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コロナ禍でやってきたことのまとめ

未だ先の見えない禍真っ只中ですが、コロナ中に取り組んできたことをまとめつつ、この100年に1度の禍がどのようなものだったのか忘れないようにしたいなと、そして次のフェーズへの着想に繋げらればと思い、筆を取ります。以下よりアーカイブです。(随時更新)

①卒業できなかった制作展 : 2020.2/27

2020年3月より、全国各地の美大や芸大で卒制展の中止が決定した。卒業式が中止になった学校もあった。3年間の集大成となる作品と公が繋がることで適切なクロージングとなり、次に進めるはずのそれがなくなってしまうのはあまりに悲しいと、同年1月に作った「逃げBar White Out」を無償で会場提供し、全国の学生の合同卒制展「卒業できなかった制作展」を企画した。

卒制展ツイート

Twitterを中心に情報が拡散され、事務局には会った事もない有志のメンバーも集ってくれた。全国7学校より応募が集まり、クラウドファンディングで開催資金を集め実施に向け動いていたが、全く冷めやらないコロナの猛威を前に開催延期が決定。8月以降で再度開催日程調整をする予定。

②逃げBar ワンコインスープ: 2020.4/5

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併せて全国の小中高、幼稚園や保育園の休校休園も進み、企業も自宅勤務が主流となった。相対的な貧困家庭は子ども達の食費の捻出、毎日の家事と子育て、仕事の両立に苦難していた。逃げBarでは容器を持ってきてもらえれば、その大きさ分だけ店内でオーガニック野菜を使った手作りのスープを注ぐ取り組みをした。(気兼ねなく100円で購入してもらうために、お金を入れる箱はレジから見えない場所に置いた)

③オンラインサイレントフェス: 2020.4/8

オンラインサイレントZOOM画面

全国でクラブ・ライブハウスの営業休止、予定されていた様々なイベントの中止が相次いだ。市井ではZOOM飲みが流行し、ZOOM上で飲み会が催され、一説にはアルコール中毒者が増えたという。
当初逃げBarで毎月満月の夜に開催していた「FULL MOON SILENT FES」という企画をオンラインに持っていけないかと考え「ONLINE SILENT FES」という企画を始めた。

オンラインは視聴覚のみの出力なので、オフラインイベントの代替という形だとすぐに情報量の少なさに退屈してしまうと思い、オンラインだからこそできる企画を考えた。通常のサイレントフェスは1フロアに1人のDJからn数の来場者に音を無音で届ける仕組みだが、ZOOMのブレイクアウトルーム機能を使うことで、n数のDJからn数の来場者に音を無音で届ける、現実より拡張された形式で実施することにした。

企画は当時「〜〜つなぎ」という形でアーティストや芸人がTwitter上で歌やネタをバトン形式で繋いでいた流れに乗っかり、DJつなぎという形で紹介制で毎月のDJが決まっていった。 

次回は6月28日に開催予定。

④Take Out Of Boring Day: 2020.4/17

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全国で緊急事態宣言が宣言され飲食店は時短営業、ないしは休業に迫られた。店内での飲食は人の密度が高くなることから避けられ、多くの飲食店はテイクアウト営業を始めた。逃げBarではテイクアウトメニュー+画像の黄色い紙を差し込むことにした。「Stay Home」のスローガンの下、外出が減り日々の刺激が少なくなり退屈することが多くなった日々の、ほんの少しのスパイスとしてランチ後にすぐにできる新しいことのHow toをQRに仕込み、ランダムに渡した。

現在も実施中。

⑤オンライン八百屋: 2020.4/22

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外出自粛の影響で自炊の機会が増え、スーパーからはホットケーキミックスがなくなったり、特定の食材が時折急に流行り無くなることがあった。逃げBarでは有機野菜の配送を始めた。仕入れさせてもらっている千葉県山武市の2人の有機野菜農家さんの新鮮な旬の野菜セットに、逃げBarで焚いてる香り、流しているBGMを同封して家庭に送るオンライン八百屋を始めた。

https://whiteout.base.shop/ 

現在も実施中。

⑥オンライン焚き火: 2020.5/11

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会議は対面からバーチャルへ移り変わりZOOMをはじめとした様々なオンラインチャットツールが普及した。その中でSpatial Chatという音声の距離を表現できるチャットツールを用いて、Youtubeの焚き火の映像を中央に配置し、ただそれを囲んで適当な雑談をするだけの会を何度か催した。心の落ち着きを取り戻すには火を囲むことが必要だと思った。

⑦Neo盆踊りの提案: 2020.5/24

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初夏に入る頃、夏フェス、夏祭りの中止決定が相次ぎ、年中行事に参加できないことへの悲しみがネットで溢れた。そこで二年前に企画した「Neo盆踊り」という企画ならコロナ禍でも開催できるのでは、という旨を記事にしたところTBS「Nスタ」をはじめ話題となった。

なぜできるのか、ということについてはこちらの記事にまとめたのでご参照ください。

⑧オンラインカカオセレモニー: 2020.5/30

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メディアでは連日コロナ関連のニュースが流れ、連日増加する感染者数、死亡者に加え、コロナ鬱、外出疲れ、という言葉も出てきた頃、コロナウイルスへの警戒はもちろんのこと、精神への2次的な影響も考えなくてはいけないと思っていた。つまりは非対面型のメンタルヘルスケアをいかに行うかということ。自分のようにイベント業と飲食業を営む人間は特にだが、先の見えない不安に苛まれ精神を病んでしまうこともある。その対処として企画したのがオンラインカカオセレモニー。

カカオセレモニーとは儀式用の特別なカカオドリンクを飲み瞑想や対話などを行うマインドフルネス的なワークで、古代マヤの時代から続き、欧米ではヨガのように一般化しつつある。オンラインカカオセレモニーでは儀式に必要なドリンクや香りや装飾具など、できる限りの五感体験を配送+オンラインチャットで共有し、日常から離れられる場をつくる。現在も実施中。

⑨Ændroid Clinic: 2020.6/1

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世界中で人々の動きが抑制され、テレビでは毎日のように死に触れ、溜まったフラストレーションはいつ爆発してもおかしくない。アメリカでは白人警察官により黒人男性が殺害されたことを起点に、全米で大規模なデモが起きている。長年に渡るシステミック・レイシズム(システム化された人種差別)やコロナにより更に顕在化した経済格差、そしてそれを扇動することで利益を得る者達と様々な火種が存在する。

Ændroid Clinicはコロナを経た時代の生と死を問い直す「死のイマーシブシアター」。身体、才能、性格、キャリア、恋愛、人生の全てをあなたの思うがままに設計して、生まれ変われる病院という架空の物語を描き、それを没入型演劇により1人ずつ、体験していくことができる。

本作のために小説を1本書き下ろし、毎日国内で退院していくコロナ患者数分の文字数を公開していき、物語が全て公開され完結した日に、実際に体験できる開催日が公開される。


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振り返ってみるとコロナが引き起こす何らかの現象に対して自分なりのアンサーを表現し続けてきた3ヶ月だった。まだ公開できないとっておきの企画もあるが、それも来月には公開できそう。自分自身、今回の禍をきっかけに春夏秋に予定していたフェスや仕事がぽかんと消えてしまい、何年かぶりに空白ができた。だからここに書いてきたことよりむしろ、生活とか自分の人生とか、そういうことをちゃんと考えて整理できる時間が作れたことが、実は何より良かった。

いつ感染して死んでも、誰かにうつして苦しめてしまってもおかしくない、でもそんなこと実は生まれた時からずっとそうで、ウイルスのように見えない銃弾は常に周囲を漂っている。当たり前に行き着く死に向けて、生というマジックタイムの使い方について、日々現象化していくこととの関係性を常に問い続けて、自分なりに表現して、それが誰かの問いに繋がれば、選択肢に繋がれば、それでいいのかもしれない。

色即是空で空即是色、諸法無我な世界で訝しみと慈しみのバイオリズムが流れる土壌(カルチャー)づくりを、引き続き。

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「こんな未来あったらどう?」という問いをフェスティバルを使ってつくってます。サポートいただけるとまた1つ未知の体験を、未踏の体感を、つくれる時間が生まれます。あとシンプルに嬉しいです。