趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.319 映画 ロバート・ロッセン「ハスラー 」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は映画 ロバート・ロッセンの「ハスラー 」(1961/米)についてです。
ポールニューマンとトムクルーズが出演した映画「ハスラー2」は自分が学生の頃人気映画になり、その映画の影響で空前のビリヤードが流行した。
自分も高校、浪人生とよくプールバーに通ったものでした。
頭の片隅に「ハスラー2」の前作のモノクロ作品「ハスラー」は名作らしくいつか観なくてはと思っていた。
しかしなかなか機会がなく、名画座やレンタルビデオでも観ることができず、
やっと何十年ぶりにテレビ放送で観ることができた。
念願叶ってみると、やはり名作の名前どおり、モノクロでハードボイルドな雰囲気の賭けビリヤードの世界をクールに描いていた。
そして若いポールニューマンのかっこよさに痺れた。
まあある意味こういう大人の映画は「ハスラー2」が流行った高校生の頃観ても、あまり理解できなかったかもしれない。
・
物語は、15歳でハスラーとして身を立てることにした主人公の青年エディ(ポール・ニューマン)。
どんどん腕を磨いていき”ファーストエディ”と呼ばれるほど名を上げていった。
自分こそが最強のハスラーだと自信を持ったエディは15年間無敗の伝説のビリヤードプレイヤー”ミネソタ・ファッツ”に挑戦する。
試合は前半はエディが調子が良く勝っていった。
ただ試合が長丁場になるにつれてエディは慢心でお酒を飲みながら試合するようになり、
24時間を過ぎた辺りから逆転され、36時間経った辺りには精神的にも参ってしまい、結局試合に負けてしまい文無しになってしまった。
腹いせにやけ酒を飲んでいたエディは朝誰もいないバスステーションで作家志望の女子大生サラと出会う。
彼女は小児麻痺だったので足をひきづっている。
やがてエディとサラは惹かれあい、同棲するようになる。
エディは再び生活費を稼ぐために、ハスラーの仕事を再開する。
そこでバート(ジョージ・C・スコット)という賭博師に出会う。”ミネソタ・ファッツ”との試合を見ていたと。
法外なわけ前(75%)を条件にマネージャーをやってやると言われるが、エディは断る。
あるプールバーで小金を稼いでいたら、ハスラーだと因縁をつけられ、両手親指を折られる。
サラの懸命な介護でやっと手が動くようになり、バートにお金持ちとの試合をマネージングしてもらう。
酷い有様ながら試合には勝ったが、バートに言い寄られて身を任せてしまったサラは絶望して自殺してしまう。
エディはバートと手を切り、再び”ミネソタ・ファッツ”に挑戦する。
試合の行方は・・・。
・
この映画、あらすじを書くと、結構人間ドラマが際立っている。
調子に乗った若者が、チャンピオンに負け、挫折して、
女性に出会い恋して、賭博師に利用され、女性に自殺され、
またチェンピオンに挑戦する
でも、実はこの映画3分の2は試合のシーンで占められている。
それも最初のチャンピオンとの36時間にも及ぶ試合は凄い。
見ている方も息を止めるほど緊迫した試合展開で目眩がするほど疲れてくる。
途中夜も終わり朝方。チャンピオンが不利にの状態の時、トイレに行きそこでビシッと着替えて髭も剃り顔も洗い出てくるシーンは印象に残る。
それに対してポールニューマンは無精髭で二日酔いでボロボロ。
その服装と見た目の対比が、試合の行方を暗示させる。
あとこの試合のシーンは、セットではなくちゃんとしたプールバーで撮影なされた。
主演の2人はプロのビリヤードプレイヤーから猛特訓を受けプロ顔負けの腕に。
その試合のシーンのリアリティが、他の人間ドラマにも伝わり、
この映画全体をリアリティのある人間ドラマにしていると思います。
もうあらゆる映画の基本ですね。その映画のテーマ、主人公の携わるスポーツや職業などを徹底的にしてこそ、ドラマ部分が生きますね。
今日はここまで。
"勝つことは大変な重荷だ" 勝ち続ける人間にかかる重荷は想像を絶する。たいていの人はその重みに耐えることができない。負けた時の口実をみつけるほうがはるかに気が楽だ。勝負の世界で生きるのであれば、何よりも重荷を背負う覚悟が必要不可欠だ。
/「ハスラー」より