Amazon 2023年から日本で薬配送プラットフォームを提供
デジタルヘルス関連ニュース 9月第3週目
Amazon は薬局と協力して薬配送のITプラットフォームを2023年から日本でも展開すると発表。Googleも自社イベントのHealth Equity Summitでヘルスケア領域への取り組みを発表しています。
さらに、デジタルセラピューティクス(DTx)の研究も引き続き盛り上がっており、9月末にはDTxをテーマにしたカンファレンスである DTx East がボストンで開催されます。禁煙だけでなく、ADHDや精神疾患にもアプリを処方する未来が近づいています。
ニュース
遠隔患者モニタリング(RPMツール)に医師も積極的
2022年9月のAmerican Medical Association Digital AMAヘルスリサーチレポートによると、遠隔患者モニタリング(RPM)の導入は2016年から2022年にかけて2倍以上に増加した。(2016年が12%、2022年が30%)
2016年に45%、2019年に50%だった医師の積極度も53%に増加した。Sage Growth Partnersが医師や医療関係者100人を対象に行った調査によると、医療関係者の約76%が今後2年間にRPMを利用する予定であると回答している。
RPMツールは文字通り患者を遠隔でモニタリングできるため、予定していない急な再入院を抑制するのに効果的。心拍数モニター、睡眠モニター、その他のインターネットに接続された健康管理機器を利用し、ケア向上だけでなく、医師との迅速なデータ共有のおかげで医療機関運営の効率性にも貢献している。
SonyがWS Audiology社と提携、市販補聴器市場に参入
FDAは先月、補聴器のOTC(オーバー・ザ・カウンター)を許可した。家電大手のSonyは、ユーザーが自分で購入し、装着し、プログラミングすることで、聴覚専門医の訪問を必要としない補聴器を提供する計画だという。デンマークに本拠地を置くWS Audiology社と協力し、Sonyブランドでの最初の製品の開発がすでに進行中であると、両社は発表の中で明らかにした。
FDAは8月にこれまでの規制を改定し、軽度から中等度の難聴の成人が処方箋なしで特定のタイプの補聴器をオンラインや小売店で購入できるようにした。外科的な埋め込み手術を必要とせず、耳の中や後ろに装着できる空気伝導増幅器がこれに該当する。この規制変更は10月中旬から施行される。
Apple iOS16、Apple Health アプリ
AppleのiOS16 で服薬リマインダー機能がアップデートされた。これにより、ユーザーは手動入力、もしくは薬の瓶のラベルをスキャンすることで服用している薬をアプリに登録することができる。さらに、服薬スケジュールを作成し、飲み忘れ防止のアラートを受け取ることもできる。
2021年のHealth Unionの調査によると、米国の成人患者の約49%が服薬アドヒアランスやリマインダーアプリを使用していると回答している。人気アプリの例としては、Medisafe、Dosecast、Mango Healthがあり、Apple のアプリと同様にユーザーが薬のリストを入力してリマインダーを設定することができる。Medisafeは、ユーザーが家族や介護者とレポートを共有し、不足している服用量を確認することができる機能を持つ。
YouTube がヘルスケア領域へ(Google Health Equity Summit で発表)
Google は 自社のHealth Equity Summit イベントでヘルスケアに関する取り組みを発表した。
YouTube を活用したヘルスケア教育
YouTube Healthは、Kaiser Family Foundationと共同で、メンタルヘルス、妊産婦の健康、医療サービスへのアクセス手段、について「THE-IQ」というビデオシリーズを開発しており、11月にスタートすると発表。他にも、Loveland Foundation は黒人女性向けのメンタルヘルスについてのシリーズを作成中で、Satcher Health Leadership Institute や National Birth Equity Collaborative もそれぞれビデオを作成しているという。Google 検索機能の向上
これまでもGoogle検索では、Medicare(高齢者向け保険)に対応した医療機関を検索・フィルタリングする機能が存在したが、さらに、Medicaid(低所得者向け公的保険)についても対応可能な医療機関を簡易に検索できる機能を開発したと発表。Fitbit を使った公衆医療の取り組み
Fitbit Health Equity Research Initiativeを拡大し、健康格差に関する新たな学術的・非営利的研究を募集すると発表。受賞者には、Fitbitデバイス、Premiumメンバーシップ、Google Cloudクレジット、または研究資金が提供される。Fitbitのようなウェアラブルを使った学術研究は、公衆医療をより公平に見れるようになるだけでなく、患者の健康状態を記録する上で重要なギャップを埋めることができると考えられている。
また、2022年Q1のデロイトの調査(Connectivity and Mobile Trends Survey)によると、ウェラブルデバイス所有者の55%が、アプリ、対面診療、ショートメッセージやメールを通じて医療従事者とデータを共有していることが明らかになっている。
Amazon、次のヘルスケア事業は日本
アマゾンは2023年から日本で薬局と提携し、薬を配送することを検討していると発表した。患者が処方された薬についての情報を得ることができるプラットフォームをアマゾンが構築し、さらにその薬の配達を申し込めるというもの。アマゾンは薬局そのものは運営せず、オンラインシステムを提供するという。
日本では来年、初めて医師の診察後に処方箋をオンラインで注文できるようになる。大手薬局や他の日本企業も、患者が薬に関する情報にデジタルでアクセスできるようにする同様のプログラムに取り組んでいる。
アマゾンは2018年、処方箋配送会社PillPackを買収して以来、米国で薬局事業に参入している。2020年には自社薬局「Amazon Pharmacy」を立ち上げた。
アプリで双極性躁病の緩和に成功
Juli(精神疾患を軽減するためのアプリ)の新しい研究によると、アプリを利用したセルフモニタリングとパーソナライズされた行動変容を組み合わせることで、精神疾患の症状が緩和されると発表した。調査は、双極性障害と診断された208人のJuliユーザーを対象に、6ヶ月間にわたって行われた。
Juliは、電子カルテ、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、生活環境のデータを集約し、ユーザーに自分の健康状態を理解させることから始まる。また、ユーザーは毎日3~5つの質問と、隔週で症状別のアンケートに回答することで、パーソナライズされたアドバイスを受けることができる。
同アプリのユーザーの55.5%が、8週間使用した後、躁病や軽躁病が緩和されたという調査結果を今週明らかにした。他にも、うつ病、偏頭痛、喘息、高血圧、慢性疼痛といった症状に対応していくという。
スタートアップ資金調達
AOA
9/15/2022、シード; $2.5M
VC - AlleyCorp, Olive Tree Capital, The Helm, Avestria Ventures, Rhia Ventures
卵巣がんの早期検出技術(リキッドバイオプシー AKRIVIS GD)
現在、卵巣がんの早期発見を可能にする信頼性の高いバイオマーカーは存在しない。
AKRIVIS GDは、5年生存率が90%以上である早期病変を含む卵巣がんを90%以上の精度で検出することができる。
全世界で年間225,000人近くの女性が卵巣がんと診断され、データ上そのうち最大65%が生存できていない。
卵巣がんの致死率の高さは、発見の遅れに大きく起因していると言われ、94%の女性が早期に症状を経験したにもかかわらず、卵巣癌と診断されるまでの平均では9ヶ月を要している。
Inside Tracker
9/13/2022、シリーズB; $15M
VC - PeakBridge, BASF Venture Capital GmbH, Cornucopian Capital, OurCrowd
ウェルネスデータとバイオマーカー(血液サンプルなど)に機械学習アルゴリズムを適用し、パーソナライズされた健康サービスを提供する会社。
Apple WatchやGarminのスマートウォッチと連携し、オリンピック金メダリストのTianna Bartoletta、アメリカのマラソン記録保持者Keira D'Amato、オールスターに4回出場したアリゾナ・ダイヤモンドバックスのリリーフ、Mark Melanconなどのプロアスリートが利用している。
PurpleLab
9/12/2022、シリーズB; $40M
VC - Primus Capital, Edison Partners
ライフサイエンス企業・保険会社・医療機関などがノーコードでリアルワールドデータを利用して分析できるプラットフォームを構築できるツール。
4年連続で3桁成長中
Cipher Skin
9/7/2022、シリーズB; $40M
VC - Andreessen Horowitz, Tribe Capital, Draper Capital
自宅でも効果的なリハビリを可能にするセンサー埋込み型のアームサポーターとソフトウェア
モーションとバイオメトリクスをトラッキング可能で、医療従事者は患者の状態を正確に把握し、改善プログラムを検討することができる。
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