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8月雇用統計とマーケット動向

お疲れ様です。
緊急事態宣言は延長になりましたね。
でも今回の期間では、ワクチンの普及率も上がってこれから前とは変わってくるかと期待をしている方も多いのではないかなぁと。
そんな中、暑くなったり寒くなったりの季節の変わり目で体調を崩しやすい天候ですが、いかがお過ごしでしょうか。
私は絶賛鼻風邪を引いています。
まぁ🐶ベルちゃんが元気ならそれでいいんですがね。

【結論】
♦︎労働市場の行方は、新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染状況次第
♦︎9月FOMCでテーパリングが決定する可能性がなくなった
♦︎9月以降の米国株式市場は、金融引き締めに対する懸念とレイバーデー明けの需給の崩れよるリスクから、短期的な調整局面を迎える可能性が高い
♦︎債券投資家は感染危機は一時的だと考えている
♦︎故に9月の調整局面は年内にも底打ちすることが予想される

さて、今回は先週発表された8月の雇用統計について深掘りしていきましょう。

そもそも『雇用統計』というのは、米労働市場の現況を教えてくれるもので、米経済指標の中で最も重要度の高い経済指標の1つとして世界中の投資家が注目しています。
とりわけ、今回の8月雇用統計はFRBテーパリングの計画を左右しますから、投資家の関心もいつも以上に高まっていたんです。
ただし、今回の雇用統計を受けて株式市場はほぼ横ばいだった一方で、債券が売られ金が買われるなど株式市場のマーケットが大きく動きました。
世の中の経済が何をきっかけに?どう反応し、そしてこれからどう動くのか?を深掘りしてみましょう



1・労働市場の回復は感染状況次第か?

まず、非農業部門雇用者数は前月比で予想75万人に対して、結果23万5000人増と予想を大きく下回りました。
7月の105万3000人増6月の93万8000人増から大きく減速したことで、労働市場の回復ペースが急速に鈍化していることが示されました。
また、失業率は予想5.2%に対して、結果5.2%と予想に一致し、前月の5.4%から0.2%ポイント低回しています。
ただし、FRBは2021年末時点で4.5%まで低下すること見込んでいますから、依然として高過ぎます。

加えて、労働参加率も61.7%と、コロナ前の63.4%から依然として1.7%ポイントも下回っていますから、労働市場がコロナ前に戻るには、なお時間がかかることを示唆しています。
ちなみに『労働参加率』とは、労働力人口(就業者数+失業者数)を生産年齢人口(15歳〜64歳までの人口)で割って求めた値のことですから、労働参加率が低下しているということは、専業主婦や職探しを諦めた人たちが大勢いるということを意味します。

では何故コロナ危機以降、専業主婦や職探しを断念した人たちが増えたのか?というと、それはコロナ禍によって遠隔授業になった子供達の世話をするために就職を断念した親御さん達が大勢いるからです。
また、職探しを諦めた人たちが増えた理由は、米政府による週300ドルの失業保険の上乗せ給付によって職場の給料よりも多い給付金が貰えることから、失業者でいた方が得をするからです。

ただし、8・9月の新学期のシーズンから学校の再開が予定されていること、そして9月4日にも失業保険の上乗せ給付が打ち切られたことから、秋以降労働市場は急速に回復するかもしれません。

そんな中、米国では賃金の上昇がインフレに繋がるのでは?との懸念が強まっているんですが、その賃金の上昇率を示す『平均時給』は前年同月比で予想+4.0%に対して、結果4.3%と予想を上回りましたので賃上げが加速していることが示されました。

しかもこれは、『レストランやホテルなどのサービス業の賃金が上昇したから』という理由ではなく、むしろそれ以外のセクターで賃金が上昇していることを示唆しています。

何故かというと、『サービス業の雇用者数が全く伸びていない』からです。

例えば、『小売業』の雇用者数は2万8500人減と2ヶ月連続で減少したほか、『レジャー・娯楽』に至っては増減ゼロと、前月と前々月の40万人前後の増加から大幅に失速しました。

これは、
新型コロナウイルスのデルタ変異株が急拡大していることが要因として挙げられます。

米国の1日あたりの新規感染者数は、9月2日時点で16万5000人と1月以来の高水準に達しています。
米国では医療保険が高額な上、新型コロナウイルスに感染してしまった場合1人当たりの治療費として、およそ370万円もの高額な医療費がかかると言われているんですが、サービス業ほど感染リスクが高い一方で、賃金は安いですから保険に入っていない人たちが大勢いるわけです。

すると、2800万人以上いるとされている無保険者はもちろん、いわゆる低保険に加入している人たちは治療を控えなければなりませんし、それは同時に家族の感染リスクを高めることに繋がります。

なので、
感染危機が収束するまでサービス業における雇用の回復ペースは一時的に鈍化する可能性があります。

しかし、サービス部門とは対照的に、商品生産部門の雇用は回復基調にあります。
例えば『建設業』は6000人増と、3ヶ月連続の減少から増加に転じました
また『製造業』も5万2000人増と、3ヶ月連続で増加です。

これまで商品生産部門は、サプライチェーンのボトルネックが原因で雇用の回復ペースが低迷していたんですが、一転して好調な数字が示されたことはボトルネックが解消しつつあることを示唆しています。
そしてこのボトルネックはインフレが加速していた原因にもなっていましたから、ボトルネックが解消されつつあるということは、インフレの加速はFRBが当初予想した通り『一時的』となる可能性が高いです。

ちなみに、2020年3月〜4月にかけて2206万人分の雇用が失われた一方で、2020年5月以降1675万人分の雇用を取り戻しましたから、雇用の回復率は『全体』で76%に達しています。

ただし、この『全体』の回復には、就業者の多い『レジャー・娯楽』が一段と回復する必要があります。

そして、
この『レジャー・娯楽』はデルタ変異株の感染状況次第でもありますので、労働市場の行方は感染状況次第だと言えます。



2・雇用統計後のマーケット

8月雇用統計は予想を大きく下回りましたので、9月FOMCでテーパリングが決定する可能性がなくなりました

今回の予想を大きく下回る雇用統計を受けて、開始時期を遅らせることで意見が一致する公算が大きいことはむしろ好都合だったと言えます。
ただし、11月FOMC(2日〜3日)でテーパリングが決定し、年末にもテーパリングが開始するという大方のシナリオに変更がないこと、そして9月6日のレイバーデー(労働者の日)明けと共に、米国では新年度が始まっていることを考えると、9月相場は楽観視すべきではありません

何故かというと、
米国では9月から新年度が始まる関係で、レイバーデーが明けるとIPOや公募増資など、たくさんのディールが一斉に動き出すからです。
すると、マーケットにはたくさんの投資対象が溢れ出てくる一方、投資家の資金には限りがありますから、需給が崩れて株式市場は急落しやすい傾向があるのです。

実際、過去10年を振り返ってみると5回に渡って直近の高値から最大10%以上値下がりするなど急落する場面があります。

例えば、
昨年のS&P500種指数は、9月の高値3588から一時3209と約11%値下がりする場面や、2018年9月の高値2941から一時2347と約20%も値下がりしました。

このように米国株式市場の秋は急落しやすいことを考えると、今年の秋も調整局面を迎える可能性が高いです。

ちなみに、現在のS&P500は4535と史上最高値で推移しているわけですが、仮に10%程度の調整局面が待っているとすれば、200日移動平均線をターゲットに急落する可能性があります。

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ただし、過去を振り返ると概ね10月〜11月頃にも底打ちをする傾向がありますから、短期的な調整局面は長期投資家にとっては絶好のチャンスになると思います。



3・長期金利の上昇

予想を大きく下回る8月雇用統計を受けて、長期金利は1.33%と上昇しました。
長期金利が上昇しているということは、長期債が売られていることを意味していますが、テーパリングが後連れする可能性が高まったということは、本来なら長期金利は下落するはずです。

そうであるにも関わらず、長期債が売られたということは何を意味するのか?というと、それは『債券市場の投資家達が、デルタ変異株の感染拡大は一時的であり、労働市場の回復とテーパリングを織り込み始めている』と考えられます。

なので、今回の8月雇用統計は予想を大きく下回る悪い数字だったわけですが、これは一時的であり9月雇用統計以降は再び強い数字を示されることが期待できます。

ちなみに、『株式市場の投資家』『債券市場の投資家』とでは、どちらが未来を正確に予測することができるのか?というと、それは『債券市場の投資家』である場合が多いですから、長期金利が足元で下値を切り上げていることは注目に値すると思います。

そして、もし仮に長期金利が急落するようなら、PERなどの株式のバリュエーションは低下してしまいますから、高PER株を多く含むハイテク株ほど大きく売られるリスクが高まります

しかし、短期的な調整局面が予想されますので長期投資では『買い』短期トレードでは『売り』というのも狙い目だとは思います。

年末に向けて、大人のお年玉として仕掛けておいて、良い酒でも飲みましょうや。

それでは、
良い週末を適当に頑張りましょう。

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最後まで御拝読ありがとうございます。
皆様の何かのキッカケにでもなれば幸いです。
🐶ここでは『お金』『投資』『マインド』などを書いています。
『お金』は人生の全てに関わってきますので、そこの問題を解決すれば自分も周りの人も自分の望んだ人生が送れると思いのもと書いています。
気張らず『へぇー』くらいで見て頂けたら幸いです。

🐶今回のイッヌ🐶
幸せそうで何より🐶

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