見出し画像

『俺だって極道さ』トリヴィア/ インディアンムービーウィーク2021

旧フランス領ポンディシェリを舞台にしたクライムコメディ、『俺だって極道さ』のトリヴィアを紹介します。

『俺だって極道さ』(Naanum Rowdy Dhaan)というタイトルは、スンダル・C主演の『Thalai Nagaram』(2006年/ 未)という暗黒街映画の中で、コメディアンのヴァディヴェール(『ムトゥ 踊るマハラジャ』『マジック』など)が口にする台詞から。ヴァディヴェール演じるナーイ・セーカルというキャラクターが、ギャングのドンと見られたがって口にする。

本作の主な舞台は、連邦直轄領のポンディシェリとタミルナードゥ州の州都チェンナイ。チェンナイの南150kmほどのところにあるポンディシェリ(タミル語名プドゥッチェーリ、略称はポンディ)は独立前のインドで数少ないフランス領だった土地。旧市街の一部には今でもフランス風の街並みが残り、観光地となっている。

監督のヴィグネーシュ・シヴァンは本作がデビュー第2作目の新進(2021年の現時点でも監督は長編4本、短編1本)。『無職の大卒』(2014年)の後半で「助っ人のヴィグネーシュ」としてカメオ出演も。本作をきっかけに始まったナヤンターラとの長い交際でも知られる。2人は2021年8月になって正式な婚約を発表した。ヴィグネーシュ・シヴァンの母親は、本作の主人公の設定と同じく警察官だったという。

ヴィグネーシュ・シヴァン監督によれば、本作の初期構想段階でヒーロー役に想定されていたのは、今やトップ音楽監督となったアニルド。ヒロイン役はサマンタだったという。その後幾人もの候補が挙がった後に、リードペアは最終的にヴィジャイ・セードゥパティとナヤンターラに落ち着く。初期構想でのヒーローの想定年齢は何と19歳。作中でのヒーローの不思議な子供っぽさはここから来ているものと思われる。撮影開始前、2014年ごろのヴィジャイ・セードゥパティは既に貫禄のある体型だったが、頼りなげな青年を演じるためにハードな減量を行ったという。

本作の冒頭で主人公の少年時代を演じるのは、ヴィジャイ・セードゥパティの実子スーリヤー。このスーリヤー・ヴィジャイ・セードゥパティは4年後の『Sindhubaadh』(2019年/ 未)でも父と共演を果たしている。

※『Sindhubaadh』での共演俳優サウンダラ・ラージャーのツイート

一方、ヒロインの子供時代を演じるのは、ケーララ州出身のアニカ・スレーンドラン。本作の4年後に封切られた『永遠の絆』(2019年)でのアジット・クマールの娘役ですでにお馴染み。2021年の現在は、子役から脱皮しつつあり、ナーガールジュナ主演のアクション作品でテルグ語映画界デビューが予定されている。

主人公の友人ドーシを演じるのはRJ(ラジオジョッキー)・バーラージ。2017年封切りの『吹き渡る風に』でも脇役出演していた。ラジオジョッキーとしてはCross Talk Prank Callという番組が有名で、本作中のスタジオでのいたずら電話のシーンは、このラジオ番組内での「芸能人相手のドッキリ電凸」を踏襲したもの。

本作の6つの挿入歌の作曲はすべてアニルドによる。作詞は、6曲中5曲を監督のヴィグネーシュ・シヴァンが手掛けている。実はヴィグネーシュ・シヴァンは作詞家としての活動もかなり活発で、本作以外にも『マーリ』(2015年)、『レモ』(2016年)、『ヴィクラムとヴェーダ』(2017年)、『サーホー』(タミル語版)、『マスター 先生が来る!』(2021年)でも、一部の楽曲の作詞を担当している。

▼『マーリ』から♪Thappa Dhaan Theriyum(そうさ 俺は裏街道を行く)

本作の中には、ヒーローがヒロインに向かって“Are you OK, baby?”と口にするシーンが何度かある。この台詞は、ヴィジャイ・セードゥパティとナヤンターラが次に共演することになった『まばたかない瞳 バンガロール連続誘拐殺人』でも、ちょっとしたくすぐりとして使われている。

▼『まばたかない瞳』の“Are you OK, baby?” 

本作の出演者で大きく注目を浴びたのは、ギャングのボス・キッリを演じるパールティバン。俳優と監督を兼業し、1980年代末から活動しているベテランだが、本作での強面とオトボケが入り混じった不思議なキャラクターは大変に新鮮で、公開直後から他作品への出演のオファーがひきもきらない状態になったという。つい先日オンライン公開されたヴィジャイ・セードゥパティ主演の『Tughlaq Durbar』(2021)でも重要な役で出演。

▼エンディング近くで使われた曲は、『無職の大卒』の♪Amma Amma。

【作品情報】

俺だって極道さ(原題:Naanunm Rowdy Dhaan)

画像1

お洒落でシュールなリベンジ・コメディ
ポンディシェリに住む青年パーンディは、警官の母親を持ちながら極道になることに憧れており、友達のドーシと一緒に「極道ごっこ」で小遣いを稼いでいた。ある夜彼は聴覚障がいがある女性カーダンバリに出会い、一目惚れする。何とか彼女の心を開こうとするパーンディに対してカーダンバリが求めたのは、幼少時に起こって以来彼女のトラウマとなっている襲撃事件の首謀者である大物極道への仇討ちだった。へっぴり腰で始まった仇討ち作戦は、想定外の勢力が脇から加わり、思わぬ方向に転がり出す。人気のヴィジャイ・セードゥパティ(キケンな誘拐)とナヤンターラ(ビギル 勝利のホイッスル)を配し、旧フランス領ポンディシェリのお洒落な街並みを舞台にした、ちょっぴりシュールで、ふんわりと軽い、異色の新感覚リベンジ・コメディ。ダヌシュ(無職の大卒)プロデュース作品。

監督:ヴィグネーシュ・シヴァン
製作:ダヌシュ
出演:ヴィジャイ・セードゥパティ、ナヤンターラ、パールティバン、ラーディカー・サラトクマール、R・J・バーラージ
音楽:アニルド
字幕:日本語
ジャンル:ロマンス / コメディ / クライム
映倫区分:G
2015年/ タミル語/ 139分

▶︎ 上映情報は IMW公式サイトをご参照ください。

▶︎ 『無職の大卒』はインディアンムービーオンラインにて、配信中のほか、DVDを販売しています。ぜひあわせてご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?