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あの世から赤い糸

私の大好きな患者さんが死んでしまいました。
70代で亡くなるなんて早いです。
でも何歳で亡くなっても早いと感じてしまう。
人の一生ってなんて短いんだろう。
癌に侵されてとてもきついのにクリニックに来るといつもニコニコしててみんなを笑わせてくれる
そんな素敵な患者さんでした。
自分がきついのに周りを気遣ってくれる。
こんなすごい人がいるのか、って
私もこうなりたい。って
私は尊敬してました。そして大好きでした。

お葬式にも行きました。どうしても行きたかったので。

素敵なスーツを着て死化粧でチークをしていたのでとても幸せそうに見えました。
いつもきつかっただろうけどとっても穏やかそうな顔で私は涙がポロポロ溢れました。
いつもきつかったのにみんなのこと労ってくれて気を遣ってくれて本当に素敵な人だったなあ!

奥さん宛に書いていた手紙も拝見させてもらいました。

ゴルフ仲間と会えるからすごく楽しみだ
生きてる時は身体がきつくてできなかったけどあっちではゴルフが思い切りできるから嬉しい。
俺は楽しんでいるから君は悲しんだりしないでくれよ。
おっちょこちょいの君のことだからこっちに来る時は道に迷うだろう。
その時のために赤い糸を入れといてほしい。
その糸を辿っておいで。急いでこなくていいよ。
ゆっくり楽しんでからおいで。それでは。


私はこの手紙を読んで感動してしまい
わんわん泣きました。自分の大切な人が死んでこんなにも悲しいのに時間はいつも通り過ぎて電車がいつも通りに来ることに腹が立つくらいでした。
こんなにすごいことが起きてるのになにもかもがどうしていつも通りなんだと腹が立ちました。

あの世は絶対あるもんね。
だからまた会えるんだよね。
約束なんてしなかった。明日も会えると思ってたから。
約束しとけば良かった。
本当に素敵な人だった。
こんなに素敵な手紙をもらった奥さんが羨ましい。奥さんも素敵な人だからお似合いのご夫婦で
私もこんな夫婦になりたいな。って思うけど
なれるかしら?
こんなに素敵な夫婦に出会えて本当によかった。

この出来事から8年が過ぎて奥さんがクリニックに患者さんとして来られるようになった。

貴方のこと、とってもいい感じの受付の子だって
いつも主人が褒めてたのよ

8年経ってから聞きました。

また涙がでちゃいました。そう思ってくれてたんですね。嬉しいです。 

ちなみに奥さんもこの患者さんも私のことスタッフのひとりだと思われてました。
この日、奥さんが貴方ってもしかしてだけど先生の奥さんなの?って聞いてこられたので
え?知らなかったのかと驚きました。

仕事が私を落ち込ませたり苦しめたりもするけれど
仕事がこうして私を励ましてくれたり喜ばせてくれたりもします。

あー。明日も仕事行きたくないなー。
スタッフでいつもわたしの化粧のこととかいろいろ言ってくる人がいて苦手なんだよねー。
こんな愚痴で締めくくるとせっかくのいい話が台無しですね。すいません。

患者さんに支えられて今日まで頑張れてます。

本当は私が支える側なのにね。分かってます。
いつも本当にありがとうございます。



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