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【詩】夕風

 鱗の艶に未来は無く、
 虚像の中にただ浮かんでいる。
 乱暴な夕風は、
 甘えの中に佇まなかった。

 砂粒舞う浜辺に立つ少女は、
 眼を抑えて泣いている。
 その泣き声は儚く、
 夕風の中にかき消された。

 鱗はオレンジに染まった。
 あと少しで消えるのに……。

 少女はもう居ない。
 ただ、雨粒がその跡に落ちていた。

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