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【道路交通法の解釈】バイクでのすり抜け【どこまでセーフ?】

経営戦略コンサルタントのちょーすです。

私もバイクを持っていますが、追越し・追抜き等のすり抜け行為について、正しく理解出来ていなかったように思います。

自戒の意も込めて、2023年3月時点の情報を元に改めてまとめてみました。

バイクでのすり抜け

まず前提として、道路交通法においては「すり抜け」という言葉の定義は無いです。

「すり抜け」が違反か、違反ではないかのキーワードとなるのは、「追越し」と「追抜き」になります。

追越しと追抜きの違い

よく似た言葉ですが、実は道路交通法で定められた明確な違いがあり、もちろん違反をすると罰則が科せられます。

詳細は後述していますが、結論から言うと、進行中の前方の車を抜くときに、進路を変えた場合が「追い越し」、変えない場合が「追い抜き」となります。

追越し

追越しは道路交通法第2条第21項に規定されています。

車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう
道路交通法第2条第21項

端的に言うと、①進路を変える②追い付いた車両の側方を通過する③追い付いた車両の前方に出るの手順を踏んだものになります。

追抜き

追い抜きとは、車が進路を変えないで、進行中の前の車の前方に出ることをいいます。

車両通行帯がある道路などにおいて、進路変更を伴うことなく、前の車の側方を通過して、前の車の前方に出ることがあります。こうした行為については道路交通法の規定はありませんが、進路変更を伴う「追い越し」と区別するために「追い抜き」と呼ばれています。

センターラインによるルール

道路中央に対向車線との間に「センターライン」が引かれていますが、ご存知の通り、白色破線・白色実線・黄色実線の3種類があります。

白色破線(道幅6m未満):はみ出し可・追越し可
白色実線(道幅6m以上):はみ出し禁止
黄色実線(道幅6m未満):追越しのためのはみ出し禁止

白色実線は広い道路なので、わざわざ右側部分にはみ出して追い越しをすることが禁止されています。

一応、全てで追越しは可能ですが、はみ出しても良いのは白色破線のみです。

同一車線で左側から追越し

車両は前の車を追い越すときは、原則右側走行することが道路交通法により定められています。

車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。
2 車両は、他の車両を追い越そうとする場合において、前車が第25条第2項又は第34条第二項若しくは第4項の規定により道路の中央又は右側端に寄って通行しているときは、前項の規定にかかわらず、その左側を通行しなければならない。
道路交通法第28条(追越しの方法)

そのため、左側から追い越すことは違反になります。

バイクの場合、右側の車線にはみ出ないで走行可能なため、違反の対象となる追い越しに該当しないことが多いですが、渋滞中の自動車の左側からすり抜け走行で追い越したり、自動車と自動車の間を縫って走ったりした場合は道路交通法違反になります。

交差点付近での追越し

追越しを禁止する場所は道路交通法で規定されています。

自動車等は、交差点、 道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近、勾配の急な下り坂又は公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めて指定した場所におい ては、他の自動車等を追い越してはならない。
道路交通法第30条

次の第2項には原動機付自転車等の追越しを禁止する場所の規定があります。

原動機付自転車又は軽車両は、前項の場所においては、原動機付自転車にあっては他の原動機付自転車又は自動車等を、軽車両にあっては他の車両を追い越してはならない。
道路交通法第30条第2項

原動機付自転車等で、交差点で一気に追越しをされる運転をされている方もいますが、こちらは完全に違反なので注意が必要です。

また交差点までの数メートルは必ず白色実線か黄色実線となっており、はみ出しも禁止です。

また信号停止している車列の先頭に、すり抜け走行で追いついた場合も注意が必要です。先頭車と停止線の間に入ると割り込み行為となり、道路交通法違反に問われます。

車両は、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため、停止し、若しくは停止しようとして徐行している車両等又はこれらに続いて停止し、若しくは徐行している車両等に追いついたときは、その前方にある車両等の側方を通過して当該車両等の前方に割り込み、又はその前方を横切ってはならない
道路交通法第32条(割込み等の禁止)

また信号停止している車列の先頭に出て停止線を越えてしまった場合は、道路交通法施行令違反、わかりやすく言えば信号無視に問われてしまいます

まとめ

まとめると原則として先行車両の右側から追抜きは認められていますが、左側から追抜き・追越しをしたり、交差点付近で追越しをすることはアウトなので、日頃路上で目にするすり抜け行為は基本的アウトという認識を持っていた方が良いと思います。

自動車学校でバイクの免許を取得する際に法律のグレーゾーンのことは教えてもらった記憶はなく、ひたすら「キープレフト」を言われ続けた記憶だけが残っています。

原付ではしっかりと左側を走行し、後続の車両が追抜き・追越しをしやすいように意識して寄ってもらえればと思います。