なんとなく。

稲垣ちゃんみたいな人はこういうのやってみたらいいよ。

荒木さんのそんな一言で始めてみた。
元々やってみようかなと思っていたところだったし、良い機会なので文章を書いてみる。

いつの間にか音楽がそばにいた。
それは、草木が生えてくることに気づかないことと似ていて、いつからそばにいたのかは分からない。

始めた理由なんかも、正直分からない。
BECKを読んで始めたとか、けいおんに憧れて始めたとか、Deep PurpleのSmoke on the waterのリフが弾きたくてとか、適当な理由をつけて話しているくらい。
なんで始めたんだろう?分からない。
なんとなく、始まっていたのだ。

そんな、なんとなく始めたものに今となっては引かれるくらい心酔しているのだから、不思議なものだ。

そばにいるだけで、聞いているだけでいいものだった音楽に取り憑かれたのは恐らく、小学校6年生の頃だろう。

6年生の運動会。花形といえば、組体操だった。
運動神経が鈍く、あんまり良いものと思ってなかったそれは、相次ぐ転落事故によって一瞬にして消え去った。
正直嬉しかったが、何をするんだろう?という疑問の方が強かった。
当時の学年主任の先生は、学年集会を開きある映像を見せてくれた。
それは、アタシの人生を変える映像だった。

京都橘高等学校吹奏楽部全国大会の映像だった。
やっている曲はベリーグッドマンの「sing sing sing」スイングジャズだ。
オレンジの悪魔とよばれる、マーチングバンド。
その圧倒的なパフォーマンスに心を奪われた。
ドラムの踊り出したくなるようなジャングルビート、テューバの張り裂けそうなベース、それに合わせ踊り出す、ラッパや木管隊。
全ての楽器が、音を鳴らす瞬間の圧倒的な迫力。
あの瞬間に感じた、感動を今でも覚えている。

このマーチングを僕らはこれから伝統にしていくために、やろうと言うのだ。
そんなの、ワクワクしないはずがない。

小学五年生の終わりごろかな。アタシは「なんとなく」ドラムを始めていた。
これは偶然なのだろうか?こんなドラムの特徴的な曲、やりたくないわけが無い。
気がつけばアタシは先生に、ドラムをやりたい!!!と言いに行っていた。
先生は二つ返事でいいよと言ってくれた。
その日から、僕の音楽人生が始まったんだと思う。

僕は毎日スティックを握っていた。
毎日、スティックケースをぶら下げて学校に行って、音楽室に籠ってドラムを叩いて、家に帰ってもスティックを握ってドラムを叩いて。
他の人より努力したなんて、到底言えるほどアタシはやっちゃいないが、誰よりもあの曲に魂をかけていた。これだけは言える。

日々、仲間と練習を重ね僕らは壁にもぶつかった。ゲリラで演奏をしたりもしたし、怒鳴られて練習が無くなることもあったと思う。(あったよな?笑)でも、アタシたちはずっと練習を続けた。

運動会当日。
全てが輝いて見えた。
晴天に輝く太陽、人の熱気、運動会独特の砂ぼこり。
そんな一つ一つの小さな出来事が全て輝いて見えたんだ。
自分で言うのもなんだが、伝統を作り上げられたんだと思う。
始まりを作ることが出来たんだと思う。
胸を張ってそう言える。

そんな始まりが、アタシの「なんとなく。」を輝くステージのスポットライトに変えて行ったんだ。

僕の原点をタラタラと書いてみました。
何度も色んなところで書いたこの話ですが、僕の忘れられない記憶です。

読みずらいことが多いと思いますが、ご了承ください。笑

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