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企業の増資・株価への影響

お疲れ様です。

今回は企業の資金調達の1つ『増資』についてと、

増資による『株価への影響』を見ていこうと思います。

私たちが1番関心を寄せるのは『株価の変動』ですので、企業が資金を増やす手段の増資を知っておくのは大切なことです。



1・増資とは

企業が新規に株式を発行して、
お金を集めること。

企業はお金を集めて設備などに投じ、社会に役立つサービスを人々に提供し、その対価として売り上げを得ます。

その売り上げから、サービスを提供するのに必要な人件費などの費用を賄い、そしてまたそこから売り上げを得る。というサイクルが繰り返されています。

企業はサービスの質を高め、より多くの人の生活を豊かにする使命がありますので、サービスの質を高めるためには、研究開発や設備投資が不可欠です。

なのでお金を集めることも企業にとっては非常に大事なことになります。

資金調達には大きく2つの種類があります。

①デットファイナンス
➡︎債券の発行、金融機関からの借入etc

②エクイティファイナンス
➡︎株式の発行

2つの大きな違いは、集めたお金を償還(返却)する必要があるか・ないかです。

①デットファイナンスは、決められた償還期間までに‘’借りたお金‘’‘’金利‘’を払います。

②エクイティファイナンスは、集めたお金を返す必要がなく、必要に応じて配当を払います。

増資』は②エクイティファイナンスになります。



2・増資の種類

①公募増資
②第三者割当増資
③株主割当増資

①公募増資
『新しく株主を募ること』
不特定多数の投資家に対して呼びかけて、買い手を探します。

②第三者割当増資
『特定の企業に株式を買ってもらうこと』
ベンチャー企業が、ベンチャーキャピタルからお金を集めたりする際に、よく使われる手法です。
取引先や役員などに株を発行することもあります。
これを行うと株主構成が変わる可能性があります。

③株主割当増資
『既存の株主に株式を買ってもらうこと』
このパターンだと株主構成は変わりません。



3・増資と融資の違い

増資と融資は、まとまった資金を調達するという点では同じですが、いくつかの点で明確に違いがあります。

①資金調達のコストが異なる
②会社の所有者に変化がある
③納税額への影響
④登記など事務作業・事務コストの有無

①資金調達のコストが異なる
⭐️『融資』におけるコストの中心は『金利』です。
逆を言うと金利を含めて定期的な返済の目処が立っていれば問題ないと言えます。
売上規模が大きくなくても、定期的な売り上げがあるのであれば、企業は『融資』は使いやすいです。

⭐️『増資』におけるコストは『配当』『キャピタルゲイン』です。
これらは融資への返済とは違い、すぐに支払いが必要ではないですが、時間に猶予がある分、長期的には融資の金利以上のリターンを支払う事になることが一般的です。
時間はかかりますが、大きな成長が期待できる企業で使われることが多い手法です。


②会社の所有者に変化がある
⭐️『融資』お金の貸し借りだけの関係性なので、返済が終われば関係は終わりになります。


⭐️『増資』に用いる株式は、会社の権利を集めた資金に応じて発行する証書です。
なので、増資による資金拠出の代わりに会社の権利の一部を引き渡し、会社のオーナーになるということです。
株式を持っている間は会社との関係はずっと続きます。


③納税額への影響
増資をすると会社の資本金額が上がります。
資本金が上がると納税額が増えます。
色々とありますが、一般的なもので、
・消費税:資本金1000万円以下の場合、2年間の免税措置がある
・外形標準課税:資本金1億円以下であれば免除
などなど他にもあります。


④登記など事務作業・事務コストの有無
⭐️『融資』であれば、その手続きは金融機関側で行うことが多くなります。
⭐️『増資』では、新たに発行する株式数や1株あたりの金額算定など会社側での事務コストが多くなります。



4・増資による株価への影響(悪材料となるパターン)

『増資で集めたお金を返却する必要がない』という企業にとってはメリットの高い資金調達手段で、株主にとっても投資した企業のサービスが拡大して売り上げが上がり、『配当が増えるのでメリット』が高いように思えます。

ですが、そんな簡単な話ではなく、

増資をすると、
株式が希薄化して株価が下がりやすくなります。

希薄化とは、市場に出回る株式の数が増えることです。

『PER(株価収益率)』
を使って例を見ていきます。

その前に『PER』とは?
株価収益率のことです。
1株あたり、どれだけの利益を得ることができるかを表しています。
株価の割安度を測ることができ、数値が低ければ低いほど『株価が割安』であると言えます。
[PER=時価総額➗純利益]

例)A社
発行済株式数:1000万枚
株価:1000円
純利益:10億円
すると、

[PER]
=(1000万枚✖️1000円)➗10億円=10倍となります。

PERは業界にもよりましが、
『12倍〜15倍』が適正値と言われています。

例のA社の株式は『比較的割安』と言えます。

A社は海外展開をするためのお金が必要になり、公募増資を行いました。
1000万枚を新しく発行し、市場から100億円集めました。

<画像1>

画像1

<画像1>のPERを見てみますと、増資後のPERは『20倍』に変化しています。

増資によりA社のPERは、適正値と言われる15倍を超えて、割高の水準になりました。

多くの投資家は増資が株式の価値を下げることを知っていますので、増資前に売ろうとします。

結果、株価は下がりやすくなります。

『仮に』
投資家が
‘’増資前のPER(10倍)が適正値‘’
だと考えており、それに合わせて株価が下がったとします。

画像2

株価が半分になります。
これが『希薄化』による『株式価値の低下』です。



5・増資による株価への影響(好材料となるパターン)

そもそも増資は企業が拡大するため、
お金を集める手法です。

株式は希薄化しますが、それを織り込み済みで『会社が成長する』と投資家が判断した場合は『株価は上昇』します。

なので、一概に『増資はネガティブ材料』とは言えません。

『阪急阪神リート投資法人』は、
2018年11月8日に『公募増資』をすると発表。

この会社は商業ビル・ホテル・オフィスビルなどを開発・所有しています。

増資により、『大阪のグランフロント』という2つのビルを所有し、さらなる利益を上げようとしました。

2,700株を発行し、
74億円のお金を集め、
公募増資による希薄化は『8.9%』でした。

増資の発表があった2018年11月8日の株価は143,600円

翌日の株価は、142,000円まで売られましたが、

その後株価は上昇し、12日には146,000円の高値をつけました。

ビルを所有することで、
売上・利益が上がる可能性が高くなります。

また、ビルを所有するのにそれほど時間はかかりませんので、投資家は目先の業績が良くなるだろうと判断し、株を買ったと考えられます。

増資は
『企業が何をしたいか?』によって
好材料・悪材料にもなりますので
売買判断は慎重にする必要があります。

私ももっと・もっと勉強します。


それでは

GW中ですが『適当に頑張りましょう』


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最後まで御拝読ありがとうございます。
皆様の何かのキッカケにでもなれば幸いです。

〜🐶今回のイッヌ🐶〜
🐶イッヌはどの写真でも可愛いですね
『超至近距離のベルちゃん』

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