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ペルソナを拒絶されたあなたへ

あのとき僕らは若かった。
ペルソナを作ればチームとプロダクトがもっと良くなると信じて、長大な調査計画を立てて、事業部長に拒絶されたよね。

その後、いくつものUXプロジェクトに関わったけど、ペルソナがきちんと機能したプロジェクトは数えるほどしかなかった。

そう、ペルソナを作成し、チームに根付かせるのは難しい。

ペルソナ法とは

はじめから万人受けを狙ったモノよりも、誰か一人のために作られたモノのほうが、魅力あるサービスが作れると言われている。

例えば、100人をターゲットにしても1%ずつしか満足させられないなら、魅力あるサービスとは言えないだろう。
逆にたった1人であっても100%満足させられるなら、その人はきっと周りに勧めてくれる。

だから、ターゲットユーザーをペルソナとしてチームで共有し、チームメンバーが思い浮かべるユーザー像を統一しようというわけだ。

ペルソナをつくることによって、一つの方向を向かって企画や開発を進めることができる.....はず.....だった。

ペルソナのハードル

ペルソナを中心とした企画、開発を進めるためには、チームに親しみをもってペルソナを受け入れてもらう必要がある。

そうしないと、別の都合の良いユーザー像が登場したり、そもそも存在を忘れさられてしまう。

ただし、ペルソナを作成し、浸透させるのはけっこう難しい。
ハードルは2つある。

「はじめるハードル」と、「浸透させるハードル」だ。

はじめるハードル

ペルソナを作ったほうがいいと思ったとしても、メンバーの理解と承認が得られなければ進められない。納得されていない状態では、ユーザー像を統一するなんて出来っこない。

承認が得られない、ありがちな理由としては、「コストがかかりすぎる」と、「ペルソナの効果がわからない」ではないだろうか。(自分たちはこれで失敗した。トラウマだ...)

サービス利用者の調査計画と、定性分析ワークショップ、ペルソナシート作成の提案をしたところ、「で、どうすんの?」って空気になる。

当然だ。
何に使うかその先が示されていないものに、貴重なリソースを割くことはできない。ビジネスとして当たり前の判断だろう。

ただ、ペルソナを何に使うかを定義するのも、難しい。
なぜなら、ペルソナは意識統一という、プロセスが目的であり、それを説明しても「フンワリしてんなぁ...」としか思われない。

決裁者が求めるのはプロセスでなく、結果だ。
ペルソナもカスタマージャーニーマップ同様、それ自体が結果をもたらすものでは無い。

論点がそもそもズレているため、話は平行線を辿り、ペルソナ作成の承認が得られない。
これが第一のハードル。

浸透させるハードル

ペルソナという手法自体はかなり一般化しているため、「はじめるハードル」を超えられることは多い。

本当に難しいのは、本来の目的である、メンバーへの浸透だろう。

ペルソナを作り上辺の合意を得ることはカンタンだが、事業や企画の中心に据えるのは非常に難しい。
(圧倒的権限によるトップダウンの場合は別だが...)

カスタマージャーニーマップの記事でも書いた通り、UXデザインとは共感と共創のプロセスである。

誰かが作って、これがペルソナです。と言ってもメンバーは共感できない。
たとえそれが正しくても、共創なきところに共感はうまれにくい。

メンバーをプロセスに巻き込むことが重要なのである。

とはいえ、調査分析からシート作成まで、全員を巻き込むことは不可能だ。

ペルソナは育てるもの

もっとペルソナを気軽に考えてみてはどうだろうか。

カスタマージャーニーマップと同様に、ペルソナも想定ユーザーをまとめた、ただの図でしかない。

想定ユーザーと異なる人々に受け入れられて成長したサービスだってたくさんある。

大切なのは、ブレない特徴をもったサービス作りと、そのためにメンバーの意識を統一することだ。

ペルソナはその手段にすぎない。
手段が目的にならないようにしないといけない。

そう考えると、重厚長大な調査計画に基づいたペルソナである必要はない。

まずは仮説から始めていい。

メンバーから、「ホントにこんな人いるの?」と声が上がってから調査をはじめたほうがスムーズだったりする。

メンバーが知りたいことだから、調査の承認ハードルが下がるし、調査結果に耳も傾けてくれるだろう。

あとから得られたデータに基づきペルソナをアップデートしていけばいい。

無理のないペルソナのはじめ方

いったん仮説ベースで小さく始めよう。
大事なことは、認識の統一とペルソナに対する共感だ。

まずは、事業に関わる人達の想像しているユーザー像をまとめるところから始めよう。

ユーザーなんてどうでもいいと思っている人はいないはずだ。ユーザーあってのサービスなのだから。
メンバー各々がぼんやり思い浮かべているユーザー像を全て書き出してもらおう。

メンバーそれぞれが想像しているユーザー像を書き出してもらうことで、プロセスに参加している帰属意識が増し、浸透しやすい土壌ができる。

そのあと、サービスにとって重要なユーザー像をディスカッションで絞っていけばいい。

ユーザー像が複数になる場合は、優先度をつけたり、目的ごとに分類した方が認識の統一がしやすいだろう。

ユーザー像が絞れたら、その人がどんな性格で、どんな生活を送っていて、どんな価値観をもっているか、ブレストしよう。
多いに想像を膨らませ、盛り上がった方がよい。

浸透させるために決めた方がいいこと

ペルソナの項目には色々あるが、必ず決めて置いた方がいい項目としては、以下4つ。

・メンバーが親しみを持ちやすい名前
・サービス利用に至った経緯
・ペルソナが解決したい短期的な課題(短期目標)
・ペルソナが達成したい長期的な目標(長期目標)

特に短期目標と、長期目標はサービスの方向性に繋げやすいので、マストで決めた方がいい。

例えばnoteのクリエイターであれば、「書いた記事にスキをもらって承認されたい」というのが短期目標。
「書き続けることで一人前のクリエイターの仲間入りがしたい」というのが長期目標である。
(あくまでわかりやすい例。セグメントごとにもっとあると思う)

短期目標が日々のモチベーションになり、長期目標を満たすために使い続けてくれる。

そこから、「もっとこんなサービスにしないといけないよね」という会話が、メンバーから出てくれば、ペルソナに共感し始めている。ペルソナが浸透する土壌が整ってきている。

ペルソナを通じて有益なディスカッションができた、という成功体験を、メンバーに持ってもらうことが、重要だ。

万が一ペルソナそのものが浸透しなかったとしても、ペルソナに基づいて決まったことが生き続けるならば、やった意味はあっただろう。

「やらないよりはやった方がマシ」という精神が大切だ。
(くじけそうになったとき、何度この言葉に助けられただろう...)
いきなり100%のボリュームをやろうとするのでなく、20%くらいのものを5回やってもいい。という気持ちでやることが大切だ。

サービスをより良くするために

はじめないと土俵には立てない。
土俵に立たないと勝負はできない。

紹介した方法で土俵には立てるだろう。
ただし、サービスをユーザーのためにより良くしていくことこそが勝負だ。

そのためには、仮説のペルソナを調査によって補強し、育てていかないといけない。

せっかくメンバーの認識が統一できても、存在しないターゲットに向けてサービスを作っても誰にも刺さらない。

もちろん、長大な調査計画は必要ない。

まずは仮説ペルソナによって湧き出た「ほんとにこんな人はいるのか?」という問いが検証できればいい。

大丈夫。

ユーザー像に共感してくれている人は、知りたいスイッチが入っているはずだ。仮説ペルソナは知りたいスイッチを入れるための布石といっても過言ではない。

カンタンなインタビューからでいい。
社内の人や身内だっていいから、ターゲットに近しい人の話を聞いて、ペルソナを補強していこう。

ちょっと勇気をだして、「もっと具体的にしたいので、このユーザー像に合致している人、皆さんの知り合いにいませんか?」
と発言してみてはどうだろう。

リクルーティングにもメンバーを巻き込むことで、浸透の土壌がより整うのではないだろうか。
意外とUXデザインプロセスに協力してくれる人は近くにいる。

一度はココロが折れたとしても、あなたの想いは間違っていない。やり方しだいで味方も増えていくはずだ。

この記事が、あなたの勇気につながれば嬉しい。

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DMM GAMESでUXデザイナーやってます。

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コメント (1)
ペルソナはカテゴリや項目の抽出に最適だけど、データじゃないよな
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