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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.322 映画 マキノ雅弘「昭和残侠伝 血染の唐獅子」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は映画 マキノ雅弘さんの「昭和残侠伝 血染の唐獅子」についてです。


高倉健さんのシリーズモノのヤクザ映画。昭和残侠伝シリーズの第4作目

もう義理と人情の高倉健さん、対立する組にいるニヒルな池部良、その妹に藤純子、監督がマキノ雅弘

もうお決まりの定番のシリーズ(昭和残侠伝)全9作ものの一つのような気がするが、

今まで見た作品(3作)の中では割とおとなしめな印象がある。

おとなしめというか、ものすごい対立が少ないというか、カルタシスが少ないというか。

ヤクザの組からトビ職人の組織になったり、博覧会建設をめぐって喧嘩したりと、

表向きもヤクザの看板を出していない。

そして健さんも軍隊から帰ってくると言う帰還兵。

博覧会や戦争などヤクザでも国のことを聞かなくてはいけない。

まあそう言う社会の動きの部分が逆に今までとは違って魅力的だが、単なるヤクザの抗争ではないので、血湧き踊る喧嘩は少しトーンダウン。

もちろん最後は殴り込みしますがw

マキノ監督、前作の佐伯監督とは違う路線にしようと言う思惑があったのでしょうか。

それでもかっこいい健さんの男の生き様は十分見れます。今回は少し明るい部分も見れます。



物語は、昭和の初めの頃、鳶職をまとめる一家鳶政の頭は病気で伏せっていた。

跡取りの息子秀次郎は兵役で取られていた。早く帰還するのを待っている。

その頃東京で博覧会が開かれることになり、会場が上野に決まった。

上野は鳶政の縄張りだが、そこへ博徒の阿久津組が、博覧会の利権目当てに金を積んで譲れと言ってきた。

それを断ると、頭は阿久津組の手下に殺されてしまう。

そして阿久津組は鳶政は政治家と結託して鳶政の参加の業者を次々と買収していった。

阿久津組にいる代貸し重吉(池部良)とその妹(藤純子)は心を痛めていた。

軍隊に行っている息子秀次郎と親友だったからだ。

やがて鳶政の跡取り秀次郎(高倉健)が軍隊から帰ってきた。

息を吹き返すように博覧会の工事の入札は無事鳶政になり、会場建設が始まる。

ある日秀次郎の子分が大事な纒(まとい)を質屋に預けたら、それを阿久津組に取られ、

取り返しに行ったら殺されてしまう。

それでも大事な博覧会の工事のためにぐっと我慢をする。

だが次第に阿久津組の妨害がエスカレートしていき、工事現場に火をつけられてしまう。

阿久津組にいる代貸しの重吉は阿久津組の盃を返し、秀次郎の元へ駆けつける。

2人は阿久津組に殴り込みに行く。



我慢に我慢を重ね爆発という王道のストーリー。

高倉健、池部良、藤純子といういつものメンバー。

完全にパッケージ化されている様式美を、ちょっとでも変えようとしてマキノさんが努力をしている感じがよくわかる。

けど多分ヤクザ映画のファンはやはり、いつもと同じその様式美を見たいような気がする。

博覧会や軍隊や、藤純子と仲慎ましく、笑顔を見せる健さんではなく、

ヤクザ同士の壮絶な抗争と、藤純子とはプラトニックな関係、我慢我慢の渋い顔の健さん、池部良との緊張感のある男同士の関係を見たいような。

やはり「昭和残侠伝 死んで貰います」がその頂点か。

そう、今作は題名は血染の唐獅子だが、意外に明るい部分がある変化球な作品でした。

でも、時代生、明るい部分もある健さんも嫌いではありません。

今日はここまで。




「俺はおまえに惚れてんだ」
「初めてね惚れたなんて云ってくれたの。わたし悪いお嫁さんになるとこだった」
「文代、泣いちゃ、秀さんに嫌われる」
「俺が泣かしたんだ。泣いてもらわなきゃ、死にに行けねえよ」
/「昭和残侠伝 血染の唐獅子」より










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