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「何かを決める」とは現時点での不完全性や未熟さを受け入れること。区切りをつけること。

「何かを決める/アウトプットとして出す」とは現時点での不完全性や自身の未熟さを受け入れることにほかならない。つまり、区切りをつけること。

それができる人は次を始められるから終わらない。きちんとした「区切り」は次を生む。何度も終わり、何度も始まる。断続的な連続性の中に成長がある。だから、決める(終わらせる/区切りをつける)ことが大事。

ザッカーバーグの「完璧を目指すよりまず終わらせろ。Done is better than perfect.」はそんな風にも理解できると思っています。

スティーブ・ジョブズの「コネクティング ザ ドッツ(Connecting the dots)/点と点をつなげる」は区切りを沢山持っている人こそに有効な示唆だとも思います。区切るからドッツ(dots)になる。

区切るからドッツ(dots)になるし、断続的な連続性が生まれる。連続的なドッツの中に成長があるし、思いもよらないコレクトが生まれる。

だから、より良いものを作りたいなら、成長したいなら、「区切ること/自分の未熟さや不完全性を一度は引き受けること」が重要らしいと最近思うようになりました。それにはもちろん勇気が必要です。良いものと未熟さが並ぶので一見矛盾しているようですが、どうもそうらしい。むしろ矛盾に思うことこそが罠に近い。

「もっとちゃんとしてからリリースしよう」「改善点が分かるまで自分で止めておこう」というマインドは慎重な姿勢だと思いますが、そのプロジェクトの進歩やあなた自身の成長を止める罠かもしれません。未熟さを引き受けるから、勇気を出して区切るから成長できる。未来の糧になる。最近はそう思っています。

決められない人/アウトプットしない人は区切りを生めず、断続的な連続性が生まれません。「質より量」とよく言われるけれど、この量とは「区切りの数」だと思っています。つまり、「多くの区切りを作ることが質の向上に貢献してくれる」がほくの理解です。

未熟さや不完全性に向き合った人が成長できる。そう思うとちょっとご褒美みたいで嬉しいですよね。「もっといいものを」と抱えて身動きが取れなくなるより、「まだまだだけど今の自分はこれが精一杯だ。こんちくしょう」と悔しい思いをしながら毎回腕を上げていく方が全然いい。その違いは1年後や2年後に顕著な差として表れると思っています。

スティーブ・ジョブズのスピーチ(抜粋)
繰り返しですが、将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。

ジョブズ氏スピーチ全訳

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自分の中の大人像

「決める/区切る」が自分の未熟さを引き受けることだとしたら、それこそが大人といえるかもしれません。ぼくは昔から「大人って何だろう。どうなったら大人といえるんだろう」とずっと考えていたのですが、「自分/他者の未熟さや不完全性を引き受けられる人」という解は成立しうるかも…と思いました。

そして、それは「決める」という行動に顕れる。権力的な「決める」ではなく、自分/他者の未熟さや不完全性を引き受ける「決める」ができる人。なるほど。ぼくはもう40代なので自分なりの大人像を見つけなければ…と思っていましたが、これなら採用できそう。そんな風に生きていければ幸せです。

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ドイツには「先回りの服従(Vorauseilender Gehorsam)」という言葉があります。日本語だと忖度に近いですが、ドイツ語の方が行為内容を明快に示している。権力者の期待を勝手に推し量る服従行為で、ホロコーストのメカニズムとして使われます。これは「自分/他者の未熟さや不完全性を引き受けられる人」と対極の存在とも言えます。

仕事で出会う厄介な人はこのケースが多いです。まあ、恐ろしく仕事が進まない。表面ではユーザーを主体にして「ユーザーのために」と語っていても、その背後には服従すべき誰かが透明なまま存在しているのだから(そしてそれが誰なのかは明かされない)当然なのですが。

「先回りの服従」が厄介なのは本人に自覚がないこと。むしろ、「自分はこんなに一生懸命なのになぜ周りは言うことをきいてくれないんだ」と被害者的に思っているケースが多い。不幸にもこういう人と出会ったら可及的速やかにその場から去るのがベストですよね。相手にしないこと。

要は精神的に大人じゃないんだと思います。人生は短いのでそんな人は相手にせずに、精神的に独立した人たち(自分/他者の未熟さや不完全性を引き受けられる人たち)といい仕事をしていきたいなあと思います。先回りして服従するような人たちのために時間を使っていたらもったいないですよね。

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