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『双璧のアリバイ』トリヴィア/ インディアンムービーウィーク2021

インディアンムービーウィーク(IMW)2021パート1上映作品『双璧のアリバイ(原題:Thadam)』のトリヴィアを紹介します。初見でも十分楽しめる作品ですが、知っておくとより作品を楽しめる内容です。決定的なネタバレはありません。

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[あらすじ]

大雨の夜に静かな住宅街の一軒で起こった殺人事件。犯人を特定できる遺留物は見つからず、被害者の交遊関係にも不審な人物は見当たらなかった。しかし、同じ夜に隣家の住人が偶然撮影したセルフィーの片隅に、怪しい人影が映り込んでいた。土木技師のエリルはその人影と同一人物であるとして拘束される。法の抜け穴をきわどく攻める犯罪スリラー。

[トリヴィア]

『双璧のアリバイ』は新進監督マギル・ティルメーニの、デビュー後第4作目で最大のヒット作。ティルメーニ監督は第2作目でやはりアルン・ヴィジャイと組んだ『Thadaiyara Thaakka』(12)以降、スリラーを作り続けている。

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Thadaiyara Thaakka(12)ポスター

◼️アルン・ヴィジャイはベテラン俳優ヴィジャヤクマール(『ヤジャマン 踊るマハラジャ2』『バーシャ! 踊る夕陽のビッグボス』『リンガー』)の長男で、1977年生まれ。1995年にアルン・クマールの芸名で主演デビューしたので、既に25年以上のキャリアとなる。

◼️アルン・ヴィジャイは、デビュー後も1年に1本程度のゆったりペースで映画に出続けていたものの、突破口となるスーパーヒットには恵まれずにいた。そのマンネリ状態を変えたのが、デビューから20年めの『Yennai Arindhaal』(15)での悪役演技。

◼️アジット主演の同作での悪役のキャラクターは、非常に丁寧に肉付けされたもので、アルンの影のある演技が映えることとなった。これ以降オファーが増え、主演ではないものの『Chekka Chivantha Vaanam』(18)『サーホー』(19)などメジャー作品に出演するようになった。

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◼️出演者の中の変わり種は、強面の捜査官を演じるヴィジャヤン。フェフシ・ヴィジャヤンとも呼ばれるこの人は、父親の代からのスタントマン+スタント振付師。これまでに『ダバング 大胆不敵』(10)『ジャスミンの花咲く家』(13)のスタント振付を担当している。

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◼️ヴィジャヤン演じる捜査官による取り調べシーンでの被疑者への暴力は、インド映画を見始めた人にはショッキングかもしれない。もちろんこれはインドでも違法だが、娯楽映画の中では改めて疑問を差し挟むこともなく「そういうもの」として描かれるのが普通。

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◼️ヒーロー俳優が警察官を演じる作品においてすら、警察官による取り調べ中の暴力はカジュアルに描写されることが多い。本作では、そうした暴力に対して登場人物が正面から異議を唱えるシーンがあるのが興味深い。

[作品情報]

監督:マギル・ティルメーニ
出演:アルン・ヴィジャイ(サーホー)、タニヤー・ホープ、スムルティ・ヴェンカト、ヨーギ・バーブ(僕の名はパリエルム・ペルマール)、ジョージ・マリヤーン、ヴィディヤ・プラディープ、ソニヤ・アグルワール
音楽:アルン・ラージ
2019年/ タミル語/131分
映倫区分:G
©RedhanThe Cinema People





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