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生きている以上必ず死にます

パリでの熱狂がピークを迎え
本日より「夏の甲子園」も始まる中
こんな時にわたしは「お葬式の話」をします

葬儀屋をしていて様々な声を聴きます
「去年の父のお葬式を○○という互助会の葬儀社に頼んでとんでもない金額を請求されたので今回、母の葬儀はお宅に頼むことにした」

「費用が安く済むと思って頼んだ△△葬祭の担当者がメモを持ってきて『この明細でお願いします』といわれたので内容を確認すると『寸志』なるものの明細として運転手に一万円、司会者に一万円など合計すると20万円を超えていた・・・馬鹿にしている」

最近は「小さなお葬式」などの進出で価格が低額化してきている葬儀業界の中で葬儀屋も商売ですのでなんとか生き残りをかけてあの手この手で儲けようとしているのです

そんな中で葬儀屋が一番ありがたいお客様は
「なんにも知らない人」
「何にも調べていない人」
であります

体験談


病院で亡くなった父の亡骸を一目見ようと慌てて駆けつけた病室では母が青くなって「どうしよう」と唖然としていた
話を聞いてみると
先ほどまで手厚く治療・看護してくださっていた病院関係者が父が亡くなると同時に「葬儀社に連絡して早く迎えに来てもらってください」と冷たく言い放たれてしまって
まだこの時点で葬儀のことなど全く考えていなかったのと、豹変した病院側の態度にショックを受けた母は、最愛の父の死に向き合う間もなく、悲しみに暮れる間もなく唖然としていました
※余談ですがこの時点で葬儀社を決めていない人は全体の60%といわれています。申し上げにくい話ですが葬儀トラブルといわれる問題はほぼこの60%の方々から起こっているようです

わたしはすぐに看護師さんに相談して、病院とつながりのあるらしい葬儀社を紹介してもらってとりあえず家まで送ってもらうことにしました
父を乗せた霊柩車に同乗した母に
「奥さん、葬儀社は決めていますか?」と運転手に尋ねられたそうです
「いえまだです」と返事すると
「じゃあウチで引き受けますよ、この搬送代金はサービスしておきます」
といわれ「良心的な人」と母は喜び、そのままその葬儀社の先導のもと葬儀を行いました
葬儀までの過程、そして葬儀の内容に関しましてはわたしたちは一切わかりませんでしたのでお任せしました
「こんなものか」「まあ十分よね」という印象でした

そして葬儀が終わった翌日に担当者が請求書をもって自宅を訪れた時、母の目が飛び出しそうになったそうです
「請求金額250万円」
家族と近親者20名程度で行ったお葬式が250万円なんて・・・
葬儀が終わってホッとする間もなく再び母は唖然としてしまいました
「こんなお金、どうやって払えばいいの・・・」動揺した母の口から絞り出した言葉に対して
「はい、一週間以内にこちらの口座にお振込みください」
悪びれもせずに担当者は言い放ちました

この話を母から聞いた私はすぐに葬儀社に連絡し、担当者に抗議したものの全く埒はあかない
後日「消費者センター」なるものに相談しましたが、事の成り行きを聞いた相手も「事前に金額など確かめなかったのですか」などと逆に責められてしまう始末・・・
今回は父が事前に用意してくれていたお金も少しあったのでなんとか支払うことはできましたが、この葬儀社の悪質さは酷くないですか・・・


上記の経験談をもとに考察していきましょう
まず大前提として

人は生きている以上必ず死にます


これは唯一ここで言い切れます

次に
病院は医療施設であって葬儀施設ではありませんので、今回この葬儀業者が悪質であっても病院には何の罪もありません

そして、この葬儀業者は本当に悪質なのか?という問題ですが

いまならば、250万円と聞くと高額ですが、一昔前バブルのころは葬儀費用が200万円300万円は当たり前で1,000万円を超えるような葬儀もありましたので、その名残で今でもご老人の中には「葬儀費用として」200万円くらいは別口座で用意しているような人もいらっしゃるようです
さらに、葬儀という特殊なサービスであるため内容に関してイチイチ細かく説明する必要はないと思っている業者は少なくありません
それとこの業者は病院出入りの業者で、普段から病院へは「紹介のお礼」や「ご機嫌伺」を細かく行っている一方で、ユーザーに対しての営業活動やサービスなどにはあまり配慮していません。一般的に見ればかなり悪質に見えるこうした業者が存在するのも葬儀屋の特殊性の一部であります(病院のほかお寺や町内会などへの営業もあります)

ここで重要なことは、この業者の悪質性を問うよりも皆さんがこんな目に合わないためにはどうしたらいいのかということを考えるほうが大切です

事前相談一択です

葬儀の知識を得るための勉強などは不要です
方法は葬儀社への事前相談一択です

縁起が悪い
葬儀屋へ電話などしたくない

などと言って放置しておくとこうした目に遭いかねません
現在では200万円から300万円程度で問題になっているケースが多いようですので
「そのくらいは仕方ない」
とあきらめられる人ならばそれでいいかもしれませんが
「とてもそんなお金用意できない」
という人は
ぜひ一度葬儀社に電話をしてみましょう
業者の選択はチラシやネットで調べてみてもいいでしょう

注意すべきは事前に予算だけでも決めておくこと
そのためには大まかな相場だけは知っておきましょう
簡単に言うと
①50人を超すような中大規模のお葬式は100万円以上
②人数如何に関係なくお通夜をする二日葬は50万円以上
③人数如何に関係なくお通夜をしない一日葬は35万円程度~
④火葬のみの直葬は12万円程度~

金額は状況と業者によってかなり変わってきますがこのあたりの相場だけでも頭に入れて相談してみてください
※この金額には宗教者へのお礼と食事代は入っていません

相談の際に気を付ける点は
①電話口の相手の印象
②電話口の相手が発言に責任を持てるか
③説明が丁寧で明瞭か

この③の部分の説明が明瞭でわかりやすいかどうかは非常に重要です
葬式のことなど勉強をして知識がある人などはほぼいません
それを分かっていて複雑な専門用語やシステムを淡々と説明するような業者はあまり信用できません

勉強不足、知識不足の自分を責めてはいけません
貴方が分かるように説明できない葬儀社が悪いのです

善良な業者はシステムも其々の土地に合わせて簡単で明瞭です

騙されてはいけないのは
・全国一律
・追加料金不要

などの文言です
地域によって火葬などの料金が違うのが葬儀の当り前です
こうした文言がある場合にはそのルールもきちんと確認しておきましょう

また相談時のあなたの姿勢として重要なことは
「勉強させてもらっている」という謙虚な姿勢よりも
「○○万円の予算で二日葬をしたいけどお宅だったらどの程度のことができるの」とだけ突き付ける姿勢でいいです
この後、業者が確認のために様々な質問をしてくれるはずです
この際の質問が大まかで「何とかなります」というような業者もあまり信用できないと思ってください
この際に鬱陶しそうな業者もその時点でパスしましょう
丁寧で親切に確認するような業者がいいと思います

なかなか思うような業者は見つからないかもしれませんが、あきらめずに電話しているだけでもいざという時に大いに収穫はあります


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