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「館山視察」と「吹上砂丘荘」と。
本記事は、二つのパートに分かれます。
1. 館山視察
2024/6/8から9の2日間、館山で視察を行った。ガイドをしてくれたのは「たじ」。Tabippoが運営するPOOLOLOCALというコミュニティの仲間である。
DAY1 → sPARK tateyama
スタートは館山駅での集合から。
最初に向かったのは、「sPARK tateyama」というパブリックスペースであった。
遊休不動産を 活用したエリア マネジメント sPARK tateyama
館山駅東口目の前のサカモトビル(房州第一ビル)1階部分をリノベーションし民営パブリックスペース兼テナントスペース「sPARK tateyama」として2022年11月に開業しました。 活用したレンタルスペース、各種セミナー、催事やサークル活動、展示会などイベントスペースとしてお使いいただけます。
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解放された空間にいくつかのお店が立ち並ぶ。気になったのは「ジビエ(いのしし)」を活用したまぜそばとカレー。
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なんでも館山には猪が出没するそうで、街で捉えられた害獣となっている猪を名物料理として出している。食べてみるとめちゃくちゃ美味しい。ぜんぜん臭みもない。館山の山林にはどんぐりなどの自然の餌が豊富にあり、それが猪を美味しくしているのだとか。
猪のまぜぞばの店長は気さくに色々とお話しいただいた。聞けば、「まぜぞば店長」&「IT」&「建築」など、さまざまなことを実施されており、なんでもこの街の人はいくつもの種類の仕事をする人が多いとのこと。(イケてる地域では結構この傾向がある気がしている。)
atelier lab. 伝右衛門製作所
次に向かったのはこちら。ジビエの皮を活用した皮モノの製作・販売をしている。
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クラフト体験をすることもでき、僕らは「コードクリップ」を作ることにした。さまざまな色や手触りの革を見ながら自分だけの商品を作る。
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学びになったのは、皮に付いている傷を「猪がこれまで戦ってきた歴史」として表現してくれたことだった。ただの傷だと思ってしまうとマイナスに感じてしまう物事を、そこに含まれる「文脈」の力で価値をつくる。
この考え方は、わりと色んなところで使えるのだと思う。物事を時間軸やその文脈で解釈した際に、価値を見出せるものは地域にたくさんあるはず。
その後、しばらくはいくつかの食のスポットに寄らせてもらった。
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Sea Sauna Shack(シーサウナシャック)
たじさんが勤める、絶景の海が見渡せるサウナ小屋のSea Sauna Shackに案内してもらった。
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主にsPARKで働いている方を呼んでいただき、貸し切ったサウナルームで自己紹介など。基本的にサウナでは自由に話せないことが多いので、楽しい体験だった。また、1回目は普通、2回目はロウリュウ、3回目はアウフグースなど、段階を経ながら楽しむこともできた良い体験だった。
何よりも綺麗な海を前にするってだけで、心が洗われる。(日置市の吹上浜にもこんなサウナスポットできないかな、、)
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元々は診療所であったところがゲストハウスへと変貌
チーズケーキと米菓子を食べながら、お酒を飲み、語り合い、次の日へ。
DAY2 → ヤマナハウス
2日目は、ヤマナハウスに訪れた。この日の体験が僕の中でかなり大きな学びになった。
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そこでは、月に2回ほど「集まれる人だけが集まり」みんなでDIYをしている。
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・草刈り
・(自作醤油の)天地返し
・建築班
・天井剥がし
・ミントシロップ
・雨どい(の掃除)
・竹切り出し
ヤマナハウスのことを色々と教えていただきながら、いろんな体験をさせていただいた。
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今後予定するアーティストとのコラボ企画のお話も
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(めちゃくちゃ美味しい)
いろんな体験をした中で僕がすごく気になったのは「コミュニティとしての持続可能性」と「経済的な持続可能性」だった。
「コミュニティとしての持続可能性」というのは、事実としてこのコミュニティが約10年ほど続いていることと、あとはこれがずっとあり続けられると思えるほどの「参加される方々のただただ楽しんでいる笑顔」だ。
きっと誰も無理なんてしてなくて、豊かな生き方をするために館山に来て、活動に参加している。参加者が口にしていた「いきつけの田舎」という言葉が心に残った。本当の意味でのサードプレイスとしてこの場所があるような気がした。
案内をしてくれた永森さんから、コミュニティのあり方について色々と教えてもらった。
「頑張り過ぎなくていい。でも頑張り過ぎないでいようというのもちょっと違う。」
「こうあるべき」って押し付けることが違うってことなんだと思った。無理なく、みんなが参加したいときに参加する。やりたいと思ったらやりたいだけやる。そんな自由度が大事なんだと思った。
「人の変動は前提じゃないと、コミュニティとして無理が出る。」
約10年近くやっていたら、最初のメンバーとは大きく変わってくる。でも変に繋ぎ止めようとしたら無理が出るんだと思う。出ていく人がいる前提で、ある程度の新陳代謝の中でコミュニティは持続的に存在する。人が変わっても主催としては「続ける」ってことが大事なんだと教えてくれた。
「アカデミーの卒業生がコミュニティに参加している。アカデミーはコミュニティの入り口。」
ある程度コミュニティが形作られていくと、どうしても新しく人が入りづらくなってしまう。でも、アカデミーとして「空き家DIYを学ぶ」「里山料理を学ぶ」という「学ぶ」という入り口なら入りやすくなる。
「自分で全部やらない。任せる。役割と出番を用意する。でも、それはすぐじゃなくてもいい。タイミングもある。」
コミュニティとしてはやっぱり支え合えるように、人に任せていくのが大事なんだと思った。無理なく、手と手をみんなで取り合うことがコミュニティとしての強度を高めるんだと思う。
そしてもう一つ気になったのは「経済的な持続可能性」。3,000坪の山と畑と空き家をプロジェクトとして動かすにはどうしてもお金が発生するはず。
「立ち上げの際は、立ち上げメンバー15人で数万円ずつ出し合って始まった。あとは基本的にはコミュニティの参加者の参加費で運営している。補助金はあくまでおまけで、そこが軸になると続けられなくなる。」
なるほどと思った。初期投資はちょっと多めに出しつつも、継続的な運営費は「社会人サークル」の感覚に近い感じなのかなとも感じた。みんなで運営費を出しながら、楽しみながら活動していくような。また、補助金頼りになるのも確かに危険だと感じた。
「土地や家賃はかなり抑えている。鹿児島にもきっと受け渡し先に困っている空き家や土地はあるはずだよ。」
確かにそうだなと思った。空き家の数は日置市もかなり多くなっている。所有するだけでもメンテナンスや税金でお金が発生するから、譲渡してでも手放したい人は結構いるんじゃないか。
コミュニティとしても経済的にも無理が発生しない構図を描くことが、豊かな暮らしに繋がっていくように感じた。
〈その他 心に残ったコメント〉
・「ディズニーがベンチマークになる」
未完成な村がどんどん作り上げられていく構造が近いのかもしれない。
・「限られたものをどう使うか(空家、食、夜の暗さ、ケモノなど)」
・「『都市のスキル』と『地域のもの』の掛け算。都市のスキルをどう活用できるか。」
・未来予想図を作った。絵があると強い。
・積極的な地元の人はいる。協力してもらえる。
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最後、僕らが帰るときに、村のみんなが笑顔で手を振ってくれたのがたまらなく嬉しかった。たった数時間しか居なかったのに、なんだか僕らにも「いきつけの田舎」ができたようで、また行きたいって思えた。
本当の豊かさのヒントは、ここにたくさんある気がする。
たじ、色々案内してくれてありがとう。
以下、ただただ楽しんだフォト。
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2. 僕は村をつくりたい
ここからは妄想の話だ。
今回の経験を経て、僕は村を作りたくなった。というか「自分たちが発案・主導となりながら、みんなで一緒に居場所を作っていくプロセス(共創型の居場所づくり)」がめちゃくちゃ面白いんじゃないかと思った。
帰り道、早速場所がないか発信してみた。
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「◯◯エリアならいくらでもあるよー」とか「親が山持ってて、こんなことできるかもね!」みたいな話をちらほらと友人とすることができた。
その中で僕の頭によぎったのは「吹上砂丘荘」の存在だった。
国民宿舎 吹上砂丘荘
日置市は、日本三代砂丘の「吹上浜」を有している。吹上浜沿いには「国民宿舎 吹上砂丘荘」がある。平成の天皇も訪れた場所である。
この場所は、市が運営・管理をしているが、2025年の3月に閉館する方針を示した。吹上地域の住民からは反発の声もあるが、長年の赤字、人材確保の難しさ、施設の老朽化がある中で、市が主体となって盛り上げるのはかなり難しいのだろう。
描けるかもしれないストーリー
僕はもしかしたらここを、前述した「共創型の居場所づくり」の舞台になり得るんじゃないかと思っている。
今、日置市で多くの人が注目を集める「吹上砂丘荘」で、民間が主体となったコミュニティづくりがあり得るんじゃないか。
例えば、All or Nothing(集まらなければ実行されない形式)のクラウドファンディングを実施。
目標金額は「個人の集まりでなんとかDIYできるくらいの状態(建物として維持するために絶対変えないといけないミニマム改修できた状態)」にするための金額とする。
金額が集まれば、クラウドファンディングを通して多くの人に知ってもらいながらも、共感してくれるコミュニティのメンバーを集めることができる。
集まらなければ、市民としても諦めがつくんじゃないだろうか。市が勝手に閉じたと思うよりも、民間にも開かれた機会だったが、それでも実現に至らなかったということなら納得感が出る。
問題点は、鉄筋コンクリートの構造の建物を、老朽化の対策に向けてどの程度の予算をかければ「個人の集まりでなんとかDIYできるくらいの状態(建物として維持するために絶対変えないといけないミニマムの改修できた状態)」にできるのか、というところだ。
市は「老朽化対策など改修費に約4億円かかるとして維持を断念した(南日本新聞)」と発信している。流石に、4億円はクラウドファンディングでなんとかなる金額ではないが、これは全てを改修した際の費用だとと思う。
ミニマム改修が、1000万円程度に収めることができれば、可能性があるんじゃないか。
千葉県の臨海学校の再生プロジェクトでは、実際に1000万円がクラファンとして集まった。
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今の注目度であれば、きっと集まるかもしれない。ちょっとずつ、民間の手で、みんなで作っていくプロセスを描ける状態まで持っていけないだろうか。
これ、市の誰に相談したら良いのかな。ぜんぜん無理だろって言われるかもしれないけれど、改修の要件など何か情報を集めたい。
なんだかとてつもない首輪を自分で嵌めようとしている気もする。でも反面、ワクワクもしている。みんなが描きたい未来を、みんなで作っていけたならどんなに楽しいか。
僕は仲間と、最高の居場所づくりをしていきたい。
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