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赤裸々[エッセイ]

赤裸々(電子版エッセイのみ)

 活動して8年が経った。8年、振り返るにはキリのいい数字ではないけれど、今だと思った。今思っている事を残したいと思った。赤裸々って字の響きも字面もかわいいなぁと思ってこのタイトルにしました。人の裸を見るのも、自分の裸を見せるのも苦手だけど、苦手な事に向き合うという点で書きたい内容と重なった。活動を始めた当初〜今までを振り返ったり、大切な事を思い出したりする一冊。そこには最大限の今と、2023年9月の私の姿を残しました。関わってくれたお2人に、いや3人に感謝致します。


 そもそも楽しい音楽をやろうと思ってない。だから、理解されにくいのだとも思う。だって、私が救われた音楽は別に楽しくなかったし、人生において心の痛みを楽しさで和らげた事ってあったかな。あまり無い気がする、覚えてない。人それぞれでしょうけど!痛みや苦しさに向き合わずに楽しさで蓋をするなんて本質的ではないと思うし、また疼き出す。(私はね)だから楽しい音楽は違う方に任せています。頭空っぽにして体を揺らせる音楽も最高なんだけど、私にはやっぱり物足りないんだよなー。後からやってくる虚しさや寂しさに寄り添ってほしいとか思ってしまう!私がやりたい音楽はずっと誰かの何かを一瞬でも、軽くする事で、震わせる事で、だから重いし、痛いし、虚しいかもしれない。けれど私がやりたい音楽はそういうものです。


7年前に狂った様に見ていたライブ動画を流す。ひとしきり見漁って、お気に入りを集め、私だけが見られる様に非公開設定にした再生リスト。私はやっぱりこの人の音楽が好きだったと思い出すし、圧倒される、手が止まる。再生回数が飛び抜けて多いわけではない事に落胆も安堵もある。私はこの人の音楽に出会えて良かったと心から思うし、その感性を誇らしく思った。そして未だに心が震えるということは、8年前と根本は変わっていないのだろう。一生流行らない音楽をやりたい。SNSで大量消費されていく音楽に何の魅力も感じない。再生回数と感動回数は比例しない。誰かの心に刺さる一回を何十年もかけて積み重ねればいい。ライブ告知より、自撮りやそれっぽい写真の方が延びるSNS。理解しつつも、やっぱり寂しい。大切にしてる事が届かない時の脱力感には慣れないなぁ。そんなもんかぁ。


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