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お探し物は図書館まで



最近は忙しくて全然本を読めていなかったけれど、かわいい猫のブックカバーを買ったことをきっかけにまた読むようになった。



読みたい本をたくさん積読していたところだからちょうどよかったし、本のある生活がやっぱり好き。そうやって久々に手に取った一冊は、この世界に生きる誰かにとっての「人生の曲がり角」を垣間見ているようだった。
将来についてぐるぐる考えてしまう今の私にはぴったりの本。



題名は「お探し物は図書館まで」
仕事や生き方にもやもやを抱える5人が、町の小さな図書館の司書さんがお勧めする本と付録で、大切な気づきを得る物語。心に残る一文にたくさん出会ったから、誰かに共有したくて。
私の考えたことと共に書いてみようと思う。



私はきっと、森の中に入ったところだ。
何ができるのか、何をやりたいのか、自分ではまだわからない。
けれどあせらなくていい、背伸びしなくてもいい。
今は生活を整えながら、やれることをやりながら、手に届くものから身につけていく。備えていく。
森の中で栗を拾うぐりとぐらのように。
とてつもなく大きな卵に、いつどこで出会うかわからないのだから。


社会人になったばかりで、先のことばかり考えてしまう今の私には鮮やかに映った言葉。
とてつもなく大きな卵に、私もいつか出会うのかな。それとももう出会っていて、また新しく別の何かに出会うのかな。ぐりとぐらにとっての卵が、心躍るような、一歩踏み出すきっかけだとしたら私はもう出会っている。でも、もっとたくさんの卵に出会う予感もしている。



「でも、なかなかお会いできないような方がお店に来てくださったり、面白い出会いがあったりして、毎日いろんなところを旅してるようなものなんです。
外に出かけずずっとここにいても、お釣りがくるくらいの楽しい経験をさせてもらってる」


私はずっと願ってる。
世界中を飛び回って、いろんな景色や人に出会いたいと。けれどそれってもしかしたら、人々が集う場所を提供することでも叶えられるんじゃないかと思って。ちょっと視点を変えた考え方にわくわくした。みんなが来たいと思える場所ってこういう喜びも含んでるんだね。


「お誕生日おめでとう。私と出会ってくれて、ありがとう」
じんわりと、心の隅々まで安らかなもので満たされる。私がミラで得たものは、仕事のキャリアだけじゃなかったのかもしれない。
職場を離れたところで向けてもらえた、こんなにあたたかな想い。がんばって生まれてきたかいがあったと、私は心から思った。


仕事はお金をもらうための手段。仕事で得たお金があってこそ、おいしい食べ物を買えるし、当たり前の幸せを作っていくことができる。
けれど、仕事を通して心が動いたり、自分の「好き」を見つけたり、人との出会いを大切にしたり、そういうのがあったらもっといいなと思う。
私はそういう生き方がしたい。
いつか、仕事を通して出会う子どもたちに「私と出会ってくれてありがとう」と伝えられたらいいな。



「……転職して、よかったですか。変わることに不安はなかったですか。」
「同じでいようとしたって変わるし、変わろうとしても同じままのこともあるよ」


変わっていくものと変わらないもの。双方に囲まれた世界で、いろんな感情を抱いている。
大学生の頃は今を抱きしめたくって、変わっていくことが寂しいなと思っていた。けれど社会人になった今は、自分が経験から得てきたものを咀嚼しつつ、もっと変わっていきたいなと思ってる。
変わっていくことは寂しさ、嬉しさ、どちらも含んでいるように感じる。




「私はね、人と人が関わるのならそれはすべて社会だと思うんです。接点をもつことによって起こる何かが、過去でも、未来でも。」


接点をもつことによって起こる何か。
この本を読んで、私たちは "目に見えないところで" たくさんの人と繋がっているのだと思った。
普通に生きていたら知ることのないそんな繋がりを、この本は垣間見せてくれた。


「作る人がいるだけじゃ、だめなのよ。
伝えて、手渡す人がいなきゃ。一冊の本が出来上がるところから読者の元に行くまでの間に、いったいどれだけ多くの人が関わってると思う?
私もその流れの一部なんだって、そこには誇りを持ってる」

「本を必要としている人はいつもいるの。
誰かにとって大切な一冊になる本当の出会いが、本屋にはあるんだよ。
私は絶対、この世から本屋を絶やさせたりしない」


本が大好きな私にとって、とても心に残る二文。
本が自分の手元に届くまでにはたくさんの物語がある。それを想像すると今手にとっている本がとても愛おしく思える。
つくる人、つなぐ人、使う人。
その誰もが欠けてはならない大切な存在なんだと思う。


わたしはこれまでずっと、前へ前へ歩いてきた。
人生は縦に伸びているものだと思っていた。
でも今、横歩きの景色には何が見えるだろう。
そばにいてくれる娘が、妻が、日々の生活が、どんなふうに映るだろう。


"横歩きの景色" っていう言葉、とっても素敵。
今を生きる私が感じること、今見えている景色を大切に生きていきたいな。
ワイドビューで。



長くなってしまいました。
ここまで読んでくれてありがとう。
本を読んで、そこから自分だけの感情や気づきが生まれる瞬間が心から好き。



のんびりゆっくり、本のある生活を楽しもうと思う。
よかったらみんなのおすすめも聞かせてね。


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