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【読書感想文:民王(池井戸潤著)】「もっと根本的な問題をみよ!」と言われた気がした

「民王」(ポプラ社、2010)の感想文です。以下、本書の引用は「*」で表します。

【あらすじ】首相になった武藤泰山とその息子が、ある日突然中身だけ入れ替わる。息子は国会へ、泰山は大学&就職面接へ。それぞれがお互いの役割を担っていくうちに、見えていなかったものが見えてきて。。。?

という内容です。

池井戸潤さんの作品は大好きです。池井戸さんの作品は、どちらかというと社内政治に視点を置いたものが多いように思いましたが、今回は思いっきし国政を取り上げています。(銀翼のイカロスとか下町ロケットの後の方で国政がらみの場面がありますが)

なんとなくですが、この作品は政治家に向けたものよりも、国民に向けたメッセージが強いのではないかと思いました。自分が受け取ったのは

「もっと根本的な問題をみよ」

ということです。こんな場面がありました。ある閣僚の不倫疑惑でマスコミが押し寄せた時の首相(?)の一言「〇〇(政治家の名前)の政治家としての手腕はちゃんと評価してるのか!?」

断っておきますが、自分は浮気・不倫許容派ではありません。

ですが、この一言には考えさせられるところありです。

自分は確かに、何かの評価をするとき、表面的に目立つ部分で評価しがちだなと。

何かを評価する、決断を下す際、その材料になるものをしっかりと選別しなければならないな、ということを再確認しました。

そのためには、異なる視点で見る、というのはとても大事とも思いました。

物語では、中身が入れ替わる、という本当に視点が変わることが起きて、泰山とその息子の価値観にとても影響を与えていきます。

現実ではそのようなことはまだ起こり得ませんが、そのくらいの気持ちになって視点を変えてみて、自分のコンフォートゾーンにあるバイアスをできるだけ排除し、物事の根本的なことを理解するよう努めたい、そう思った次第です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。