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大原美術館(3) アルプスの真昼の謎

 大原美術館鑑賞記録の3回目です。

セガンティーニ アルプスの真昼(1892)

 この絵には誰の目にも明らかな謎が一つあります。
 しかし、その謎には大原美術館で実物を鑑賞しないと気がつきません。

 それはなにか。

 大原美術館で見られる絵は、この画像のように四角形ではないのです。
 上部がアーチ状になっている額縁が使用されていて、実際に見られる絵はこのリンク先のようなものです。

https://m.media-amazon.com/images/I/61FcBLSUL1L._AC_SL1065_.jpg

 この事実、Google Arts & Cultureで検索しても、四角形の画像が出てきますので、本当に実物を見ないと気がつかないと思います。

しかし、Google Arts & Cultureに掲載の画像をよく見ると、ほら!

 左右の上隅に微妙に額縁の跡(?)が見える。ついでに鳥が飛んでいるのもよく見えますね。

 大原美術館の問い合わせフォームから質問をしてみたところ、丁寧なお答えを頂きました。恐らく転載しても問題ないと思いますので載せます。

Q: 
(アルプスの真昼について)美術館で鑑賞した際には、絵画の上部がカーブ状に縁取られており、真四角の絵ではなかった記憶です。
これは、本来四角の絵を上部がカーブ状になっている額縁に入れているということなのでしょうか?
そうだとすると、セガンティーニの創作意図としてカーブ状額縁を選択しているのでしょうか? もしくは、後年になって、あえてこのような額を使用しているのでしょうか?


A: 
本作品のサイズは、当館のwebサイトに記していますよう、縦86cm、横80㎝となります。
したがいまして、お記しいただきましたよう、上部がアーチ型となった額にはいっているため真四角の作品には見えない様になっているのだと思われます。

額は、当館の初期コレクションの収集に尽力した児島虎次郎が、この作品を1922年にヨーロッパで購入した時のものをおそらく、現在もそのまま引き継ぎ、活用しております。
一方で、セガンティーニが意図した額かどうかは、誠に申し訳ございませんが、現時点では判りかねます。
しかしながら、セガンティーニの作品にアーチ型の形状のものはあまり見られませんが、本作品の額縁にある特徴的な装飾は、他のセガンティーニの作品の額と似ているところがあります。

 なんと丁寧。ほんと、美術館って凄いなあ。

 これはセガンティーニが自分でこのアーチ状の縁取りを選んだということで、ほぼ確定なのでは? 
 写真を撮っていると、真っ青な空が絵になりづらくて苦労しませんか? 私だけですかね。
 セガンティーニもひょっとして似たような気持ちだったのではないか。アルプスの青空は素敵なんだけれど、絵としてはちょっと間延びしてしまう。それゆえ、写真で言うところのトリミングとか周辺減光のような操作としてカーブ状額縁を選んだのではないか……?

 などということを考えました。事実はわかりません。私の妄想です。悪しからず。
 アルプスの真昼、まだ次回に続きます。

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