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敬語は指導したけれど、読解力の指導には限界があった話

敬語に完璧は無いと思います。受験資格が必要な国家資格を持つ40代で、社会人経験が20年あっても、油断すると間違えます。

けれど、目安はあります。私の経験では、お客様窓口で電話とメールをフルタイムで3年(一次対応以上)担当すれば、社会人として敬語の使い方で困ることは少ないと思います。3年かけなくても、3ヶ月や半年で問題なくなる方が大多数です。3年勤務経験があるのなら、まず大丈夫という目安。

言語生成AIは丁寧語は出来ていますが、おそらく上下関係で言葉が変化する概念が異文化だから、尊敬語と謙譲語、ことに謙譲語(自分がへりくだる)がまだ不自然です。読解は出来ているから、あと一歩ですね。

私が最近経験したのは、ChatGPTとの対話で深刻な話題を選んだら「まず、申し訳ありません。」と、ChatGPTは謝る必要がないのにお詫びの言葉から入ったのは、英語の文化の影響、もしくは日本語の敬語の選択肢が思い浮かばなかったからではないかと観察しています。

人間の場合、敬語が壊滅的に使えないと面接で落ちます。採用されても、社会人として企業を代表して話す経験は無いから、語彙もTPOも分からなくて教える必要があります。敬語は、比較的教えやすいです。

難問なのが読解力。単に目の前のお電話やメールの「問い合わせ」だけではなく、その背後にある「問い合わせ履歴・顧客情報・購入履歴」を踏まえて、読み取る力。行間を読むことと似ています。なぜ、ヒントが散りばめられているのに、それらを見ないでお客様を怒らせるのか、読解力の問題だと気がつくのに経験が必要でした。

気がつけば、指導はしやすいです。そのスタッフは読解力が苦手だと知っておけば、添削やフィードバックも行いやすいです。お問い合わせに着手する前に、問い合わせ履歴やお客様情報を読み込むことも指摘します。けれど、高校の現代国語のテキストを買ってきて学び直しをさせることで(トラブルを未然に防ぐために)読解力自体を底上げすることは、私や自社では手に余りました。この経験を踏まえると、予備校や高校の現代国語の先生は、極めて高度な仕事をされていますね。

敬語も読解力も習得して損はないですが、より習得しにくい宝物は読解力かもしれません。

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