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眠れているうちは狂わない。

精神科医の中井久夫は、「眠れているうちは狂わない」と言った

体感としてよく分かる。
ぼくは精神が不安定になった一時期、とにかく「眠ること」が怖かった。だから、夜が来ることが怖かった。理由は分からない。でも、その気は大学時代からあった。眠れない自分を考えると、深くて暗い穴に落下し続けるかのように怖かった。

だから、より正確に言うと、「眠ること」が怖いのではなく、「眠ろうとして、眠れないかもしれないこと」が怖かった。そういう恐怖が絶えずあった。

40代になって精神状態が一番ひどい時期はウォッカなどの強い酒を飲んで、気絶するように寝るを繰り返していた。それでも、酒の力での睡眠は2時間もすれば起きてしまう。

夜の只中に起きてしまうその恐怖。

それでまた枕元のウォッカを飲み、気絶するように眠り、また夜中に起きて恐怖する。という繰り返し。朝になるとウォッカの瓶は空になっていた。

今はもう酒をほとんど飲まない生活になったが(浅いながらも眠れるし)、今振り返ると、あの時のぼくはかなり精神的に危うかったと思う。本当に怖かった。なぜ怖いのか自分でも分からないのがとても怖かった。

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