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訪日客とのタッチポイントを考える デジタル通貨もインバウンド誘致の1つに!?

皆さんはルーラコインという通貨をご存じでしょうか。

ルーラコインは、旅を特別にするために始まった、 全国の観光地や温泉地で使える日本初の「観光に特化」した地域デジタル通貨です。

2022年4月9日に開始した山形県・小野川温泉を皮切りに、栃木県・塩原温泉、さらには兵庫県・有馬温泉、福島県・飯坂温泉、静岡県・下田温泉、伊東温泉、などの観光地や温泉地でルーラコインの導入が開始されています。

https://www.rural.ne.jp/


ルーラコイン対象地域や施設が拡大し、それに伴ってユーザーが増加していけば、観光誘致の為の一つのツールになっていくでしょう。

これは日本国内の旅行者に関連したことですが、インバウンドに関してもこのようなツールやサービスはあるのでしょうか。


今回は、インバウンド誘致のきっかけとなり得るツールやサービスについて考察してみたいと思います。

交通系サービス

JRグループ6社が共同で運営する訪日外国人向けのお得な鉄道切符「JAPAN RAIL PASS」はとても有名ですが、それ以外にも地域限定のインバウンド客向け乗り放題系サービス(フリーパス)が存在します。

以下に一例をご紹介いたします。


  • Japan Expressway Pass

訪日外国人利用者向けに、全国の高速道路が1週間単位で乗り放題となるレンタカーと連動したフリーパス。


  • Greater Tokyo Pass

訪日外国人向けで関東の12社局の鉄道・軌道線と52社局の一般バス路線が3日間、乗り降り自由になる企画乗車券。


  • Visit Hiroshima Tourist Pass

訪日外国人観光客を対象とし、広島県内の主要路線バス、高速乗合バス、広島電鉄路面電車全線、船舶(宮島航路)がセットとなった周遊乗車券。


  • KANSAI THRU PASS

Osaka Metro全線と大阪シティバスのほとんどの路線をはじめ、関西の主要な私鉄がどれも乗り放題になるお得な乗車券。関西一円の約350の施設で割引などの特典を受けることもできる。


  • SANQパス(訪日限定ではない)

九州島内および山口県下関市周辺の高速バス、および一般路線バスのほぼ全線と一部の船舶が乗り放題となるフリーパスチケット。訪日旅行者限定ではないにも関わらず、過去には海外だけで年間16万枚発売した実績がある。


  • THE TOKYO PASS -Culture

東京都内の全ての地下鉄が乗り放題(Tokyo Subway Ticket)になり、さらに国公立・私立の38の博物館・美術館・庭園・動物園・水族園・植物園等の文化施設の入場も可能なインバウンド向け周遊パス。パスの購入から施設への入場まで全てスマートフォン上で完結する。2022年5月以降に、まずは国内在留外国人を対象に実証実験から開始される。今後のインバウンド回復期を見据えた新たなインバウンド向けフリーパス。


訪日外国人向けフリーパスは現在停止しているサービスも多いですが、今後のインバウンド回復期には再開されるサービスが多く出てくるでしょう。その際、乗り放題のような交通のメリット以外に施設入場料の割引特典などがあるフリーパスの対象施設として参加(連携)しておけば、訪日旅行者とのタッチポイントを持つことにつながり、インバウンド誘致のきっかけとなる可能性があります。


キャッシュレス決済

国内でも、少しずつですが現金決済の割合が減り、スマホなどを利用したキャッシュレス決済の割合が増えてきました。代表的なサービスは、Paypay、d払い、楽天ペイ、LINE Pay、au PAY、など。そんな日本人が使っているスマホキャッシュレスサービスですが、海外旅行の際にも利用できるとすれば便利ではないでしょうか。それを訪日外国人旅行者に当てはめると同じ事が言えます。つまり、インバウンド客が自国で使っているキャッシュレスサービスに対応することで、インバウンド客を集客できる一つのきっかけになるのです。

代表的なところでは、中国でユーザーが多い、WeChat PayやAlipayです。


  • WeChat Pay

中国版最大のメッセンジャーアプリである「WeChat」に付随する決済サービス。「WeChat」は、日本でいうLINEのようなサービスで、中国の大手IT企業のテンセントが提供している。ユーザー数は13億人を超えるともいわれており、中国で知らない人はいないメッセンジャーアプリ。

WeChat Pay自体のユーザー数も8.9憶人以上いると言われており、訪日中国人のほとんどが利用していると言っても過言ではない。


  • Alipay

「Alipay」とは、中国アリババグループが提供するQRコード決済サービス。アリババグループは、複数のECサイトを運営している中国の大手IT企業で、BtoBのECサイトの中では世界有数のシェアを誇り、あのAmazonに並ぶとも言われている。

「Alipay」は、そのアリババグループが運営する中国最大のオンラインモールである「淘宝網」の公式決済として生まれた。リアル・EC店舗での決済手段としてはもちろん、ユーザー間の送金や公共サービスの支払いなどあらゆるシーンで活用され、中国国内に深く浸透している。中国本土のみならず、香港や東南アジアでもAlipay関連のサービスが利用されている。


中国以外では、JKOPAY(台湾)、AlipayHK(香港)、Kakao Pay(韓国)などインバウンド旅行者の多い東アジア各国で利用されている決済サービスに対応することは、インバウンドを集客する為の有効な手段の一つとなります。


その他

レストラン、アクティビティ予約サイト

インバウンド旅行者をターゲットとした、レストラン検索・予約サービスやアクティビティ予約サイトに登録することで、特に個人旅行者のダイレクトな集客が期待できます。

アクティビティ(体験)サービスについては、多言語を扱えるツアーガイドや周辺施設と連携すれば、今からでも開発できる可能性はある為、今後のインバウンド誘致手段の一つとして検討してみるのも良いでしょう。


レンタサイクル、休憩・荷物預かり所など

インバウンド旅行者とのタッチポイントを考える際、旅行者の課題解決やその地域に不足しているサービスから逆算して考えることは重要です。

各地域や施設によって検討すべき内容は様々ですが、レンタサイクルなどローカル体験(長期滞在)をしたい旅行者のニーズを満たすサービスや休憩所・荷物預かり所、観光案内所などもタッチポイントになります。


両替所

新規開業には少しハードルが高いですが、両替所については、まさにインバウンド客に特化したタッチポイントです。

上述した観光案内所や荷物預かり所、レンタル系サービスなどを併設することで、ビジターセンターのような機能を有した場合、地域全体にとって有効なタッチポイントにもなり得ます。


まとめ

インバウンド旅行者とのタッチポイントは今回ご紹介した以外にも多くあると思いますので、それぞれの立場であらためて考えてみることをお勧めいたします。

冒頭で触れたルーラコインについても、もし今後、インバウンド客に対してもメリットが付与され、海外での認知度も上がれば、一つのタッチポイントになるかもしれません。そうなれば、「ルーラコインに参画する地域や施設が増加→インバウンド客がルーラコインを使うメリットが増す→ルーラコインの特典が強化→参加施設・利用者共に増加・・・」という好循環が生まれていくでしょう。

また、そもそもキャッシュレス決済が広まったきっかけは新型コロナの感染拡大防止という観点もあった為、すでに世界的なデジタル通貨として存在するビットコインが、今後旅行者に当たり前のように使用される時代になる!?かもしれません。

そんな時代が来た時には、デジタル通貨がインバウンド旅行者を誘致する為の強力なタッチポイントになる可能性は大いにあります・・・。


著者:JOINT ONE 嶋田拓司
海外・訪日プロモーション専門広告代理店『インバウンド ONE』
海外インバウンドマーケティング情報マガジン『エの輪』


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