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新宿区の予算はある国の国家予算と同じ規模!

新宿区議会では今年の第1回定例会が開かれ、私は予算特別委員会の委員となり様々な質問をしました。今回は、3回に分けて報告します。
新宿区の今年度予算は、2500億円を超えるものとなりました。区では、例えば子育てや福祉といった政策を実際に行うための4年ごとの実行計画を作っており、今年はその「第3次実行計画」を開始する年にあたります。
基本政策として、
①健全な区財政の確立、②新宿の高度防災都市化と安全安心の強化、
③賑わい都市・新宿の創造、④暮らしやすさ1番の新宿、
⑤好感度1番の区役所
の5つが定められています。

当初予算は2590億円。うち、一般会計は過去最大の1845億円。国民健康保険特別会計が396億円、介護保険特別会計が262億円、後期高齢者医療特別会計は87億円です。
小さい国の国家予算と同じくらいでは?と思い、調べたところ、17億米ドル相当なので、152位のグリーンランドと同じ規模でした!
(2024年アメリカ中央情報局CIA 世界229の国と地域を対象としたもので国家予算に直結する政府収入の順でのランキング)

物価や人口などの違いがあるとはいえ、相当な規模です。
そう考えると、38名の区議が審議するのに、2週間で十分な時間となったのか、審議内容はどうだったのかぜひ区民のみなさんに、知っていただきたいところです。今回の予算特別委員会は、2月26日から3月8日の間、10時から17時まで質疑が行われました。

どこからお金が入って、何に使うのか

こんな大規模になると、どこからお金が入って何に使うのか?気になるところです。
一般会計の歳入を見てみると、一般財源が約6割(1185億円)、特定財源(660億円)が約4割です。特定は分担金や国庫支出金、都支出金など決まったものです。
一般財源の内訳をみると、所得金額増で特別区税(住民税)が増え、株価の影響で株式等譲渡所得割交付金が増えたこともあります。実は、たばこ税も新宿区では重要な収入の一つになっています。
何に使うのか一般会計の歳出を見てみると、義務的経費851億円と一般事業費802億円で半分くらいづつといったところ。義務的の方は人件費など。一般事業費は物件費、維持補修費などになります。
予算特別委員会では、この歳入と歳出について、主に目的別で審議していきます。例えば、歳出予算の目的別内訳をみると、福祉費471億円(25.5%)、子ども家庭費350億円(19%)といったように細かくなっていきます。
予算について詳細を知りたい方はこちらから確認できます。

国会の審議とちょっと違う方法

NHKで放映されている国会の本会議と予算委員会を見慣れている方には、自治体の議会の違いがおもしろいかもしれません。
国会議員が大臣に質問をする場面では、大臣はほぼ与党政治家なので、与野党で激しい応酬が繰り広げられる場面も。本会議は原稿を読み上げますが、予算委員会は事前に質問通告をしたうえで、その場で答えます。
私が以前、秘書として質問を作り通告をしていた時は、予算委員会は項目のみで詳細は伝えず行いました。他の常任委員会は項目だけでなく、細かい点を伝え、調整したことも。データなど資料を出してもらいたい時は、あらかじめ伝えておくことで質問時間の節約になるだけでなく、さらに詳細を聞き出すことができます。
しかし、質問を先に伝えてしまうと期待する答弁が得られないこともあるので、この違いはとても大きく、想定問答をいくつか準備して質問に挑みます。

新宿区議会の場合は、質問をする相手は区長、教育長など担当部局です。そのため、政治家同士の対決の場面というよりも、実務担当者に対してより良い行政をするように質疑をしていくものだと私は考えています。
新宿区議会の本会議はお互いに原稿の読み上げで、見た方からはおもしろくないね、と言われたこともありました。スリリングなやり取りは見られないですし、先日の立憲民主党の山井和則衆議院議員の約3時間におよぶフィリバスターが起きることはないでしょう。
ただ、国会に比べると予算特別委員会は、とても自由です。まったく通告なしでその場で質問できるため、私の場合は通告なしで質問しました。
質問の場面は3つに分かれます。①総括、②款項、③締めくくりです。
始めに、①総括質疑と②締めくくり質疑は最初と最後に。一人の持ち時間はおよそ①42分、③15分で会派の中で誰が質問をするのか決めます。そのため、大会派となれば長い時間を取ることができます。
①と③は理事者と呼ばれる各部長・課長など役職者が勢ぞろいするため、一気にここで聞いておきたい!という質問が可能です。

その間の日程の②では、総務費のうち第1款議会費・第1目議会費のように、目的別予算について細かく質疑をします。一人15分を限度として、手を挙げて質問します。
これが結構難しく、たくさんの人が手をあげると自分の聞きたい質問が出ることがあるので、同じことを繰り返さないように、さらに確認したいことがないか注意する必要があります。私はかなり手を挙げていたので、まったく気が抜けない2週間でした。

他の人にはできない質問を

多くの議員が同じ質問をするなと気が付いた方もいるかもしれません。また、自分たちが主張してきた提案を受け入れてもらったというアピールの場面もありますが、何人もの議員が同じ提案をしていたりします。共通課題が多いのでどうしても同じになってしまいます。
これは、自治体での課題として、子育てや高齢者福祉、中小企業支援など共通することが多いからです。どの議員も、同じ課題に取り組んで、もっと暮らしやすい新宿にしたいという思いがあるからではないでしょうか。

ただ、それではせっかく区議会へ送り出してもらったのに、独自色がなくてよいのか、ということも課題になります。
公約を掲げて実行していること、政党に所属していれば政党が目指す方向の施策を実現していくこと、何を考えて政治に関わり、どのような人たちから話を聞き、課題としているのか、質問に強く反映されます。

今回は初めての予算特別委員会ということもあり、当選後からこれまで関わってきた区民のみなさん、障がい者団体や労働組合のみなさんの声、これまでの経験からの提案や疑問点などを質問にまとめていきました。他の先輩区議のみなさんの質問もとても参考になり、質問に政治姿勢や思いが現れることがよくわかりました。
ぜひ、自分の投票した議員や、気になる議員の質疑について、ざっと目を通してもらえるとどんなことを考えているのかが分かると思います。

私が今回、①総括質疑でじっくり聞きたかったのは、職員の働き方の問題です。安定した人材の確保がなければ、区民サービスは充実できません。
男女雇用機会均等法ができたのは1985年。それからいろいろな変化はありますが、まだ女性の活躍という場面では課題も多いところです。
公務員は民間よりは平等だと思われているところもありますが、実際にどうなのか質問していきました。
特に、保育士の働き方の問題では、新宿区立の保育園や子ども園などで働く保育士のみなさんから、
「子育てするなら新宿区、働くなら他の区で」という声を聞きました。
新宿で安心してこどもを預けられる環境が整っていても、常に人材不足の状況ではいつ破綻してもおかしくありません。働きやすい環境づくりのため、新人が働きやすいようにサポートをすること、勤務の調整や転勤、年次有給休暇を取りやすくするために工夫をすること、早番勤務の場合は開園前にサービス残業をしている状況なので、しっかり対応を求めました。

答弁内容としては、担当課で対応をしていくことの回答が出ただけでなく、人事課からも開園前の勤務は勤務時間にあたる旨も回答してもらうことができました。こうした質疑で、少しでも保育士の働き方改善につながり、区民にとって子育て環境が保障されることにつながることを期待します。

また、女性の活躍や男女が働きやすくすることについては、いわゆる非正規雇用(会計年度任用職員)における給与の男女格差が生じているかどうか、同一労働同一賃金であるかどうかの確認をし、人事課からは実現できているという回答がありました。
現場で実現ができていないという場面があれば、こうした回答があったことで対応すべきと今後指摘できるようになるかと思います。

女性管理職を増やしていく課題については、男性の働きやすさという観点が重要になります。他自治体の先行事例を取り入れていくという事など、取り組みを促進していくことを求めました。

災害対策についても質問をしたのですが、長くなりますので続きます。

【山口かおる区政報告会のお知らせ】
 日時:2024年4月17日(水)18時30分~
 場所:戸塚地域センター(高田馬場駅すぐ)
 申し込み不要・参加費無料


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