見出し画像

美術大学受験 〜女子美術大学・uyさんインタビュー〜

今回は女子美術大学芸術学部アート・デザイン表現学科アートプロデュース表現領域に所属するuyさんにお話を伺いました。美大受験の中でもマイナーな方式だったと語るuyさんの受験は一体どんなものだったのでしょうか?
(聞き手:代表)


受験した大学について


―――「東京芸術大学美術学部先端芸術表現学科」、「女子美術大学芸術学部芸術学科洋画専攻」、「同学同学部アート・デザイン表現学科アートプロデュース表現領域」の3つを受験されているんですね (事前アンケートより) 。共通テストも3教科 (英国社) 受けましたか?

 そうですね。国公立は共通テストが必要なので。芸大は独特なので、年によって共通テストの比率が開示されていますがすごく高いわけではないです。

―――共通テストの勉強に力を入れるというよりは専門試験の勉強に時間を割いていたんですか?

 そうですね。芸大も女子美術大学もデッサンは共通の試験だったんです。でもやはり内容が違うのでそこは対策をしました。一方でそれぞれの大学で求められているレベルはかなり違うので、そういった面では心の余裕がありました。レベルが違うと言っても、どちらもやりたいことに近いことが学べるところだったので。

―――美大の受験って、ここなら合格できるでしょうというラインがあまり想像できないのですが、そこは先生が教えてくださるんでしょうか?

 はい。高校の美術の先生が受験の対策をしていたので、まあ大丈夫でしょうと言うのは言われていました。美術大学の受験を通った人だとまあここのラインかなというのはわかると思います。たぶん、自分でもわかると思うんですよ。ただ、美大受験をするなら美大受験専門の先生に当たらないと難しいかなと思います。あとは美術予備校の体験とかに行って、自分のレベルがどのくらいか最初に見ないとなにもできないかな、と。

―――uyさんは美術予備校に通わず受験されましたけど、そういう場に一度は行ってみることも大切ということですか?

 そういう場に行くのも必要ですし、私の高校の美術の先生のような存在が必要かなと思います。わたしは予備校には通いませんでしたが、模試にはいきました。デッサンのコンクールみたいなものです。

―――デッサンがやはり大切なんですね。デッサンのほかにも何か特殊な試験はありましたか?

 芸大は一次試験がデッサンで、二次試験が工作のような総合実技のようなものがありました。本当に何が出るかわからないんです。粘土とかを使う年もあれば、工作の年もあるし、普通に絵を描く年もありました。二次はその作品についてのプレゼンとポートフォリオを見て面接をしてもらう形でした。

―――ポートフォリオは事前に準備されたんですか?

 そうですね。高校の時の制作や学外の活動などを載せました。本当は先生に監督してもらう予定でしたが、結局ぎりぎりになってほぼ自分だけで制作する状況で大変でした。他の美大受験であればデッサンばかりをやる感じになっちゃうんですけど、私の場合はポートフォリオ用の制作もぎりぎりまでしていました。本当に自由にやらせてもらいました。がっつり美大受験の苦しいデッサンの練習、というよりは自由に緩く自分のペースでやっていくみたいなのはありました。そこが特殊で、今思えば独特の雰囲気があったと思います。

―――ポートフォリオの方にはどのくらい時間がかかりましたか?

 編集は2週間ほどでしたか、ポートフォリオに乗せる自主制作に時間がかかりました。分量は上限20ページでした。私はファイルに印刷したものを入れて持っていきましたが、人によっては書いたものをスクラップブックのようにして生の状態で持っていく人もいるそうです。

―――今、芸大の二次試験についてお話しいただいたんですが、女子美術大学の方では何をされましたか?

 女子美は一次試験のデッサンのみです。洋画専攻とアートプロデュース領域を受験したのですが、どちらもサイズや時間などが違いました。ちなみに、アートプロデュース科は小論文とデッサンのどちらかを選べる学科で絵が描けなくても入れる学科です。私は他の学科との対策の兼ね合いでデッサンを選びましたが。

―――uyさんは美術科のある高校出身ですが、こうした対策は授業中にできたりするんでしょうか?

 授業中ではなく、放課後や部活の時間帯、夏休みに先生が対策の講座を開いていたのでそれに参加していました。一般的な子が美術予備校で書いている時間、学校で先生に対策してもらっていたという感じたと思います。

―――なるほど。こうした受験一連の戦略と言いますか、この大学をこういう風に受験すると決めたのはいつ頃ですか?

 最終的に受験する大学を決めたのは3年生に入ってからです。ざっくりと決めたのは2年生半ばです。高校に大学生が来て説明会をする、みたいな機会で、その時お話を伺ってここかなと決めました。

―――決め手となったのは何でしたか?

 先生でした。こんな学科もあるんだよっていう風に言われて。私は本当に横断的にいろんなことをやりたくて、広く学べる学科はどういうのがあるんだろうと考えた時に、受験した志望校が合致しました。



uyさんの現在の作品



美術予備校について


―――美術系の大学に行きたい人って美術予備校に行くっていう選択肢もあったと思うのですが、学校の対策だけで受験に取り組もうと決めたのはいつですか?

 家の事情もあり、予備校は厳しいかなと思っていました。通っている人は1年生から通っていますよね。金銭的な余裕もありますが、第一志望校が予備校に行ってもこれといった有効な対策があるところではなかったのでそれも理由の一つです。ポートフォリオ用の作品制作がメインになってくるので、それは自分でもできると考えました。

―――その選択はよかったと思いますか?

 よかったと思いました。自分で考える機会になりましたし、芸大の方は二次まで進めていたので、満足、納得はしています。ただポートフォリオを使った面接の対策はあまりできていなかったので、そこが課題だなと思います。そこはもしかしたら予備校に通っていたら分かったことがあったかもしれないというのは思います。


金銭面・勉強内容について


―――少し話は変わりますが、金銭的な話を聞かせてください。受験をする中でどのくらいお金がかかったかということは教えていただけますか?

 そんなにかかってないと思います。教材費と画材費だけなので。教材も駿台のを数冊買ったかなという感じで、そんなに量は買ってないです。共通テストの直前用のやつとか3冊買ったのと、問題集の3、4冊買ったかなという感じでした。

―――ちなみにどんな問題集を使ってたとか教えていただけますか?

・駿台の短期攻略 大学入学共通テストの古文・漢文
・山川の倫理一問一答
・英単語のターゲット(アプリ・本の併用)
・エバーグリーン(英文法の参考書)

 という感じです。すき間時間でちょこちょこ勉強していました。勉強に時間を割きたくなくて、本当に全然やっていなくて夏ごろからすき間時間にやっていました。一日に2時間やっていればいい方くらいです。


時間の使い方


―――それでは受験期の時間の使い方の質問に移らせてください。3年生になって受験に向けて主にどんなことをしていましたか?

 ポートフォリオ用の自主制作と、先生の開く講座にたまに行っていました。

―――先生の講座ではどんなことをしていたんですか?

 デッサンと色彩構成です。色彩構成というのは絵の具の使い方の練習です。どちらも基礎的な感じですね。

―――どんなタイムスケジュールで受験対策をしていましたか。
 
 平日は
5:30 起床
7:00~8:00 通学 (途中でアプリで勉強)
8:00~8:30 水張り
9:00~16:00 授業
16:30~18:30 デッサン
18:30~19:30 帰宅
21:00~22:00 勉強
22:00 就寝

 という感じでした。夜の勉強は長くても一時間くらいで、実際はもっと少ない日もあります。

 土曜日は9:00~16:00で、学校で絵を描いてました。日曜日は家で4時間描いていましたいました。ポートフォリオ用の作成でこのスケジュール通りに動いてない日もあります。

――デッサンはどの位の量を描いていたんですか?

 3日に1枚くらいで、一年で50枚強~100枚弱書いていました。多い月で10枚書いていると思いますが、次週の制作に取り組んでいる時期は全くデッサンをせずに絵を描く時期もありました。



uyさん現在の作品


最後に



―――今まで、様々なことをお伺いしましたが、そのなかでも一番苦労したことはなんですか?

 絵だと、直前まで課題がわからないので、いろいろなものを書けるようにするのが苦労しました。いろいろなものというのはどこの学科試験でも一緒なのですが、すごく変なものでもかけるようにしようとしていました。普通は、モチーフがいくつかあるのですが、夢の中を描きなさい、などもあります。私の場合はまず庭に連れていかれて、物を拾い、それを自画像と組み合わせて描くという課題でした。用意されている材料と拾った材料を組み合わせ、この素晴らしい世界を表現しなさいと言われたのが二次試験でした。そういう怖さと戦って受験をしていました。二次は対策のしようのなさを感じていました。

 勉強面では倫理を学校で履修していなかったので、自学するのが大変でした。一方で、倫理は読めばわかる問題も多かったと感じます。基本的な知識を入れて、長文を読めるようになれば、という感じではありました。一問一答はずっとやっていました。

―――ありがとうございました。最後にこれから受験に挑む方に一言お願いします!

 心の余裕は大事、です。自分は普通の美大受験生とは違うスケジュールだったのでそこにプレッシャーを感じていました。自分らしい作品が作れなくなったりすると大変です。答えが見えないことに対する焦りもありました。自分らしくでいいんだよと自分に言い聞かせて……(笑)

―――本日は本当にありがとうございました!


まとめ

 美術大学受験の中でも変わった受験方法を選んだuyさんに行ったインタビューはいかがだったでしょうか。感想や質問、要望がありましたら是非コメントにお願いします!次回は都留文科大学に進学した方のインタビューを掲載します!
是非このアカウントをフォローをしてお待ちください!

 

資料:デッサンの記録

高校一年生 石膏
高校2年生 石膏
高校3年生 東京芸術大学先端芸術表現学科対策
高校3年生 女子美術大学対策
高校3年生 女子美術大学対策




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?