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MLB再開プラン...

【The Journal】Baseball's Bold Comeback Strategy ('20/5/1)

現在、新型コロナウィルスの蔓延によりスポーツイベントが全面的に中止になっているなか、再開に向けてどのようなプロセスが必要かについて、Wall Street Journal のスポーツ担当である Jared Diamond記者の取材を基に紐解いていく。

(なお、このポッドキャスト番組は、Spotify, Apple Podcast, Google Podcast, 等で無料で聴くことができます。)

ある実況アナウンサーの取り組み

まず登場するのは、Foxスポーツで実況を務める Joe Buck 氏。彼はMLBのワールドシリーズやNFLの試合など数多くの実況を務めてきたアメリカのスポーツファンにはおなじみのベテランアナウンサー。

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そんな彼も全てのプロスポーツが開催を見送られている現在は、出番が全くない状況。
Twitter等でフォロワーに「自主隔離生活中だけど実況の練習したいので、もし君が僕に実況してもらいたいホームビデオがあれば送ってよ!僕が実況してあげるよ!」と声をかけ、

それらをFOXスポーツの協力を得て、本物仕様にして再ポストする拘り様。
(補足:実況付きの動画が投稿されたフォロワーにはコミュニティに寄付することを提案している)

(実際に投稿されたTwitterフォロワーからは、寄付をした報告が投稿されたり。。)

あって当たり前のものがない日常

インタビューの中で Buck氏は
「世の中にはスポーツに興味がない人がたくさんいるのはわかっているけれど、アメリカで暮らしているとスポーツは日常生活に溶け込んでいるもの。僕の実況もその一部になっているかもしれない。その「あって当たり前のもの」が今の日常にはないんだよ。」
と、このパンデミックで一変した現在の状況について語る。

アメリカにはMLB (野球)、NBA(バスケ)、NHL(ホッケー)、NFL(アメフト)と4大メジャースポーツがあるけれど(※サッカーはメジャーとは言い難く…すいません。。)今回ビジネス的に一番大きな影響を受けているのが、MLB(野球)。

というのも、NBA、NHLはシーズンも中盤を過ぎておりかなりの試合が消化されていた状況で、NFLはちょうどオフシーズン。MLBだけが、日本のプロ野球と同様にシーズン開幕が見通せない状況。

このように世界各地でプロスポーツイベントが中止になっているが、1カ国だけ例外がある。

台湾。

台湾の場合

今回、新型コロナを封じ込めた国としてその対策に注目が集まる台湾ではプロ野球が現在開催されている。
そのため、このエピソードでは、MLBが再開される際のヒントに、ということで、どのような対策の下、試合がおこなわれているかが紹介される。

国民が2,300万人の台湾では、感染者数は400人ほどで死者も10人未満。
ロックダウンも緊急事態宣言も出されていない状況ではあるが、
試合は無観客でおこなわれている。

誰もいない客席を埋めるため、マネキンを置いたり、人型のダンボールを置いたり、

@hum_bolega / Twitter

いつもだとファンがスタンドで掲げているメッセージボードを配置したり、と少しでも寂しさを紛らわせる遊び心を加える工夫をおこなっている。。

Photo by Associated Press

実際にプレイしている選手たちはというと、試合ができることに感謝しつつも、やはりファンとの一体感を共有できないことに戸惑いも感じている模様。

感染対策も細心の注意が払われているということで、試合中の唾吐き行為に対しても罰金が課せられるとか。。
唾を吐く癖のある選手って結構見かけるから、彼らは戦々恐々としてるに違いない(笑)。

スポーツイベント再開への道のりはまだまだ険しい

一方、MLBに目を向けると、オフシーズンにキャンプをおこなうアリゾナとフロリダに選手・チームを集め、リーグ全体が隔離された状況を作り、無観客で運営する、といった案なども検討されているようだが、選手・スタッフに対してどれぐらいの頻度で検査をおこなうか、テストキットが確保できるか、などをはじめ、再開に向けた条件を整えるにはまだまだ時間がかかるようだ。

日本の場合もJリーグも開幕戦が行われたあとは中断が続き、プロ野球も開幕できていない。
僕自身も湘南ベルマーレのサポーターで、普段の今頃だと、ホームで開催される試合には息子を連れてスタジアムに通っていたので、ベルマーレの試合のない今の状況はキツイなぁと感じる。
ただ一方で、これだけ人との接触を避ける生活を続けていると、今再開しても子供を連れて観戦にでかける勇気はなかなか持つことができないし、劇的に感染リスクが下がらないことには、興行イベントを開催するのは難しいだろうな、というのが正直なところだ。
イベントがなくてもこれだけ外に出歩く無防備な人が多い状況では感染リスクも高いのではないかと思ってしまう。
アメリカも日本も無観客での再開、というのが現実的なステップのように思えるがチームごとに体力差がかなりあるし、無観客で実施した際に全てのチームが持ちこたえることができるのかどうか、かなり不安がある。
例えばサブスクリプションプランしかないDAZNで試合ごとに課金をする、とか、You Tubeのスーパーチャットのように投げ銭的な仕組みを導入する、などチームやリーグを資金援助する仕組みとセットでないと、サポーターとしても「再開してくれ!」と声高々に望むこともできない。
ただ幸いにして現在はソーシャルメディアなどでファンと選手・チームが繋がることができるし、実際にファンとの絆づくりに取り組んでいる選手やチームの活動を目にする機会も多い。
今だからこそできるこのファンとの交流を糧に、今はひたすら再開の時を待ちたいと思う。

人生にはスパイスが必要だ

このエピソードに話を戻すと、アメリカでは 9.11 の時も一時プロスポーツが中断されたが、最初に再開を果たしたのはMLBだった。
アメリカ人にとって野球はスポーツ以上の意味を持つ。
このパンデミック下にあって、たとえいつもと違う条件だったとしてもベースボールのある日常を取り戻すことは復興に向けた足がかりになるだろう、ということでこのエピソードは結ばれる。
いつもだと、ホストが最後に製作に関わったメンバーの紹介などをするエンドロールが読み上げられるのだが、今回は、Joe Buck氏が試合実況風に読み上げ、BGMもMLBのスタジアムで流れる電子オルガン風にアレンジされている特別バージョン。
(英語がわからなくても19分5秒あたりからはじまるこのエンドロールだけでもぜひ聞いてもらいたい!)
このパンデミック、日々流れてくる話題に対して不満や怒りを感じることも確かに多い。
だけど不満や怒りを覚えるたり、自分が感じた怒りをソーシャルメディア上にぶちまけるだけじゃなく、ちょっとしたことに遊び心を加えたりすることは、些細なことだけどこの窮屈な世の中で忘れたくないスパイスだな、と心の底から思う。

新型コロナウィルス関連で今後様々な社会貢献の動きが出てくると思います。 いただいたサポートは、全額社会貢献活動に還元させていただきます。