折に触れて (中国とのお付き合い)

中国という存在に対して過度の思い入れはいらない。Toch & Runで良いではないか。何度もそう述べているがつくづくそう思う。確かに長い時間の間には中国からは様々な影響を受け、その都度いろいろなことを学ばせてもらった。儒教を学び、大乗仏教を取り入れ、政治制度的には律令制なども教えてもらった。近代帝国主義の時代にはアヘン戦争で西洋列強に蚕食されつつあった清の状況を見て、日本が覚醒し明治維新を行なったという刺激剤にもなった。その他にも数え切れないほどの恩恵を日本は中国という存在から受けている。その事実はあるにしてもWin-Winで関係を続ける意味でも過度の思い入れを排し、譲れない部分と譲れる部分をよく区別して考えるべきである。


 少し考えてみれば、日本も中国からもらうばかりの歴史ではなかった筈である。その時代時代にはやはり日本から輸出している物産はあるし、中国の銀貨製造を支えた時期もあった。とりわけ19世紀後半以降は戦争になった時期があったにせよ中国の近代化は日本の協力がなければ進まなかったのも事実であろう。大きい流れの中でお互いにいいこともしたし、悪い面もあった。そう冷静に考えてみるのも必要だと思う。


 平安時代894年に菅原道真の提議で遣唐使が廃されるが、この時期も唐とこのまま付き合うべきかどうかを比較考量してみる時期にあたっていたのであろう。公式使節の派遣を廃してこの後、日本では国風文化が興り、武士が台頭するなど今日の「日本らしさ」と呼ばれるものを次々と生み出してゆく。現在はあまりにも「中国ありき」で物事を考える傾向が大きすぎるように思われる。クールに中国と日本の関係を分析してみるのも必要なのではないか。


 どの時代も国と国の関係は国益が第一であり、それを基準に深めたり、離れたりする意味では変わりはない。しかし、今は朝貢外交の時代でも勘合貿易の時代でも帝国主義の時代でもなく、一応は各国が対等で国際法を守るというルールで成り立つ時代なのである。その時代に露骨に軍事力と金銭でアメとムチを振るって国際ルールの変更を行ない、朝貢の時代を取り戻そうとする国があるとすれば迷惑以外の何ものでもない。そんな国とはプライドのある国であればあるほど、お付き合いを避けるようになる。英国連邦諸国の動きを見るまでもなく、先進諸国を中心にそういう動きになっている。


 お付き合いはあくまで「約束を守る」ことが前提であり、簡単に約束を反故にする国であれば安心して付き合えない。日本は中国とどう付き合うべきか、真剣に比較考量し考える時期である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?