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大相撲力士の父として⑧大相撲観戦

序の口の番付に名前を連ねて最初の場所は2016年5月場所、両国国技館での開催。
いまではインターネットテレビ「アベマTV」で朝8時半からの序の口の取り組みから全ての取り組み中継を観ることができるが、当時はまだインターネットテレビ「スポナビ」では三段目以降の中継しかなかったので、序の口力士の場合には結果をネットで確認するしかなかった。
日本相撲協会の取組結果はなかなか出てこない。
序の口の結果が出るのが、早くて10時過ぎ、遅い日は昼頃ということもあり、こっちは「ハラハラドキドキ」仕事がなかなか手につかなかったのを記憶している。

名古屋場所の観戦

最初の本場所5月場所は4勝3敗で辛くも勝ち越し、来場所7月の名古屋場所での序二段への昇格が期待された。

ピラミッド大相撲

名古屋場所前の番付発表で、見事「序二段」へ昇格となったものの。次男が一体どんな相撲を取っているのか全く分からなかった私は妻と二人、名古屋場所の観戦に行くことにした。
 明日の次男の取り組みを確認して就寝、確か六日目の取り組み、自由席を購入するため朝3時に起床して、まだ暗いうちに家を出てた。
一路、名古屋の愛知県体育館を目指した。
体育館に到着したのはそれでも5時前、平日の早朝「まだ誰もいないだろう」と高を括っていたのだが、到着した時には、すでに先客の夫婦がいた。

力士の家族

 列に並ぶ際に「おはようございます」とあいさつすると、相手の奥様らしきご婦人が「親御さんですか?」といきなり飛んできた。
「はい、まだ入門したばかりですが・・・」答えると
「うちは3年目です。」「うちは殆ど観に行ってるから、力士の家族はすぐにわかりますよ」
と言ってご夫婦で笑っていた。
「そうですか」
「まあ、こんなに早い時間に来るのは家族くらいですよね」私が答えると、
「いやいや、もうちょっとするとマニアがたくさん来ますよ」とご主人
 その言葉通り、団体、外国人、女性の一人客、外国人団体・・・
次々と長蛇の列になっていく。

200席の自由席があっという間に埋まるほどの勢いだった。

今でこそ慣れてしまったが、初めての観戦の時は、この勢いに圧倒されてしまった。

またこのご夫婦とはこの先も結構出会うことが多く、気さくに話させて頂いている。

九州の親父さん

私は、息子が入門したこの年、名古屋場所の観戦に飽き足らず、11月の「九州場所」にも足を運んだ。
この時は、三段目に昇格しており、すでに勝ち越しを決めた後だったので少し気楽に観戦できると思って、前日に「明日の取り組みがない」のを確認して飛行機で福岡へ、土地勘がないので少し遠めの宿舎に止まってしまった。

翌日取り組みを確認してホテルで就寝、早朝タクシーで出発、この日も平日、11月の早朝は少し寒さが感じられるほどだったが、会場の「福岡国際センター」にはまだ暗い朝5時ごろに到着、
「さすがに今度は一番乗りか」と思い、入り口の前に立っていると、どこからか大きめのビニール袋を頭からかぶった男性が近づいてきて私にこう言った。
「私ね、昨日から並んでるんです。」
「こうやってビニールを被ると意外と暖かいんですよ」といってほおを緩ませた。

「力士のお父さん?」と聞かれ「はいそうです」とこたえると
「うちはねえ○○部屋の※※という力士なんですよ」と自己紹介してくれたので私も部屋名と息子のしこ名を名乗った。
 後でわかるが、このオヤジさんは本場所中、どこに行ってもいつでもおられる、顔的な存在。
 あとから列に並ぶ親御さんたちに挨拶しながら、私を紹介してくれる。
「あれは誰々のお母さん、こっちは誰々のお父さん」といって挨拶している。
さすがの私も「ここまではちょっと真似できないなあ」と思った。

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