいこと。
今日はすぐにお風呂からあがったけど、
普段なら湯船に浸かって、ぼーっとする時間が必要なこと。
今日も明日も仕事で疲れているだろうに、600キロも西の土地から移動してきて、明るく振る舞っているのは、たぶん少し気を張ってること。
お酒は毎日飲むし、禁煙は失敗しちゃったし、私が小さい頃の父は怒りっぽくてこわかったけど、
当たり前だけど父は、これ以上ないくらいの、最高の私の父だった。
ストレッチを終えて、横になる。
さっきまで可笑しくて仕方なかったのに、気づくと頬は濡れていた。
私は、あなたの娘でほんとうによかった。
いつもはこんなこと絶対に伝えないけど、
父がまたひとつ歳をとる1ヶ月後にでも、
この記事、見せてあげようかなと思う。
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