「汲み取りトイレ」「浄化槽」の メリット・デメリット
これまで2回に分けて
田舎暮らしの“トイレ”について解説してきました。
今回はそのまとめとして、
「浄化槽のトイレ」と「汲み取りトイレ」の
メリットとデメリットについて解説します。
この記事を読めば、
汲み取りのまま使うべきか、
浄化槽にリフォームするべきか、
という悩みが解決します!
前回までの田舎のトイレ事情の記事をまだ読んでいない方は
より理解が深まりますので
そちら↓↓からご覧ください。
浄化槽トイレのメリット
(1) 衛生的
汲み取りトイレは便槽に排泄物を溜めておくのに対して、
浄化槽のトイレは排泄物を浄化槽の中で分解します。
その分、正常に分解されれば虫も臭いも湧きにくくなります。
トイレを流す際もたくさんの水で流せるので、
汚れは残りにくく
便器も清潔に保ちやすくなります。
(2) 支払い手間が少ない
汲み取りトイレでは汲み取り毎(月1回程度)に支払いの準備をしたり、
汲み取ってもらうための準備が必要です。
浄化槽では保守点検や法定検査、清掃など
業者に依頼しないといけないことはありますが、
汲み取りのように毎月やらないといけないほどではありません。
浄化槽トイレのデメリット
(1) 初期投資がかかる
汲み取りトイレから浄化槽トイレにリフォームする場合は
初期工事費用がかかります。
浄化槽の大きさや家の間取りにもよりますが、
大体100万〜200万円ほどかかります。
自治体から補助金が出る場合もありますが、
大きな出費になります。
また、浄化槽を設置するためには
浄化槽を維持管理するための講習を受ける必要もあります。
(2) トラブルに弱い
浄化槽のトイレは他の様式と比べて、仕組みが複雑です。
他の様式のように
排泄物をそのまま下水道に流したり、
便槽に溜めるだけのトイレとは違います。
微生物を使って分解させたり、
微生物のためにブロアで空気を送ったりする必要があります。
微生物の活動が弱ったり、
ブロアが故障して空気が送れないと
浄化槽としての性能を発揮できません。
その都度、修理やメンテナンスが必要になります。
また、断水時には水が流せなくなりますし、
停電でブロアが長時間止まると微生物にも影響が出ます。
(3) 生活排水に配慮が必要
浄化槽はトイレの排水以外にも、
キッチンやお風呂などの生活排水も浄化槽に流れていきます。
そのため、洗剤や油など微生物に影響を与えるものを大量に流してしまうと、
微生物が弱ったり、
メンテナンスが必要になることがあります。
微生物が弱ると、
分解ができなくなるので
悪臭を放つこともあります。
(4) ブロアは24時間稼働させる
微生物が活動するためには空気が必要です。
その空気を送るためのブロアは常に稼働させます。
ブロアの稼働音や振動は避けられません。
自分たちは気にならなくても、
お隣とのトラブルになる事例もあるので
注意する必要があります。
汲み取りトイレのメリット
(1) 災害に強い
汲み取りトイレは断水や停電時にも使用できます。
簡易水洗の場合は少量の水が必要ですが、
ぼっとん便所は水がなくても普段通り使用できます。
ぼっとん便所はそもそも水道が整備されていない場所でも利用できます。
(2) 浄化槽のトイレより安く済むことがある
使用回数や使用人数が少ない場合は
汲み取りトイレの方が安く済む傾向があります。
浄化槽は検査や点検の費用、ブロアの電気代は固定費になります。
使用頻度が多くても少なくてもほぼ一定料金がかかります。
汲み取りトイレの場合は使う回数が多いほど汲み取り費用が高くなります。
特に簡易水洗は
流すための水が汲み取り費用の大部分を占めています。
つまり、使用回数が多い場合は浄化槽の方が安く済みますが、
少ない場合は汲み取りの方が安くなります。
ちなみにぼっとん便所は人から出た分だけの汲み取りで済むので、
非常に安く抑えることができます。
汲み取りトイレのデメリット
(1) 臭い
汲み取りトイレでは臭いの発生源が常に便槽の中にあるので、
やはり臭います。
簡易水洗の場合はフラッパー弁という便器の蓋や臭突という排気装置があるのでトイレの中の臭いはマシになります。
臭突の先につける「臭突ファン」という換気扇を使えば、
ほとんどトイレからの臭いの逆流はありません。
ただ、風向きによっては臭突から出た臭いが窓から入ってくることはあります。
ぼっとん便所は便槽との間に蓋がないのでしっかりと臭いが上がってきます。
(2) 便槽に虫が湧く
簡易水洗の場合はフラッパー弁により蓋がされており、
そこに水が溜まる構造になっているので
便槽からの虫は上がってきにくい仕組みになっています。
ただし、上がってきにくいだけで
便槽の中には虫が湧いています。
我が家でも、便槽の蓋の周りにウジが湧いていたり、
蓋を開けたら便槽の中から大量のウジが上っているのを見た時は
鳥肌が立ちました。
ぼっとん便所の場合はそれらが便器からも上がってきます。
(3) 汲み取りが多いから面倒くさい
汲み取りトイレでは月1回程度、汲み取りがあります。
汲み取り自体は依頼しておけば
不在の時でも業者が勝手にやってくれますが、
そのための準備や支払いはその都度やらないといけません。
支払い方法は自治体によって違いがありますが、
支払い用紙で支払ったり、
事前に「くみ取り券」という金券を役場などで購入して
準備しておく必要があります。
ちょっとした手間ですが、
毎月になると意外と面倒になります。
まとめ
浄化槽の最大のメリットは衛生的で臭いが少ないところであり、
デメリットは費用です。
浄化槽にリフォームするかの決め手は
工事費を支払ってでも
衛生面や臭いを解決したいかどうかになるかと思います。
利用者や利用回数が多い場合は汲み取り費用が高くなるので、
浄化槽に変えるメリットは大きくなります。
簡易水洗は3つの中では中間的なポジションです。
冬場は臭いも虫も気になりませんが、
夏場はそこそこ臭います。
臭突と近所の距離が近かったり、
来客が多い家では気になるかもしれません。
最初は簡易水洗のトイレに抵抗があるかもしれませんが、
慣れれば案外平気になります。
ぼっとん便所はできる限り費用を抑えたい方や、
水道が確保できないような場所など
致し方ない場合にとどまるのかな、
という印象です。
\\さらに詳しく知りたい方はこちらもご覧ください!//
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