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小1の頃、教室脱走王だった子ひつじに対する学校側の粋な配慮〜子ひつじとのADHD育児を振り返る⑥〜

ちょっと振り返り育児の時系列としては前後してしまうのですが、この時期になると思い出すエピソードをひとつ。

🥒子ひつじが学校から持ち帰った大きなきゅうり

子ひつじが小学校1年生の夏休み前。
放課後ルームから出てきた子ひつじは、大きなきゅうりを手にしてました。
ルームの先生に聞いたところ、ルームに来た時にはすでにきゅうりを手にしており、本人は「がっこうでもらった」と言っていたとのこと。

ははひつじ「どこでもらったの?授業で使ったの?」
子ひつじ「はたけでもらった」
ははひつじ「どこのはたけ?」
子ひつじ「がっこうのはたけ」
ははひつじ「…おめ、まさか脱走ついでにもいだんじゃねえか」
子ひつじ「ちがう。もらったの」

子ひつじの証言だけでは埒があかないので、連絡帳をチェック。
担任からの情報によると、3時間目に教室を脱走した子ひつじは、学校内にあるきゅうり棚で授業をしていた2年生のところに出没。
その授業の先生は子ひつじを追い出すことはせず、

「こっちへおいで。君も一緒にきゅうりを観察しよう」

と、授業に混ぜてくれたうえ、

「手伝ってくれてありがとう。これはお礼だよ」

と言って、とても立派なきゅうりを一本、子ひつじに持たせてくれたのでした。

きゅうりをもらった子ひつじは、意気揚々と自分のクラスに凱旋。
「大きなきゅうりを持ってきたスゴい奴」として、その日は一日中、クラスの英雄となったのでありました。

🫶いわゆる「合理的配慮」と言うもの

小学校入学時から、1日も脱走しない日はない「1年の教室脱走王」として、校内中にその名を轟かせていた子ひつじ。

ははも担任も、どうやったら脱走しないか、毎日連絡帳や電話でのやり取りで、互いに頭を抱えておりました。

そんな時、当時の校長先生が言っていたことを担任が教えてくれました。

「この子はね、自分で歩いて「学校」を確認してるんじゃないかな。学校の隅から隅まで歩いて、納得できたら多分、教室で過ごすようになるよ」

確かに、保育園より広く、人数も多い「学校」と言うものは、子ひつじに取って未知の領域。ざわざわするその正体が知りたくてしょうがないのだろうな、と、ははひつじはその時初めて「子ひつじ目線」を知ることとなったのです。

その上で、校長先生は職員会議でこんなお達しを出してくれました。

・1年生の子ひつじちゃんが教室に入ってきても追い出さない
・子ひつじちゃんが興味を持ちそうだったらそのまま授業を受けさせる(学年問わず)
・速やかに子ひつじちゃんの担任へ連絡する
・教職員みんなで他の児童にも配慮しつつ子ひつじちゃんを見守る

今回の「きゅうり事件」も、校長先生をはじめとする先生方の配慮の中での出来事だったというわけです。

いわゆる、インクルーシブの「合理的配慮」と言うやつですね。

子ひつじが通っていたのは、市内の普通の公立小学校。
「この子ADHDですひとつよろしく!」
と公言して入学してきたケースは珍しかったようで、先生方も対応は手探りでしたが、それでも一度として子ひつじを「困った児童」として扱うことはありませんでした。

「合理的配慮」という言葉を知る前から、合理的配慮をしてもらっていたという、とてもありがたい体験をさせてもらったな、と振り返る次第であります。

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