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未経験から転職で人事になるには?

先日、タイトルのとおり『未経験から転職で人事になるには?』がテーマのオンラインイベントに、ゲストとして登壇させてもらった。

オンラインイベントで話すのは初めての経験だったが、他のゲストとモデレーターさんがステキな方々ばかりだったので、緊張もなくリラックスして参加することが出来た。

イベントの様子は、以下のリンクからYouTubeでも視聴できるので、興味がある方はお暇な時間にでも覗いていただければと。
1時間くらいあるので、ほんと何もやることが無いときにでも…。

https://www.youtube.com/watch?v=BTko1N8BrvQ


イベントは自己紹介から始まり、視聴者から事前にいただいていた質問をテーマに話をしたり、リアルに寄せられるコメント質問に答えていく内容であった。

僕自身がどのような話をしたのか、またもう少し時間があれば出来たお話なども、この機会に記してみたいと思う。
イベントの要点まとめや振り返りとしても、使っていただけたらと思う。

(あくまで僕のパートだけ抜粋しています。他のお二人の内容については、勝手な解釈で記すわけにもいかないので、YouTubeでご確認くださいませ〜)


【自己紹介】

まずは自己紹介からスタート。
Zoomのバーチャル背景を、自分で撮影した沖縄西海岸の海の写真にし、「沖縄からお話ししています」と軽くアピール…w

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【Q1】どうやって人事に転職した?転職先選びで見るべきポイントとは?

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まず先に、「どうやって人事に転職した?」について。

僕の場合、人事への転職は、人材紹介会社さんや求人広告経由ではなく、知人からの紹介(リファラル採用)であったため、スタンダードなものではなかった。

簡単に記すと、こんなエピソードがあった。

外の勉強会に参加した際、グループになって課題解決を一緒に行うワークがあったのだが、グループのメンバーと意気投合し、勉強会終了後も1年近く飲み仲間の関係が続いていた。

そのメンバーの中に、偶然、最初に未経験人事のキャリアをスタートすることとなる会社の役員さんも含まれていた。

元々、人事やキャリアカウンセラーの仕事に興味のあった僕は、飲みの席で「今後、どうしていきたいか」的な話になった際、「未経験だけど、人事の仕事をしてみたい」と話をしていた。

そこで、その役員さんが、1年くらい経った後、「今、うちの会社、人事探しているけど、受けてみる?」と紹介してくれて、ちゃんと面接のプロセスを経て、ご縁をいただいた感じ。

狙って動いたという感じではなく、ある日突然にチャンスが舞い込んできたという状況。

ただ、当時すでに社会人歴10年目で、年齢も32歳とそんなに若くない。
そのタイミングで、未経験職種にキャリアチェンジすることに、一抹の不安を覚えたのも事実。
でも、「こんなチャンス二度とない!」と思って、一瞬で覚悟を決めた。

その決断に対する想いは、以前書いた記事を、ぜひ参考にしてほしい。

次に、「転職先選びで見るべきポイントは?」について。

ここは、回答をちゃんと用意していたものの、進行の流れで話すタイミングを逸してしまい、本番では話せなかったので、この場で回答したい。

そもそも、未経験職種へ転職するということなので、選べる立場では無いという見方があるのも事実。
だけど、せっかく腹をくくって飛び込んでも、会社の状態や考え方でキャリアを築くことが出来ない環境であれば、それは本末転倒なので、少しわがままかも知れないが、未経験でも転職先は選ぶべきだと思う。

すべてを満たす必要はないけれど、僕なりに考える「転職先選びで見るべきポイント」として、次の5つを挙げてみた。

①人事部門をコストセンターとして捉えていないか。
②給与は低くないか。
③部門人事に留まらず、本社人事の業務に携われるか。
④人事部門のヘッドが魅力的か。
⑤がむしゃらに働ける環境か。

順番に説明していこう。

①人事部門をコストセンターとして捉えていないか。

これは、人事部門がというよりは、経理や総務、法務や財務といった管理部門(バックオフィス)全般を指している。
管理部門に対する会社の捉え方や、組織の中での立ち位置みたいなものは、事前に確認しておくとミスマッチが防げることも。

非生産の部署であるため、会社によっては下に見ていたり、評価や処遇に差があったり、そもそも露骨に大事にしていない会社(経営者)も、悲しいかな存在する。

ここを見誤ってしまうと、未経験も相まって、与えられる仕事は雑用的なことになったり、新しい施策や見直しなどもそもそも聞く耳を持ってもらえないなど、転職がキャリアダウンにも繋がってしまう恐れも。

会社を検討する際は、人材紹介会社や面接を通して、その会社における人事部門の立ち位置や、影響力、またヒトという資源をどう考えているかを、思いだけでなく、行動部分まで聞いてみるといいだろう。


②給与は低くないか。

これは上記①にも関連するが、利益を直接生み出せない部署と捉えられがちのため、相対的にバックオフィスの給与や処遇は低く設定されている会社が多い。

これまで営業でバリバリ結果を出していた人が、「人に興味がある!」ということで、人事を志望して未経験で転職するとなると、給与が大きく下がってしまうことも考えられる。

求人を見る際は、人事という職種が出来るのかどうかだけでなく、その会社の業界や事業モデルの成長性をしっかりと確認すること。もし出来るのであれば、バックオフィスを担当する方々の給与レンジも確認しておきたい。

僕の場合、金融業界からキャリアをスタートさせたので、給与レンジは他の業界と比較しても悪くなかったため、納得のいく条件で転職することが出来た。

その人の状況にもよるが、すでに家庭を築いていた場合は、守らなければならない生活もあるので、安易に給与を下げた転職はオススメできない。

また、独り身であったとしても、これまで経験してきた異職種のスキルや知識は、人事の仕事でも役に立つ可能性は十分ある訳であり、「勉強させてもらえるなら、給与はどんなに低くてもいいです!」みたいな姿勢ではあってほしくないと思う。


③部門人事に留まらず、本社人事の業務に携われるか。

組織の規模によっては、各事業部毎に人事機能を有しているところもある。部門人事という機能だ。
主な役割としては、事業の成長に必要な人材採用や、既存メンバーの育成、定着やリテンションなど、現場に身近な立ち位置で、効果的な人事施策を推進するポジションだ。

もちろん、部門人事でも様々な経験が出来るであろう。
ただ、個人的には、本社人事の業務まで経験出来るポジションが理想だ。

本社人事の業務の守備範囲は広い。
採用、人材育成、人事評価だけでなく、制度設計や勤怠給与、労務対応など、色々なファンクションがある。

未経験スタートとなると、新卒採用や中途採用といった採用業務から任されることが多い。会社を知る、人を知るという点では、一番立ち上がりが早く、語弊を恐れずに言うと、誰でも(最低限は)出来る役割であるのが「採用」だ。
(オペレーションを回すという、あくまで最低限のレベルではあるが…)

個人的に経験出来て良かったと思うのが、勤怠給与と労務対応だ。

給与計算もすべてでは無いものの、規程を理解して、実際に手計算もしてきた。
給与や社保回りを経験すると、制度や仕組みを理解することが出来るし、毎月安定的に業務を行う必要があるので、効率化や仕組み化が求められる。
この知識が不足していると、人材育成や制度設計の場面でも、「机上の空論」や「絵に描いた餅」のようなアウトプットになりがちである。

労務対応は、人事のドロドロとした部分でもあるので、あまり関わりたくない領域のお仕事でもある。ハラスメントや休職、労災や労働裁判…。
ここに向き合うことが出来て、実際に窓口となって対応した経験は、本当の意味での人事マンだと思っている。
人の本音や本質と向き合わなければならない、気持ちの良い仕事では無いものの、間違いなく経験値としては大きな役割だと思う。

部門人事に留まらず、本社人事の業務にも携われるかどうか、重視するポイントのひとつに挙げたい。


④人事部門のヘッドが魅力的か。

未経験として人事職に就くにあたって、人事部門のヘッドが魅力的かどうかは、とても大事だと思う。

人事という仕事や役割の定義については、人事の仕事を担っている人、それぞれに想いがある。
だからこそ、未経験でスタートすると、最初に一緒に仕事をする人事部門のヘッドの考え方に、良くも悪くも影響されてしまう。

面接の中では、必ずと言っていいほど、人事部門の責任者と話をする機会はあると思うので、ぜひ人として魅力的かどうか、気持ちの良い人かどうか、五感を通して確認してみてほしい。


⑤がむしゃらに働ける環境か。

最後は、転職先の会社の人事部門が、がむしゃらに働ける環境かどうかだ。

僕の場合、32歳で未経験キャリアをスタートさせたということもあって、正直かなり焦っていた。少しでも多くの経験を、より短期間で経験したい。そんな想いが強かった。

そこで上司に、36協定や特別条項の範囲内で、出来る限りがむしゃらに働かせてほしいとお願いをした。
上司は、僕の意気込みを理解してくれて、無理の無い範囲で許容していただけた。

そこから約3年間。量的にも質的にも凝縮した時間を経験することに。
朝は7時半には会社に出社し、夜は10時過ぎに会社を出る生活を続け、物理的にやることを増やして経験値を稼いでいった。
スタートは採用から担当し、徐々に人事評価や制度設計も経験。
その後、グループ会社へ出向し、ひとり人事として勤怠給与や労務も含め、全ファンクションを担当した。

人事としてあるまじき働き方であることは十分理解してはいるものの、未経験での挑戦の覚悟を、必死で体現した期間であった。

このおかげで、わずか3年という短期間で、人事の一通りの役割を担当として経験することが出来たのは、僕にとって大きな自信となっている。


【Q2】人事一筋の人と比べて、未経験人事の強みは?

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これまでの経験が無駄であることはなく、イベント中にもコメントがあったように、「異経験×未経験」の相乗効果だと思っている。

僕の場合は、事業のフロント側に立ったことのある経験は強かった。
最初のキャリア(保険会社)で営業や業務企画を経験したので、事業(ビジネス)で数字を追いかけてきた経験がプラスに働いている。

他には、保険商品の約款などを作って監督官庁である金融庁と折衝する仕事もしていたので、規則や規程が身近であり、その経験が就業規則改定や人事制度設計に活きてきた。

これまでの経験を、人事業務にどう活かしていけるかの視点で、それを強みに面接などでアピールすることは効果的だ。


【Q3】実際に人事をやってみてイメージとのギャップは?

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転職する前までは、人事は従業員寄りの関わりが多い仕事のイメージであったが、実際は、経営戦略や事業戦略を実現するための人事戦略であって、それに基づいた業務プロセスとなるため、経営にかなり(というかだいぶ)近い位置での仕事であったというのは大きなギャップだった。

経営と従業員の間で、ブリッジとしての役割を担うため、両者のニーズや考えの重なりを見出したり、整理して納得解を導いていくことも求められた。

個人的には、人事という役割で、会社を動かす一助になっていることを肌で感じることもできたので、ポジティブなギャップであった。


【Q4】どんな人が人事に向いている?

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個人的には、先天的(センス)だったり、後天的だったりという線引きは好きでは無いので、本当になりたいのであれば、努力次第でキャッチアップ出来るという視点で述べたい。

どんな人が人事に向いているという点では、以下2つを挙げたい。

①人に興味を持てるかどうか。

「人と関わるのが好き」とか、そういうことも大事だけど、主に「気付き」のイメージ。
人の変化に気付いたり、状態を意識したり、違いを感じたりと、思考を自己内だけに留めず、他者も含めた全体を認識できるかどうか。
俯瞰的に状態を捉えることが出来るかどうか。
自分以外の人に対して、興味を向けられるかどうかは、人事を担当する上で大事なことだ。


②数字をただの文字の羅列としてみれるかどうか。

人事の仕事を担当すると、誰がいくらもらっていて、どこに住んでいて、どんなことを考えているのか、どう評価されているのか、といった情報が何でも見れてしまう。その事実に対して、心穏やかに捉えられるかどうかは、本当に大事なスキルである。
決して、「あの人は、●●円ももらっているのに、あんな働きしかしていない」や、「私はあの人より頑張っているのに、●●円しか貰っていない」という発言はしてはいけない。
いかに私情を挟まずに、数字を文字列で見れるかどうか、そして心穏やかでいられるかどうかは、人事を担当する上で大事なことだ。


【Q5】今後、人事として描いているキャリアは?

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最後は、「未経験から人事に転職出来た方々が、今後のキャリアをどう考えているのか」というテーマだった。

僕自身は、一貫して言い続けていることを簡潔に答えさせてもらった。

人事は、「個人と組織が最高のパフォーマンスを発揮出来る状態を創り出すことで経営に貢献する」仕事であると考えているので、引き続きその役割を全うしていきたい。

個人としては、「関わる人の可能性を最大限に引き出したい」というライフテーマを掲げているので、本業とは別軸で個人のキャリア形成を支援していきたい。



ざっと、僕の考える「未経験から転職で人事になるには?」の回答や補足はこんな感じだろうか。

人事という仕事は、ときに聖域なものとして捉えられがちで、その中の人ということで、勘違いしてしまう人も少なくない。
時々、「私は何でも知っているので、権力がある」という認識で、発言や振る舞いをしてしまう残念な人も…。

別に、人事の仕事をしているから偉い訳でも何でもないし、逆に知りたくない情報もたくさん知ることになるので、ストレスフルであったり、セルフコントロールも強く求められてくる窮屈な役割でもある。

どういった仕事でも同じだが、仕事を通して何を実現したくて、どう会社や社会に貢献したり、価値を提供していきたいか。

その役割として、人事という職種を選択することで、出来る領域や範囲がその他の職種と異なってくるだけの違いでしかない。

極論、職種に拘らず、そして縛られずに、自分として出来ることややりたいこと、求められることを、幅広く存分にやり切ることが、心地良い在り方なんじゃないかとも思う。


「未経験ながら人事のお仕事にチャレンジしてみたい!」

そんなことを考えている、どこかの、だれかに。
少しでも参考になれたら嬉しいなと思って締めくくる、日曜日の昼下がり。


「直接話が聞きたいな」と思われた物好きな方は、コチラからどうぞ!
キャリアシェアサービスの「CREEDO」さんで、体験記のシェアをしています。


*INAZUMAN*



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