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【道路交通法の解釈】運転中の携帯電話操作【どこまでセーフ?】

経営戦略コンサルタントのちょーすです。

運転中、スマートフォン等を使って通話したり、インターネット等を閲覧したりする行為は大変危険なだけでなく、当然ながら明確な道路交通法違反です。

では、スマホを手に持たず、スマホスタンドに設置して運転するのは違法行為なのでしょうか。

気になったので、2023年3月時点の情報を元にまとめてみました。

ながら運転

2019年12月1日から施行された改正道路交通法より、「ながら運転」が厳罰化されました。

道路交通法第71条にはスマートフォンなどを「手で保持すること」と、「画面を注視すること」の大きく2つが禁止されています。

自動車又は原動機付自転車を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置そのほかの無線通話装置を通話のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと
道路交通法第71条第5項の5

まずはこの法律が大原則になります。

自動車等が停止している時については、エンジンが掛かっていても、公道にいようとも、操作は問題ありません。

停止についても道路交通法に規定されており、「車両等が停止することで駐車以外のもの」とされ、継続的な停止とされる駐車とは区別されます。

保持

携帯電話を保持して通話したり、画像注視したりした場合は保持に該当します。

保持
違反点数:3点
反則金:大型車等/25,000円
    普通自動車/18,000円
    二輪車/15,000円
    原付車/12,000円

保持の場合は客観的にも違反が明確となりますが、保持ではなくスマホスタンドに置いたままでも、画像注視したと判断されれば違反になります。

道路交通法では「注視」という言葉が実際に何秒以上見つめることを指すのかという定義はされていませんが、目安は2秒程度とされます。

尚、これで事故を起こした場合、「交通の危機」となり、反則金納付では済まなくなり、一発免停となります。

交通の危機
違反点数:6点

もちろん、動いている自動車等で保持すると違反となりますが、信号待ち等で停止しているときにスマートフォンを操作することは、道路交通法上の違反とはなりません。

ハンズフリー

ハンズフリーでの通話は従来通り、違反となりません。

停止中に操作して、開始された通話等をハンズフリーでそのまま通話することが出来ます。

但し後述していますが、耳を塞ぐイヤフォンは都道府県によっては違反と見做される可能性があるので、骨伝導イヤフォンやオーディオサングラス等で明らかに耳を塞いでなく、周りの音が聞こえている状況であれば問題ありません。

もちろん画面を注視し過ぎるとスマホスタンドと同様に違反となってしまう可能性はあります。

音声操作・入力

実は、道路交通法にはハンズフリーと同様に音声操作を違法とする条文はありません。

前述した第71条では、「保持」と「注視」を禁止しているものの、音声操作はこれに該当しないとされています。

しかし、音声操作をする際にイヤフォン等を使用すると場合によっては、都道府県毎に公安委員会が制定する「道路交通法施行細則」の違反になる可能性があります。

イヤフォン

イヤフォン等の装着については、前述の通り、道路交通法施行細則で規定されるため、地域毎にルールが異なります。

高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと
東京都道路交通法施行細則第8条

もちろん自動車だけではなく、バイクも該当です。

安全義務違反

ここまでまとめましたが、「保持」や「注視」、イヤフォンの使用の有無に関わらず、スマートフォンの使用方法が運転に危険性があると見なされた場合は、道路交通法第70条の「安全運転の義務」の違反になる可能性があります。

車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
道路交通法第70条

違反点数は2点ですが、ここまでの全てを無にしてしまう「運転に危険性があるとみなされる」場合に適用されるルールです。

安全運転義務違反
違反点数:2点
反則金:大型車等/12,000円
    普通自動車/9,000円
    二輪車/7,000円
    原付車/6,000円

基本的には明確に何かの落ち度が無いとこれだけで検挙されることはないかとは思いますが、念のために記載しておきます。

交通反則通告制度

交通反則通告制度とは、自動車及び原動機付自転車の運転者がした違反行為のうち、比較的軽微なもの(反則行為)については、一定期間内に反則金を納付すると、罰則の適用を受けない制度のことです。

任意に反則金を納付し、簡易迅速な事件処理を受ける一種の行政的措置として運用されています。

反則行為をして警察官から反則告知を受けた場合、「交通反則告知書」(青キップ)と「納付書」を渡されます。

交通反則通告制度の適用を受けるか拒否するかは、違反をした方が選択することとなります。

警視庁のホームページにも記載されていますが、供述書欄への署名・押印は拒否出来ます。

また、反則告知の際に警察官が供述書欄に署名・押印(指印)を求めますが、これは強制するものではありません。

渡された「納付書」により納付期限内に反則金を金融機関で納付した場合は、刑事事件として刑罰が科されなくなります。未成年者の場合は、家庭裁判所の審判に付されなくなります。

もし期日内に納付が出来なければ、再交付も受けられます。

もし納付書での納付が確認されないと、交通反則通告センターから交通反則通告書(赤キップ)が交付され、書留郵便等で自宅へ送付されます。

この通告にも設定された納付期限があり、納付が確認できなければ、道路交通法違反事件として刑事手続きに移行します。

まとめ

ながら運転での事故が増加したためか、改正前と改正後では3倍の違反点数となるように法改正がされました。

尚、自転車や歩行時のながら運転も危険ですので、気を付けて行動しましょう。