宇宙開発のゲームチェンジ・メガコンステレーション・宇宙太陽発電衛星
ロケットをプラットフォームとした独占化・排他化が今後の民間宇宙開発のキーワードになる(たぶん)。
現在、純粋な民間事業での宇宙開発が進んでいる。中でも、動きがダイナミックなのが、メガコンステレーションと呼ばれている衛星インターネットである。
引用:https://www.businessinsider.com/spacex-starlink-satellite-ufo-terminals-how-network-works-2020-1
ロケットは輸送業
ロケット屋さんは宇宙までモノを運ぶ輸送業。荷物(衛星や人など)を運んで配達料を頂くシンプルなビジネス。ユーザーに対して、確実に・安く・届けたい日に・届けたい場所に・荷物にやさしく・便利に届けることを目指している。
顧客獲得競争 → 独占競争
ロケット屋さんたちは、現在は顧客獲得競争をしているが、民間宇宙開発の時代は独占化・排他化がキーワードになる(と予想している)。大量輸送需要をいかに独占し、プラットフォームを握るかである。ビジネスの目標が変わるという意味でゲームチェンジングである。
ロケットは大量に打上げると安くなる。手法としては「再使用」「大量生産」「新技術」など方向性は各社様々であるが数と価格の相関は間違いない。当然、ロケットだけではなく、衛星も大量だと安くなる。
ロケットと深く統合した衛星コンステレーションを作り、他の似たような事業を寄せ付けないかが重要になる。
衛星インターネット
2019年からSpaceX社のStarlink衛星とOneWeb社の衛星が次々と打ち上がっている。これは宇宙ムラの人間からすると衝撃的である。日本はちょうど50年前にはじめて人工衛星を打上げたが、ここ50年で国内から打上げた人工衛星の数は200機強程度である。それに対して、2019年から本格的に打上げ開始したSpaceXのStalink衛星は既に240機打上げ済み(2020年2月現在)である。さらに今年だけであと数百機は打上げる予定にある。
衛星インターネット、メガコンステレーションの世界になって、「これまで」と「これから」は全くの別世界になっている。
SpaceX Starlink vs OneWeb vs...
衛星インターネット網を作ろうとしている、SpaceX社のStarlink衛星とライバルのOneWeb社を比較すると、
Starlinkは1回に60機、OneWebは1回に34機。打上げコストはおおよそ70億円と80億円。しかもSpaceX Starlinkは社内ロケットであり、実費として15億円とも30億円とも言われているので圧倒的価格差がある。
理由の一つには衛星とロケットと深く統合しているというのがある。衛星とたくさん詰めるときに、座布団重ねる方式(Starlink)かトウモロコシの粒方式(OneWeb)かは搭載量と数に差が出る。
ロケットを持っていて、数を打上げるほど安くなるSpaceX。ロケットは外部調達で、数を打上げても値下げ交渉力の強くないOneWeb。さらに今後は超大型ロケットと超大量衛星をAmazonが狙っている。
@JeffBezosツイートから枠線と文字追記
ロケットと衛星の統合と独占化
安いロケットを持つところは、衛星を利用したサービスまでコスト競争力を持ち、BtoCビジネスで独占できる。他のプレイヤーは高いロケットに頼まざるを得ないか、そもそも打上げ自体が出来ない。特に大規模になればなるほどロケットがボトルネックになり、差別化・競争力の源になる。
OSでマイクロソフトが強いように、検索や動画でGoogleが強いように、SNSでFacebookが強いように、ECでAmazonが強いように。
衛星インターネット以外の今後
メガコンステレーションや大規模宇宙輸送と言われる応用先は、通信・地球観測・測位・宇宙旅行・探査・発電などいくつもある。このプラットフォームを抑えにいく or 独占を崩す戦略というのが必要である。
宇宙太陽発電衛星
近い将来として抑えに行くべき宇宙を使ったプラットフォームはいくつかあるの。ここでは雑学的に面白いものとして、昔から検討されているものの紹介。近い将来ではなく、先の未来の計画として、宇宙太陽発電衛星というのが考えられている。
下のイラストの通り、あまりに大きすぎる+現状の技術では課題がありすぎて近い将来の建設は無謀である。しかし、これぐらいの大規模なプラットフォームと発電・エネルギーという大きな収益の見込める衛星の計画を立てられると大規模に収益を独占できる可能も同時に高い。
ということで「まだまだ先だよなぁ」と思いながらも可能性の一つとして宇宙太陽発電学会に顔だしたりしている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?