被災して変わったことと、避難所について思うこと

 昨年の10月に被災して変わったことがいくつかある。一つ目は、物をあまり買わなくなったこと。二つ目は、衣食住の最低限のものがあれば幸せになったこと。三つ目は、雨が苦手になったことだ。


 物をあまり買わなくなったのは、水害でほとんどの物を失ったからである。高校生の時に少ないお小遣いで買った本や、CDも全てダメになってしまった。アイドルの欅坂46が好きで、CDもアルバムも写真集も集めていたのに水に沈んだことがショックだった。また同じ目に遭ったらどうしようと考えると新曲も買えなくなった。本も買えなくなってしまったので、電子書籍への移行を考えている。


 住んでいたマンションが床上浸水してから、住む場所がなくなったことに不安になり、情緒不安定になった。住む場所と食事、洋服とお金があれば落ち着くことができる。新しいマンションに入居するまでは、自分の住む家がなくなってしまったことに、度々気分が塞がった。今でもそれがないとは言えないが、それでも憂鬱になることは減った。人は究極なところ、衣食住とお金があれば満足できるのではないだろうか。


 雨も苦手になった。特に大雨が降った日には、被災したときのことを思い出して情緒が不安定になる。一人で居るのがたまらなく不安になるのだ。そのおかげで結婚願望が強くなった。結婚していれば、支え合って生きていけるし、有事の際にも心強い味方が側に居る。


 私は1日避難所で過ごしただけで、被災した日は泊めてくれる友達もいたし、その翌日には仮住まいのマンションに移ることができた。市役所の避難所には、日中自分で部屋の片付けて避難所に戻る、という生活をしている人も居た。業者が部屋を片付けてくれるし、安心して住める場所がある私は、その人たちに比べたら恵まれている方だ。それに、両親や彼氏をはじめ、多くの人が支えてくれた。感謝してもしきれない。


 今までかつてない大型台風が発生したと連日報道されていた時、私は避難する事態になるかもしれないと思い、避難所について調べた。Googleで検索すると、避難所に持って行った方が良い持ち物を書いてある記事がたくさんヒットした。記事の内容を読んではスクロールしていると、あるニュースが目に入った。それは、避難生活が長くなって、女性が性犯罪に遭ったと書かれていたニュースだった。生活空間が区切られている訳ではないので、プライベートなことが全て筒抜けで、着替えているところを男性に覗かれたそうだ。もっと酷いことをされた女性もいる。


 実際に避難してみて、確かに空間は仕切られていないし、パーソナルスペースも狭いのでこういったことは起こり得ると感じた。長く生活すれば、床で寝るので疲れは取れないし、ストレスが溜まってそういう行為に出る人は出てくるかもしれない。市役所の避難所では、男性の方が多く、女性は私と夫婦で避難されていた女性の二人しかいなかったので、そこで過ごすのは抵抗があった。何かあったとしても誰に助けを呼べば良いのかも分からない。


 事前に性被害に遭う可能性があると知っていたので、近くの川が氾濫したと情報が入った時、避難所に行くべきか逡巡した。彼氏がたまたま一緒に居てくれたため、避難すると決断できたが、一人だったら避難していないと思う。そうしたら、私は今無事に過ごしてこの記事を書けていたか分からない。一緒に一晩避難所で過ごしてくれた彼氏には感謝の気持ちしかない。と同時に、日本の避難所でも海外のようにパーソナルスペースを確保し、安心して過ごせる仕組みにしてほしいと心から願っている。

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