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妖精は小さなおじさん5話

エリカは学校の帰りに、近くにある叔母さん夫婦の家に行くようになる。


インターネットを経由して
自宅で株の売買を仕事としている南さんにレッスンを受けるためだ。

 今日はまず、宇宙の法則について話そう。

エリカは宇宙の法則などというものが存在することなど知りもしなかった。


もちろん学校の教科書にも載ってはいない。


南さんは続けた。

 俺たちが住んでいるこの世界にはいくつもの法則があるんだ。

重力なんかもその一つさ。

ビルから人が飛び降りたら、
その人が善人であれ、または悪人であれ、落ちて死んでしまうね。
これを重力の法則という。

そしてこの地球を包み込んでいる宇宙規模で成立する法則があるのさ。

具体的に説明しよう。

先ほど話した重力の法則があるだろ?

ビルから飛び降りたら落ちて死んでしまう。

しかし、悪人は死んでしまうとしても、善人も死んでしまうことに残念な気持ちはしないかぃ?

確かにエリカもそう感じていた。

それはあまりにも不公平だ。善人の意味がない気がする。


南さんは続けた。

 日頃から良い行いをしていると、例えばビルから落ちたとしても、奇跡的に助かる。
なんて思いたい気持ちってのがあるよね?

しかし、そういう気持ちは実はなんの根拠もないウソなんだよ

エリカは困惑していた。

そうだとしたら悪いことをしても平気だということか?

エリカはそう質問した。

 もちろんそうではない。

 悪いことはしてはいけない。というよりは、

しないほうがいいという意味でね。

悪いことをすると、自分の中でそのことを悔やむわけだ。
そしてそのことを引きずって過ごさなければならない。
するとどうなるかというと、
何か否定的に思える出来事が起きたときに、そのせいにしてしまうんだ。
実際は、ただ起こるべきことが起こっているだけなのにね。

エリカにも思い当たる節があった。


隠し事を抱えてるときなどと似ている。
そのせいで自分の思うように振舞えないときを思い出していた。

 この人生で起こることはすべて必要なんだ。

 一つ一つを経験していくことでしか、後に理解できないことが山のように起こる。

そのことを踏まえて、日々の出来事を客観的に観察するもう一人の自分を持たなくてはならないんだよ。

 すると、起こることはすべて必然であるということに気づき、すべてが繋がっていることが解る。

エリカはそのことについて考えを巡らせていた。


起こることがすべて必然というのであれば、すでに未来は決まっているということになる。


それでは自分たちが何をしても無意味ということになるのではないか?


エリカは南さんに尋ねた。

 とてもいい質問だね。

 確かにそう思えるかもしれない。しかし、もちろんそうではないんだ。

 道を知ることと、歩むことは違うのさ。

南さんは続けた。

 例えばね。俺たちには魂がある。

魂には、この世界に生まれてくる前に目的があったとしよう。

しかしゲームのルールとして、生まれた瞬間にその目的は忘れてしまうわけだ。

魂は目的通りに人生を遂行していく。

しかし俺たち人間は、そんなこととは知らずに日々をもがいて過ごしている。

そんな中で、このゲームのことに気が付くことができた。
そしたら君はこのゲームを辞めてしまうかぃ?

そうではなく、目的を探す旅に出るんじゃないかな?

エリカは確かにそう思った。

南さんの例え話が本当のことのように感じていた。

自分の目的が知りたい!

エリカの目は輝いていた。

 おっ、いい目をしてきたね。

 今の気持ちを忘れてはだめだよ。

 その気持ちでいる状態が宇宙を味方につけている状態だからね。

ワクワクすることが何よりも大切なのさ。

今日はこの辺にしておこう。

エリカは興奮していた。


南さんから聞いた宇宙の仕組みをもっと知りたくなっていた。

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