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死後の世界

先週、井筒俊彦氏の「イスラーム文化」という本を読んだ。
今度スペイン旅行を予定しており、歴史上スペインに大きな影響を与えてきたイスラーム文化について勉強したいと思ったからである。

邪な動機からであったが、そもそもイスラーム教とはどういうルーツでどんな考えを持っている文化なのかが(比較的)平易な文章でまとまっており、非常に興味深かった。

そして感じたのが、宗教で根幹に据えられることの多い死後の世界について、自分が最近思いを巡らせてこなかったという事実である。

本によると、イスラーム教では、流派の違いこそあれ、現世は不完全な世界であり、死後の世界で救われるために現世で行動せよ、という思想が通っているという。
死後の世界のために、現世を生きる。キリスト教の最後の審判にも通じる思想と言えよう。

私は、中高時代にキリスト教の学校に通っていたことから、一般の日本人よりはキリスト教に馴染みがあると自負してきたはずだった。
しかし、久しぶりにこうした宗教、思想に触れ、自分自身が極めて即物的な現代思想に染まってしまっていたことに気付かされたのである。

子供の頃や学生時代の方が、「死んだらどうなるのだろうか」という問いかけを始め、「神様はこの世にいるのか」「この世に生まれた意味とはなにか」といった質問を自分に問いかけては思いを巡らす(時には悩む)時間があった。
でもいつの間にか社会人になって、仕事と私生活の中にあって、こうした思想を巡らすことが無意識に少なくなっていたのである。

久しぶりに死後の世界について立ち止まって考え、自分や周りの人の人生に限りがあることを思い出すきっかけになった点で良かったなと思った。

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