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歳をとるという事

5.体の痛みが起きてきた


 
八十路に突入したころ、急に体の痛みが出てきた。早速整形外科へと出かけた。待合室はしんとしていた。受付の女性も何かピリピリしていてニコリともしない。
娘さんらしい人が母親を連れてきているようであった。
レントゲン撮影の為、隣りの部屋にいた私には医師の声が聞こえてくる。すでに会話は覚えていないが、患者に対して、私自身が何か悲しいような、やるせない気持ちになったことだけ覚えている。老人はこんな風に扱われるのかと。

私の診断は老人特有の脊柱管狭窄症だろうという事であった。私はペースメーカーの植え込みをしているのでMRIが撮れないのだ。
物療のみで少し通院したが効果はなかった。そのうちに間欠性跛行が出てきた。

この頃から、杖をつきつつ歩きながら、私は年寄りなんだと自分に言い聞かせた。それでもフィランド旅行、スペイン、ポルトガル旅行には出かけた。身体には無理があることはわかっていた。

片目も見えなくなっていたので、運転免許証を返納することにした。女性ドライバーが少ないころから持っていたが56年間に終止符を打った。

一本杖で無理をして歩いていたので、右下半身のしびれと、猛烈な痛みが襲いかかってきた。今度は変形性股関節症と診断された。手術がいいのだが、歳だからどうしますかと言われた。

家の近くに二代目の整形外科が開業したので無理なく行くことができた。資金にゆとりがあるのかお茶目で話しやすい医師である。働く従業員もにこにこしていて気持ちがいい。そのためそれからはお茶目先生の所に通うことにした。

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